エネルギー転換について、分かっていることと分かっていないこと

A general view of freeways leading into downtown Los Angeles after California issued a stay-at-home order due to coronavirus disease (COVID-19) in Los Angeles, California, U.S., March 23, 2020.
A smog-free LA: the pandemic is offering us a glimpse of a cleaner, more sustainable futureImage: REUTERS/Lucy Nicholson - RC2ZPF9RSXCZ
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  • パンデミックは、気候変動がもたらすであろう混乱の前触れとなっています。

  • しかし、よりクリーンで持続可能な世界を再建する機会でもあります。

  • パンデミックが明らかに複雑さを一層増していることを踏まえ、エネルギー転換について分かっていることと分かっていないことを見ていきます。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界に甚大な悲劇をもたらしており、すでに18万8,000人以上が命を落とし、今後数か月でさらに多くの人が亡くなる可能性があります。人々の悲劇と並行して、世界中に広がる経済的打撃は、数億人の生活と経済的安定に甚大な影響を及ぼしています。この大惨事からの回復には何年もかかるでしょう。数え切れないほどの家庭や企業にとって、生活は二度と元に戻らないでしょう。

この世界的な健康危機は恐ろしく破壊的ですが、気候変動がもたらす深刻さを増す混乱の前触れにすぎません。パンデミックから脱し始めるとき、人類には、世界中の地域社会のレジリエンスを高め、気候変動を引き起こす排出量を削減する、より持続可能なシステムを築き、より良い世界をつくるまたとない機会があります。

排出量の削減や継続的なコスト低下など、クリーンエネルギーシステムの利点がますます明確になっている一方で、化石燃料システムからの世界的な転換の進み具合は、依然として不透明です。その不確実性は、各国の政策立案者が、突然のパンデミックによる衝撃とエネルギーシステムの根本的な実情という複合要因にどう対応するかに大きく左右されます。エネルギーに関するグローバル・フューチャー・カウンシルは、最新のワーキングペーパーで、根本的な構造の観点からエネルギー転換の既知の要素と未知の要素を検討し、現在の世界的な健康危機が明らかに複雑さを一層増していることを認識しています。

分かっていること

エネルギー転換について最も確かな事実の一つは、気候変動の最も壊滅的な影響を避けるため、できる限り早く実現する必要があるということです。また、転換を可能にするために何が必要かも、おおむね分かっています。徹底した効率化と再生可能エネルギーを組み合わせて電力を脱炭素化し、ほぼすべてを電化し、それ以外の用途には水素などの技術を活用することです。

もちろん、エネルギーインフラをこれほど大きく転換するのは困難ですが、長期的には利益ももたらします。報告書は次のように述べています。「転換によって利益を得る人々は、現状維持によって利益を得る人々をはるかに上回る。化石燃料を輸入する国には、世界の人口の80%が暮らしている」。実際、世界の労働人口のうち化石燃料産業に従事するのはわずか1%であり、産業の利益の大部分は少数の化石燃料輸出国の手に渡っています。

転換に関するもう一つの明確な事実は、太陽光、風力、蓄電池、電気自動車(EV)など、新たなエネルギー技術のコストが継続的に低下していることです。報告書の筆頭執筆者キングズミル・ボンド氏は、Carbon Trackerに最近掲載した記事で次のように説明しています。「今日、世界のほぼすべての国で最も安価な電力源は再生可能エネルギーです。電気自動車は輸送システムを運用するうえでより安価な選択肢であり、EVの販売価格は従来型自動車と同等になろうとしています」。発電やEVのコスト低下に加え、鉄鋼やセメントなど他の分野での新たなイノベーションにより、重要な世界的素材の生産を、さらに安価な再生可能電力を使って増やせる可能性があります。イノベーション、成長、雇用がこうした新しいエネルギー技術へ移るにつれ、従来の化石燃料関連設備は、より急速に座礁資産となるでしょう。

最後に、クリーンエネルギー技術のコスト低下に関連する、比較的確実な第三の点は、既存の化石燃料技術の需要がすでにピークを迎え始めていることです。「急速なコスト低下を受け、主要な再生可能エネルギー技術は、S字カーブとして知られる指数関数的な成長曲線を描いて急速に拡大しています。そのため、特定の部門や国で増加するエネルギー需要を供給できるようになっています」。コストが継続的に下がる競合に直面し、既存の化石燃料技術はすでにピークを迎えつつあります。たとえば、欧州の化石燃料消費量は2006年にピークを迎えました。同様に、世界の石炭需要は2013年にピークを迎え、内燃機関車の世界需要も2017年にピークを迎えた可能性が高いとされています。同じ年に、49か国で排出量が減少し始めました。

これは、必要とされる持続可能なエネルギーシステムを築く機会ですImage: Statista

分かっていないこと

エネルギー転換の経済的・技術的な実情が比較的よく理解されているのに対し、不確実性の高い要素は主に政策に関係しています。エネルギーに関するグローバル・フューチャー・カウンシルのワーキングペーパーは、エネルギー産業の根本的な変化に対する政府、企業、社会の対応を予測するのは難しいと述べています。変化への抵抗は、特定の地域や部門で転換を遅らせる可能性がある一方、より積極的な変革への取り組みは、別の地域や産業で転換を加速させることもあります。最終的に、転換の速度は意思決定者の勇気にかかっています。

もう一つの重要な未知の要素は、化石燃料需要が世界的にいつピークを迎えるかです。突然のパンデミック危機によって、この不確実性はさらに高まっています。キングズミル・ボンド氏は最近のCarbon Trackerの記事で次のように述べています。「化石燃料の需要は急落し、2019年のピークを二度と上回らない可能性があります。世界経済が回復する頃には、需要の増加分はすべて再生可能エネルギー源で賄われるかもしれません」。

これまでに見てきたように、構造的なピークに近づいた部門が景気循環による低迷に直面すると何が起きるかは明らかです。ピークの時期が早まります。

最後に、第三の不確実な領域は、水素や炭素回収などの革新的技術の普及速度と規模です。こうしたイノベーションは、航空、海運、トラック輸送、鉄鋼、セメントなど、脱炭素化が難しい経済分野を完全に脱炭素化する方法について残る不確実性と密接に関係しています。しかし、こうした最終段階にある分野について、エネルギー転換を始めるために直ちに解決策を用意する必要はありません。

結論

パンデミックの影響でここ数か月の排出量が大幅に減少し、排出量の少ないエネルギーシステムで何が可能になるのかも、はっきりと見えてきました。そうしたシステムは、汚染の減少、質の高い雇用、病院などの重要施設へのより信頼性とレジリエンスの高い電力供給といった、即時の健康上の恩恵を数多くもたらすでしょう。パンデミック危機から回復するにあたって、より良い形で再建することが不可欠です。気候変動がもたらす壊滅的な危機に直面するリスクを減らすため、よりレジリエンスが高く、持続可能なクリーンエネルギーシステムを築く必要があります。

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