1日の異なる時間帯に運動すると、身体への影響も変わる

Zoomed in image of a runner, with orange trainers on grey steps.
New research shows how different tissues in our bodies respond to exercise at different times of the day.Image: UNSPLASH/ Bruno Nascimento
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  • 運動する時間帯が身体に及ぼす影響を調べた最近の研究で、朝と夕方では大きな違いがあることが明らかになった。

  • この研究ではマウスを用いた。限界はあるものの、運動する時間帯を健康増進にどう活用できるかについて、重要な知見をもたらしている。

  • この知見は、糖尿病や肥満などの疾患リスクがある人に運動を勧める際に役立つ可能性がある。

運動が健康を増進することはよく知られており、最近の研究では、運動が身体にもたらす効果は時間帯によって異なることが示されている。しかし、運動する時間帯によって効果が異なる理由は、科学者にもまだ分かっていない。理解を深めるため、国際的な科学者チームが最近、1日の異なる時間帯に行う運動について、これまでで最も包括的な研究を実施した。

研究では、運動後に身体が産生する、健康増進に関わるシグナル分子が、時間帯に応じて臓器ごとに異なることが示された。こうしたシグナルは健康に幅広い影響を及ぼし、睡眠、記憶、運動能力、代謝の恒常性に影響する。

研究結果は最近、学術誌Cell Metabolismに掲載された。

「運動が時間帯ごとに身体に及ぼす影響をより深く理解できれば、肥満や2型糖尿病などの疾患リスクがある人にとって、運動の効果を最大限に高める助けになるかもしれません」と、カロリンスカ研究所およびコペンハーゲン大学ノボ ノルディスク財団基礎代謝研究センター(CBMR)のジュリーン・R・ジーラス教授は述べる。

運動で乱れた体内時計を整える

ほぼすべての細胞は、概日リズムとも呼ばれる24時間周期に沿って生体プロセスを調節している。そのため、運動の効果に対するさまざまな組織の感受性は、時間帯によって変わる。これまでの研究では、概日リズムに合わせて運動することで、運動の健康増進効果を最適化できることが確認されている。

国際的な科学者チームは、この効果をより詳しく理解するため、マウスに早朝または夜遅くに運動させる一連の実験を行った。血液サンプルと、脳、心臓、筋肉、肝臓、脂肪を含むさまざまな組織を採取し、質量分析法で分析した。これにより科学者たちは、各組織にある数百種類の代謝物やホルモンのシグナル分子を検出し、異なる時間帯の運動によってそれらがどう変化するかを追跡できた。

その成果が「運動代謝アトラス」だ。異なる時間帯に運動した後、さまざまな組織に存在する運動誘発性シグナル分子を包括的にマッピングしたものだ。

「複数の組織における時間帯と運動に依存した代謝をまとめた初の包括的研究であり、全身の代謝モデルや臓器間のクロストークを構築・精緻化するうえで大きな価値があります」と、ヘルムホルツ・ミュンヘンのヘルムホルツ糖尿病センターで計算科学による探索研究を率いるドミニク・ルッター氏は付け加える。

新たな知見には、組織同士がどのように情報を伝え合うかについての理解の深化や、運動が特定の組織で乱れた概日リズムを「再調整」する助けとなる仕組みが含まれる。乱れた概日時計は、肥満や2型糖尿病のリスク上昇と関連付けられている。また、この研究では複数の組織で新たな運動誘発性シグナル分子が特定された。それぞれが単独で、あるいは相互に作用して健康にどう影響するかを理解するには、さらなる調査が必要だ。

「異なる時間帯の運動に対して各組織がどう反応するかを示しただけでなく、こうした反応がどのようにつながり、全身のエネルギー恒常性を制御する協調的な適応を引き起こすかも提案しています」と、コペンハーゲン大学CBMRの准教授で、論文の共同筆頭著者であるヨナス・トゥー・トレーバック氏は述べる。

今後の運動研究に役立つ資料

この研究にはいくつかの限界がある。実験はマウスで行われた。マウスは人間と多くの遺伝的、生理学的、行動的特徴を共有する一方、重要な違いもある。たとえば、マウスは夜行性であり、運動の種類もトレッドミル走に限られていたため、高強度運動とは異なる結果が出る可能性がある。さらに、性別、年齢、疾患の影響は分析で考慮されなかった。

適切な時間帯に運動することで、全体的な健康の改善につながる。Image: Neuroscience News/Shogo Sato

「限界はあるものの、重要な研究です。運動を適切な時間帯に行えば健康改善にどう役立つかをより深く理解するための、今後の研究の方向性を示しています」と、テキサスA&M大学生物学部および生物時計研究センターの助教で、共同筆頭著者でもあるショウゴ・サトウ氏は述べる。

共同筆頭著者であるケネス・ダイアー氏(ヘルムホルツ・ミュンヘンのヘルムホルツ糖尿病センター、代謝生理学部門長)は、このアトラスが運動生物学者にとって包括的な資料として役立つ点を強調した。「この資料は、エネルギー代謝物や既知のシグナル分子について重要な新しい視点を示しますが、まだほんの入り口にすぎません。データを活用して、組織や時間帯に特有の新たなシグナル分子を特定できる例をいくつか示しています」と同氏は語る。

この研究は、コペンハーゲン大学、カロリンスカ研究所、テキサスA&M大学、カリフォルニア大学アーバイン校、ヘルムホルツ・ミュンヘンの共同研究によるものだ。

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