南アフリカにおけるHIV予防薬の導入から得られた教訓

Will Nutland, who supports a drug-buying network and takes generic drugs himself to prevent HIV infection, shows off some of his generic drugs during an interview with Reuters at his home in central London, Britain November 3, 2016. Picture taken November 3, 2016. REUTERS/Dylan Martinez - S1AEULGIHPAA
South Africa needs to pay careful attention to access and service delivery issues and constraints.Image: REUTERS/Dylan Martinez
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昨年、南アフリカは大陸で初めて、HIV予防のための経口曝露前予防薬として使用できる薬剤の使用を承認した国となった。曝露前予防(PrEP)とは、HIVに感染していない人が感染を防ぐために抗レトロウイルス薬を使用することを指す。

PrEPの考え方は、新規感染が一貫して高水準にある高リスク集団を対象とすることにある。これには、性労働者、男性と性行為をする男性、注射薬物使用者、若い女性が含まれる。

世界保健機関がこの薬剤をHIV予防の追加の選択肢として使用するよう勧告したことを受け、南アフリカは昨年、テノホビル/エムトリシタビンの使用を承認した。

今年6月までに、南アフリカのPrEPプログラムは、性労働者と男性と性行為をする男性を対象とする17か所で実施されていた。また、7つの高等教育機関にある9つの診療所にも薬剤の提供が拡大され、12万人を超える若者が対象となった。

PrEPの導入データによると、普及は比較的緩やかながら進んでいる。懸念もある。使用許可の取得から1年が経過したが、導入が国内でも特にリスクの高い集団の一つである若い女性を十分に対象としていないのではないか、との懸念がある。

新たなHIV感染との闘いにおいて、若い女性は極めて重要な集団である。調査によると、南アフリカの15~24歳の若い女性は、HIV罹患率が最も高い。この若い女性たちの間では、毎週約1,745件の新規HIV感染が起きている。

感染を減らすうえでこの集団が重要であるもう一つの理由は、人口の約10%を占める大きな割合を構成していることだ。

この問題を解決しなければ、南アフリカの新規感染率が低下する可能性は低い。

Image: ロイター

優れた着想、実施には課題

南アフリカがHIV予防薬の使用許可を取得した後、国民保健省はPrEPを導入し、検査・治療サービスを提供するための国家方針と一連の指針を策定した。検査・治療とは、検査で陽性と判明した人が直ちに抗レトロウイルス薬を利用できる仕組みである。

政府の費用対効果分析では、PrEPはHIV感染リスクが相当に高い集団で最も大きな効果を発揮すると示唆された。そのため、当初の方針では、限られた数の性労働者向け施設でPrEPを提供することに重点が置かれた。これにより、規模を拡大する前に、実社会での提供方法について知見を深めることができる。

しかし、ここに課題がある。リスクのある若い女性にPrEPを導入しようという政府の政治的意思と意欲は強いが、保健医療制度に求められる対応は複雑だ。費用も考慮する必要がある。最もリスクの高い若い女性をどう特定し、どのようにPrEPを提供して継続利用につなげるのが最善かを明らかにする必要がある。

次のステップ

PrEPは、特に女性の間でHIV流行を変える可能性を秘めた新しい技術だ。しかし、単一の技術だけに焦点を絞っても、HIVに関連する保健・社会課題を解決できる可能性は低い。

南アフリカは、PrEPの規模を拡大するなかで、アクセスやサービス提供に関する課題と制約に注意を払い、地域社会と連携して、その可能性を十分に実現する必要がある。

ヨハネスブルクとケープタウンおよびその周辺を中心に、若い女性へのPrEP提供の最善策を考えるうえで参考となる小規模な研究プロジェクトがいくつか進められている。16~24歳の思春期の少女と若い女性500人以上が、これらのプロジェクトに参加している。目的は、南アフリカのような資源の限られた国で、思春期の若者にPrEPを提供するための拡張可能なモデルについて知見を深めることだ。

若い女性に向けたベストプラクティスや、費用対効果の高い拡張可能な提供モデルを理解できなければ、南アフリカがHIV予防・治療・ケアの中核的な介入策の効果を最大限に高めることは難しい。

不足を補うもう一つの重要なステップは、PrEPに関する地域社会の認知を高めることだ。抗レトロウイルス薬を毎日服用すれば、HIV感染リスクを低減できることを知らない人は多い。抗レトロウイルス薬やその副作用への懸念が多くの地域社会に根強く残っているため、その情報を伝えるのは難しい。

これは単なる認知度の問題ではなく、若い女性のHIV感染リスクを今なお形作っている根本的な課題にどう取り組むか、より幅広く議論する必要がある。スティグマ、女性に対する暴力、若者の性行為を非難する態度は、いずれも人々がPrEPを受け入れ、効果的に使うことを難しくしている。

PrEPへの理解と認知を深め、その流行の行方を変える可能性や、より広範なHIV予防プログラムの中で果たす役割を知るためには、幅広い議論が必要である。

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