宇宙旅行があなたの健康維持に役立っている仕組み

Inigo Munoz Elorza of Spain works together with Stefan Dobrovolny of Austria (R) during a simulated Mars mission on Tyrolean glaciers in Kaunertal, Austria, August 7, 2015. The Austrian Space Forum is sending some of its researchers to practice weight-less walking in spacesuits on a glacier which resembles the terrain on Mars. REUTERS/Dominic Ebenbichler - RTX1NH0P
Technologies developed in space are solving serious health problems back here on earth.Image: REUTERS/Dominic Ebenbichler
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国際宇宙ステーションの宇宙飛行士は、新薬の開発に役立つ可能性のある結晶を育てています。地上で使われるようになった宇宙由来の医療技術を10例紹介します。

1. 脳腫瘍を切除するロボット

スペースシャトル時代にカナダで開発されたカナダアーム2は、国際宇宙ステーションの外側に取り付けられたロボットアームです。宇宙飛行士が危険度の高い船外活動を行わずに済むよう、ステーションの外でさまざまな作業に使われています。この技術をもとに、ニューロアームが開発されました。これは、MRI装置内で精密手術を行うことができ、たとえば脳腫瘍の切除が可能です。

稼働中のニューロアーム。

2. レーザー視力矯正手術に使われる視線追跡装置

宇宙では、重力がないため、目の動きや動きの知覚の仕方が変化します。微小重力下で通常の作業をしている宇宙飛行士の視線を把握するため、高性能の視線追跡装置が開発されました。目の動きは、レーザーによる視力矯正手術で課題となります。宇宙飛行用に開発された視線追跡装置は現在、レーザー光線を正確に照射するために、レーザーによる視力矯正手術で使われています。

3. 喘息患者の呼吸を助ける

一酸化窒素は、地上でも国際宇宙ステーションでも、空気中によく見られる汚染物質です。気道に炎症がある人では、喘息患者に見られるように、呼気中の一酸化窒素が増加します。欧州宇宙機関は、宇宙飛行士の呼気中の一酸化窒素を測定する装置を開発しました。この装置は、一酸化窒素を正確に測定し、炎症の可能性を検知します。これにより、宇宙飛行士は症状が深刻になる前に治療を受けられます。この技術は現在、喘息患者に活用され、肺の炎症によって呼気中に生じる一酸化窒素の量を検出しています。

4. 骨を丈夫に保つ

体に重力がかからない宇宙飛行士は、著しい骨密度の低下を経験します。これは、骨粗しょう症の高齢者に見られる骨量減少に似ています。毎日の運動で骨量減少を抑える取り組みが行われています。また、宇宙飛行士の研究から、ビスホスホネートを少量、週1回服用すると、骨量減少をさらに抑えられることが示されました。このような医薬品の発見は、すでに恩恵をもたらしています。地上で高齢化が進む人々にも。

5. 体温を測る

NASAジェット推進研究所では数十年前、惑星や恒星の温度を測定する赤外線技術が開発されました。1991年、この技術は耳式体温計に応用されました。耳式体温計はわずか数秒で体温を測定でき、正確な測定値が得られることが示されています。そのため、病院や診療所、さらには家庭で使うのにも適しています。

耳式体温計にはNASAが開発した赤外線技術が使われています。マーロン・ロペス、MMG1 Design/Shutterstock

6. 頭蓋内圧を測る

宇宙飛行士の視力変化を調べていた科学者たちは、頭蓋内の圧力上昇が視力変化の原因であり、その圧力上昇はさらに、脳脊髄液量の増加によって起こることを発見しました。飛行外科医には、こうした圧力変化を簡単に監視する方法が必要でした。英国での研究から、鼓膜の変位を利用して頭蓋内圧を測定する装置が生まれました。非侵襲的で、より迅速に、どこでも測定できます。

7. 腎臓結石の排出を助ける『スタートレック』風トラクター・ビーム

宇宙に滞在すると、腎臓結石ができるリスクが高まります。宇宙飛行士の場合、腎臓結石によって感染症や合併症が起こり、乗組員の退避が必要になるほど重症化することもあります。NASAとの研究により、『スタートレック』を思わせる携帯型超音波技術が開発されました。結石を検出し、動かして砕くことで、排出しやすくします。この技術は、地上の腎臓結石患者にも役立つ可能性があります。

8. 目立たない歯列矯正装置

半透明多結晶アルミナ。少々言いにくい名前です。この先進的なセラミックは、高強度で非常に透明度が高く、割れにくい素材で、防衛・航空宇宙分野向けに開発されました。この素材を使えば、歯の色に近い半透明の矯正用ブラケットを作れると考えられました。試験導入を経て、歴史上、最も成功した歯列矯正製品の一つとなりました。

9. 医療画像でけがやがんを発見する

デジタル信号の処理は複雑な場合があります。NASAはアポロ計画の時代、月面画像を鮮明にし、最適な月面着陸地点を探すため、高度なデジタル信号処理技術を先駆けて開発しました。こうした信号処理技術は現在、医師が患者を切開せずに体内を調べ、けがやがんを見つけるために、広くCT装置やMRI装置で使われています。この技術は今も開発が続いています。

10. 宇宙船のろ過システムから生まれた、簡便な腎臓透析

水は重いため、宇宙飛行士は地球から宇宙へ運ぶ水の量を減らす必要があります。そのため国際宇宙ステーションでは、尿を含むほとんどの液体を再利用し、浄化しています。こうしたろ過システムの開発にあたり、科学者たちは同じ技術を使って、使用済み透析液から有害な廃棄物を除去しました。これをもとに、常時給水や排水管への接続が不要な新しい透析装置が開発されました。消費電力が少なく、持ち運びもできるため、自宅で使えます。

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