億万長者の慈善活動家ビル・ゲイツ氏は、新型コロナウイルス感染症を克服できると楽観視している。
ゲイツ氏は世界エイズ会議で、HIV/エイズの経験から、医薬品を公平に利用できるようにする方法を学んだと語った。
製薬会社が利益を優先すれば、貧しい国々が医薬品を入手できなくなると警告している。
世界保健機関(WHO)によると、20を超えるワクチンが臨床試験中だ。
年間約200万人がかつてHIV/エイズで亡くなっていた。現在、その数は半数を超えて減少した。何が変わったのだろうか。
ビル・ゲイツ氏は明言する。世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)――エイズに加え、結核やマラリアとの闘いに年間40億ドル超を投じる世界規模の慈善事業――が設立されたのだ。
だからこそゲイツ氏は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同議長として、国際エイズ学会の会議で、新型コロナウイルス感染症は克服できると「今も楽観している」と語った。パンデミックを制御するための有効なモデルがすでにあるからだ。
一方でゲイツ氏は、ワクチンが「最も高い値を付けた者」に渡る事態を警告する。そうなれば「パンデミックは長期化し、より不公正で、より多くの命を奪う」と述べた。
エイズ治療の利点
ビル・ゲイツ氏は、エイズとの闘いから得た教訓が新型コロナウイルス感染症の克服に役立つと考えている。とりわけ、「大規模で公平な世界的流通システム」の構築について学べるという。また、エイズ治療プログラムも実際に役立ち得ると述べている。
「こうした[コロナウイルス]感染症の特定に役立つ、より優れた診断ツールが開発されています。抗ウイルス薬のライブラリーへの投資も進んでいます。ワクチンでも大きく前進しています。」
20を超えるワクチンが現在、臨床試験中であり、世界保健機関(WHO)によると、英国と米国では研究がかなり進んでおり、有望な結果が示されている。
「こうした基盤は、この特定のウイルスに対して役立つだけではありません」とゲイツ氏は言う。「HIV対策にも、特に役立つでしょう。」
慎重さが必要な理由
しかしゲイツ氏は、世界的なワクチン接種の取り組みが直面する課題、とりわけ既存のプログラムの中断による影響を軽視してはいない。
ここ数カ月、ユニセフは、世界で1億1,700万人を超える子どもがはしかの予防接種を受けられなくなる可能性があると警告している。予防接種プログラムの中断が原因だ。一方、WHOはサハラ以南アフリカでマラリアによる死亡者数が76万9,000人に倍増する可能性があると注意を促している。
そして資金の問題もある。「医薬品やワクチンを、最も必要としている人々や地域に届けるのではなく、最高額を提示した者に渡してしまえば、パンデミックは長期化し、より不公正で、より多くの命を奪うことになります」とゲイツ氏は言う。
「市場原理だけに基づくのではなく、公平性に基づいて配分するという難しい決断を、指導者たちに下してもらう必要があります。」
製薬会社が有効なワクチンの開発を急ぐなか、価格設定や知的財産権をめぐる交渉は、今後もきわめて慎重な対応を要し、意見が対立する分野であり続けるだろう。
しかし、エイズ対策の活動家、そして世界全体に向けたゲイツ氏のメッセージは希望に満ちている。「世界は力を合わせてきました。特に皆さんは、以前にもそれを成し遂げています。」


