共和党のドナルド・トランプ大統領は、就任後最初の行動の一つとして「グローバル・ギャグ・ルール」を復活させた。これは、中絶を提供または助言する保健サービスへの資金援助を打ち切る政策だ。
メキシコシティ政策とも呼ばれるグローバル・ギャグ・ルールは、ロナルド・レーガン政権時代に始まった政策だ。米国の家族計画援助を受けるには、外国の非政府組織(NGO)が「家族計画の手段として中絶を実施したり、積極的に推進したりしない」と証明することを求める。
このルールは、歴代の米政権下で廃止と復活を繰り返してきた。民主党の大統領は全員が撤廃し、共和党の大統領は全員が再導入している。今回の政権の対応は驚くにあたらない。

しかし、今回の復活は過去の措置よりも広範囲に及ぶ。これまでは、米国外の組織がこの政策に従う必要があるのは、家族計画支援予算から資金を受けている場合に限られていた。今回は、米国が外国の組織に提供するすべての世界保健支援に適用される。
これは何を意味するのだろうか。
資金削減の影響は中絶サービスにとどまらず、HIV検査やカウンセリング、包括的な性教育、避妊サービスなど、あらゆる医療サービスに及ぶ。そして、そうしたサービスを最も必要とする人々に影響を与える。
米国は国際的な家族計画事業への最大の拠出国だ。2015年には、低・中所得国に6億3,800万ドルを提供した。
NGOや家族計画団体は、グローバル・ギャグ・ルールが壊滅的な結果をもたらすと主張している。
たとえば国際家族計画連盟(IPPF)は、米政府から受け取るはずだった1億ドルがあれば、防げた可能性があるのは、妊産婦の死亡2万件、意図しない妊娠480万件、安全でない中絶170万件だったとしている。

さらに、HIVとともに生きる妊婦27万5,000人への治療、意図しない妊娠やHIVなどの性感染症を防ぐためのコンドーム7,000万個の提供、HIV検査72万5,000件、性感染症52万5,000件の治療も可能だったという。
国連財団は、グローバル・ギャグ・ルールが世界で最も弱い立場にある少女や女性の健康と福祉を脅かし、妊娠に関連する合併症で亡くなる女性や乳児が増えると述べている。
グローバル・ギャグ・ルールの支持者は、社会で最も弱い立場にある胎児を守っていると主張する。
しかし、ネパール、ケニア、ザンビアなどでグローバル・ギャグ・ルールの影響を記録してきたエンジェンダーヘルスは、過去の政策では中絶は減らなかったと指摘する。包括的な家族計画を利用できないことは、実際には望まない妊娠の増加につながる。
不足分を補う国々
グローバル・ギャグ・ルールの復活による資金不足を補おうと、他の国々が支援に乗り出した。
ブリュッセルでの会議は、ルールの再導入への即時対応として1月に急きょ開催された。45か国以上が参加し、「She Decides」と題した世界的な取り組みのもと、1億8,100万ユーロ(1億9,000万ドル)を集めた。
会議を主催した4か国、オランダ、ベルギー、スウェーデン、デンマークは、それぞれ少なくとも1,000万ユーロ(1,100万ドル)を拠出すると約束した。
スウェーデンはその後、拠出表明額を2,000万ユーロ(2,100万ドル)に引き上げた。カナダとフィンランドも、それぞれ約2,000万ユーロ(2,100万ドル)を約束した。ノルウェーは1,000万ユーロ(1,100万ドル)を拠出すると表明し、ルクセンブルクも1,000万ユーロ(1,100万ドル)を拠出すると表明した。
慈善活動家も参加した。たとえば、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は2,000万ドルの拠出を表明した。
匿名の米国人寄付者1人が5,000万ドルの拠出を約束し、チルドレンズ・インベストメント・ファンド財団の創設者、クリス・ホーン卿は、1,000万ドルの拠出を表明した。
英国は拠出を表明しなかったが、家族計画に2億ポンド(2億5,000万ドル)の予算があることを明らかにした。英国政府はさらに、この問題を議論するため、夏に首脳会議を主催する予定だ。
オーストラリアは会議に出席したものの、資金拠出は表明しなかった。代表者は「オーストラリアは、外交政策と援助事業を通じて性と生殖に関する保健サービスを推進し、提供することに、長年取り組んできた」と述べた。
She Decidesが集めた資金は、グローバル・ギャグ・ルールの影響を最も受ける組織に提供される。これらの組織は、開発途上国で性と生殖に関する保健の取り組みを進めている。このキャンペーンの目標額は6億ドルだ。
批判者は、この資金援助は事実上、中絶を推進するものだと主張する。しかし、ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー外相は、会議の主催者の一人として、こう述べた。「はっきりさせておきたいのは、中絶は一件でも多すぎるということです。しかし、実施せざるを得ないのであれば、安全な形で受けられるようにすべきだと私は考えます。」
トランプ大統領は2月の上下両院合同会議での演説で、女性の健康は依然として政権の優先事項だと述べた。「政権は、保育を利用しやすく、負担しやすいものにするため、また、新しい親が有給の育児休暇を取れるよう支援し、女性の健康に投資し、きれいな空気ときれいな水を守るため、両党の議員と協力したいと考えています。」

