女性の健康格差を解消するには:重点分野5つと研究の必要性

Young woman taking medicine from a pill box.
Underinvestment in women’s health is widening the gap – and limiting economic potential.Image: Unsplash/Towfiqu barbhuiya
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  • 1兆ドル規模の経済的機会が見込まれるにもかかわらず、現在、民間の医療投資全体のうち女性の健康に向けられているのはわずか6%です。

  • しかし、フォーラムの新たな報告書である「女性の健康への投資展望」は、この世界的な健康格差の解消に向けた機運が高まりつつあることを示しています。

  • 進展が期待される5つの重点分野から、戦略的投資がどれほどの変化をもたらし得るかが分かります。

女性の健康に投じる1ドルごとに、およそ3ドルの経済成長が生まれ、1兆ドル規模の機会につながる可能性があると、研究は示唆しています。

しかし、世界経済フォーラムの新たな報告書によると、民間の医療投資全体のうち女性の健康に配分されているのはわずか6%です。しかも、その投資の半分は、細分化された初期段階の企業群に向けられ、対象となる疾患も狭い範囲に集中しています。

「女性の健康への投資展望」はボストン コンサルティング グループとの共著で、女性の健康格差解消に向けた機運がさらに高まっていることも示しています。

ここでは、適切な戦略がどのような違いを生み、あるいは生み得るのかを研究が示す、女性の健康に関する5つの分野を紹介します。

体外受精――女性の健康におけるモデルとなるか

報告書は、体外受精(IVF)を、科学の進歩、需要の拡大、支援的な政策、重点的な投資を組み合わせることで、治療の規模を拡大し、アクセスを広げ、成長を持続させられることを示す事例として取り上げています。1970年代に始まったIVFは、公的医療制度や雇用主の医療制度でカバーされる範囲が広がり、患者が利用しやすくなるとともに、成長市場の基盤が築かれてきました。

IVF投資の推移と主な節目。Image: 世界経済フォーラム

ホルモン補充療法は認知症の発症を遅らせられるか

女性は男性よりアルツハイマー病を発症しやすい傾向があります。その割合は中年期以降に特に高く、ケンブリッジ大学による最近の研究は、更年期に起きる脳の変化が、女性のリスクがより高い一因となる可能性を示唆しています。別の研究では、そのため、ホルモン補充療法が女性をアルツハイマー病から守る役割を果たす可能性があると示唆されています。しかし、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンによる研究を統合した分析では、その効果を示す証拠は見つからず、この関係をさらに検討するには、今後の研究が必要だとされています。

子宮内膜症への認識を高める

子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が体内の別の場所で増殖する疾患で、激しい痛みや多量の出血を引き起こし、日常生活や仕事にも影響します。それにもかかわらず、診断までには平均8年かかります。

英国などでは、社会的認知の向上と政策面の支援が状況を変える力となります。英国の雇用審判所は最近、子宮内膜症の影響を理由に解雇された女性を支持する判断を下し、この疾患に苦しむ人々の法的権利を改めて確認しました。Endometriosis UKは、子宮内膜症に配慮した雇用主制度を運営し、子宮内膜症のある女性への認知向上と支援を組織に促しています。これにより、女性の健康における別の格差の解消を目指しています。

女性と男性で痛みの感じ方が異なる理由

通常、けがが治るにつれて痛みは軽減しますが、女性ではその過程により時間がかかる場合があり、慢性痛にもなりやすい傾向があります。ミシガン州立大学の研究は、免疫系がこの違いに影響している可能性を示しています。免疫細胞は炎症を引き起こす一方で、痛みの緩和にも役立ちます。この研究では、男性では女性よりも、免疫細胞が痛みを和らげる分子を産生する頻度が高いことが分かりました。これは、性別に応じた新たな痛みの治療法につながる可能性があり、同時に新たな成長機会を開くことも期待されます。

月経過多を早期に治療する

月経過多に悩む女性は多く、一般開業医による治療を受ける代わりに病院を受診することも少なくありません。英国の研究によると、2024年1~6月に98の病院で1,332人の女性が輸血を受け、患者1人あたりの費用は約5,000ポンドに上りました。治療法には避妊薬や、出血を抑えるトラネキサム酸などがあります。しかし、こうした症状が当たり前のものと見なされていることもあり、女性は早期の受診を先延ばしにしがちです。その結果、費用のかかる入院が必要となる貧血など、深刻な問題につながる場合があります。研究者らは、月経過多により積極的に対応できるよう、地域の女性健康支援拠点の設置と医療スタッフの研修強化を提言しています。

この5つの事例は、女性と男性の健康格差を解消する可能性と、その進展を加速させる方法を示しています。世界経済フォーラムの「女性の健康インパクト追跡プラットフォーム」は、マッキンゼー・ヘルス・インスティテュートと共同で開発され、女性の健康アウトカムの改善に向けた進捗を追跡しています。同プラットフォームは、シンガポール国立大学ヨン・ルー・リン医学部のアジア女性健康グローバルセンターが運営しています。同センターは、生涯にわたる女性の主要な健康課題に対応できるよう、プラットフォームを拡大することを目指しています。

また、私たちは女性の健康投資コンソーシアムを通じて、この取り組みを進めています。同コンソーシアムは、女性の健康分野への投資を促し、影響力の大きいイノベーションを加速させるために活動する、拡大を続けるパートナー連合です。優先分野について足並みをそろえ、資金と専門知識を結集することで、有望な解決策を開発段階から大規模展開へと進めています。

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