データとデジタル化が金融の未来を支える理由

Lady sits at laptop, watching a video on her phone whilst working at home. A prime example of the recent rapid digitisation following COVID-19.
COVID-19 has forced rapid digitisation that would have previously taken years.Image: Unsplash/Hj barraza
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  • COVID-19により金融サービス業界ではデジタル化が急速に進みましたが、業界のレジリエンスを高めるにはさらなる取り組みが必要です。ステファン・シグリスト博士が解説します。

  • 変化としては、非接触型決済、分散型取引所向けソリューション、自動化された投資などの採用が挙げられます。

  • 本稿では、シグリスト氏が、金融サービス事業者がデジタル技術と社会の進歩を組み合わせ、イノベーションを促進する存在となる方法を解説します。

明日の金融業界の基盤は、データとアルゴリズムにあります。とはいえ、デジタル化そのものが目的なのではありません。長期的なイノベーションの基盤となるのは、経済的進歩と社会的進歩を結びつけることです。そのための前提条件は、デジタル・ソリューションの機会と限界を的確に理解することと、金融サービス事業者を21世紀のイノベーションを可能にする「イネーブラー」と位置づける包括的なパートナーシップです。

現状の診断は明確です。コロナ危機の後、世界は取り返しのつかない形でデジタル時代に突入しました。金融業界においても、データ、アルゴリズム、バーチャルなコミュニケーションが21世紀のビジネスモデルと顧客との関係にとって不可欠な基盤であることは、最後まで懐疑的だった人々にも明らかになりました。パンデミックは主に、さまざまな強制措置を伴うデジタル化の推進をもたらし、分散型取引所、自動化された投資推奨、非接触型決済といった既存のソリューションを一般市場に急速に広めました。通常の状況であれば数年を要したであろう、働き方、コンサルティング、取引の文化的基盤に関わるプロセスが、数か月のうちに現実のものとなったのです。

このように、危機は保健制度、経済、社会、そして金融業界にとってストレス・テストであっただけでなく、現在もそうであり、将来の可能性と同時に限界も容赦なく明らかにしています。この観点から見ると、危機を、先見性を持つ関係者に学びの機会を提供する、壮大な世界規模のパイロット・プロジェクトと捉えることには十分な意義があります。

明らかな結論は、2020年代初頭の金融業界のデジタル化は、ブロックチェーン・ソリューションやAIベースのアプリケーションによって喧伝されてきた大変革の寸前にあったわけではなく、むしろ、主にビット、バイト、ビットコインによって特徴づけられるものではない、はるかに長く包括的な変革の始まりにあった、というものです。金融業界にとっての結論は次のとおりです。

(デジタル)技術だけでは戦略にはなりません。技術は目的を達成するための手段にすぎないのです。その結果、長期的なソリューションは利用者の将来のニーズに基づくものでなければならないことが、これまで以上に明確になっています。具体的に言えば、症例数を毎日または毎時間公表できるからといって、市民がリスクをより適切に評価したり、長期的な意思決定を行えたりするわけではありません。同様に、金融市場の動きを個人顧客や少額の貯蓄者にスマートフォンでリアルタイムに送信できても、利益の増加や全体像の把握にはほとんど役立ちません。さらに、特に複雑な問題においては、人と人との直接的な接触が鍵となります。それは、繊細な健康診断を明確に説明する場合でも、長期的な資産計画を立てる場合でも同様です。また、これまでに示されてきたことですが(この知見は金融サービス事業者にとっても重要です)、重要なのは個人のニーズだけでなく、社会全体のニーズでもあります。接触追跡の理論上の利点がどれほど有用であったとしても、市民が自らのデータを共有することを信頼しなければ、実際にはほとんど役に立ちません。金融の世界に置き換えてみても、一般市民の信頼がなければ、ビットコインからリブラに至る暗号資産も、アルゴリズムに基づく投資推奨も、長期的には成功しないことは明らかです。トークン化やNFTが将来の資産クラスとして新たな可能性を持つことを考えると、この要件はさらに重要になります。必要なデータセンターが指数関数的に増加していることによる、いまだ注目されていない環境負荷も見据える必要があります。

この観点から、未来志向でレジリエントな金融サービス事業者にとって、3つの行動分野を導き出すことができます。

1. 体系的な早期認識の構築:変化のダイナミズムが高まる中、企業にとって、そして規制当局にとっても、新たな技術的可能性に先見的に対処し、関連する機会と課題をビジネスに、そして何よりも社会的な枠組み条件に反映させることが不可欠になりつつあります。その結果、常に最新のトレンドや流行を追い求めるのではなく、より安定性と長期的思考を重視する、未来に向き合う能力が高まります。

2. 利用者と社会の将来のニーズとの整合:レジリエンスの核心は、現状を回復することだけにあるのではなく、市場の将来のニーズに合わせることにあります。しかし、そのためには、その核心が将来どのようなものになるのかを定義することも求められます。個人や組織の金融面での懸念を単に最適化するだけでは、もはや十分とは言えないでしょう。保険会社は、銀行と同様に、伝統的に経済的・社会的進歩において中心的な役割を果たしてきました。鉄道網の建設や、新時代の幕開けを告げた工場など、第一次産業革命や第二次産業革命の文脈において大規模プロジェクトに資金を提供することによってです。社会保険の導入は、生産性の向上と同時に、医療や高齢者への備えを提供することを可能にしたため、初期の「社会イノベーション」と見なされています。第四次産業革命を見据えると、データに基づく経済、そして持続可能な経済への移行には、先見性のある投資が必要であることは明らかです。金融サービス事業者が「真の変革者」となるためには、社会的ニーズを先見的に特定し、市場ベースの進歩と社会的進歩を結びつけることが求められます。これは信頼の基盤を築くだけでなく、国際競争における雇用主としての魅力も高めます。

3. 分野横断的なネットワークの構築:一方で、利用者や社会を志向したサービスを開発するためには、新たな革新的ソリューションを統合するためのインターフェースを備えた、安定的で効率的なプラットフォームが必要です。これにはまず、国内および国際レベルでの�拘束力のある標準の策定が必要ですが、それは業界が規制当局とともにのみ定めることができます。金融サービス事業者のサービスについて、金銭的側面だけに基づくのではなく、「デジタルなウェルビーイング」の理解に基づく人々の一般的な要求に基づいて提供するという全体論的な理解を目指すなら、従来の銀行や保険のエコシステムが目指すものをはるかに超える新たなパートナーシップが開かれつつあります。こうしたパートナーシップに加え、国際競争において自らを位置づける必要性も高まっています。コロナ禍からの「学び」として、また金融セクターが歴史的に果たしてきた役割を踏まえると、特にスイスにとって、昨日だけでなく明日の安全と安定に焦点を当てた立場が開かれつつあります。経済と社会の相互連関をその基盤とし、真に革新的なソリューションやサービスをもって国際競争に臨むという認識もあります。

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