オーストラリアでは4分ごとに、誰かががんと診断されています。診断を受けた人のうち、治療中および治療後に十分な運動をするのは10人に1人にすぎません。しかし、患者は一人残らず運動の恩恵を受けるでしょう。
私は、がん患者を治療する医療従事者を代表するオーストラリアの主要団体、Clinical Oncology Society of Australiaの一員です。本日、私たちはほかの25のがん関連団体とともに、運動を処方するよう求めています。がん患者全員に対し、通常のがん治療の一環として処方することを求めています。
本日、Medical Journal of Australia誌に掲載された私たちの計画では、がんとその治療による悪影響を抑えるため、手術、化学療法、放射線療法と並行して運動を取り入れることを提案しています。
私たちの提言は何か
かつて、がん患者には休息し、活動を避けるよう助言されていました。しかし現在では、こうした助言は患者に害を及ぼす可能性があり、がんを患うすべての人が運動療法の恩恵を受けられると分かっています。
大半の医師や看護師は運動が有益だと認めていますが、患者のがん治療計画の一部として、日常的に運動を処方しているわけではありません。
私たちは、がん患者のケアに携わるすべての医療従事者が、次のことを行うべきだと考えています。
1. 運動をがん治療計画の標準的な一部と位置づけ、患者と話し合う
2. がん患者に運動ガイドラインの遵守を勧める
3. がん医療の経験がある運動生理学者または理学療法士を患者に紹介する。
なぜ運動を処方するのか
定期的に運動するがん患者は、治療による副作用が少なく、症状も軽くなります。また、がん再発の相対リスクが低く、がんによる死亡の相対リスクも低くなります。
運動の効果を錠剤に詰め込めるなら、世界中のすべてのがん患者に処方され、がん治療における大きな進歩とみなされるでしょう。「運動」という錠剤があれば、がん患者はそれを求め、がん専門医は誰もが処方し、政府は費用を助成するはずです。
がんとその治療は、人々の生活に甚大な影響を及ぼし、身体的・精神的な健康を損なう深刻な問題を引き起こすことがあります。
研究によると、運動はがん患者が強度の高い治療に耐えられるよう助け、がんによる身体機能の低下を抑え、がん関連疲労を軽減し、精神的苦痛を和らげ、生活の質を高めることが示されています。
適切に処方し、経過を確認すれば、運動はがん患者にとって安全であり、合併症のリスクも比較的低いです。
通常のがん医療の一環として運動療法を導入すれば、人々の生活を変えるだけでなく、費用の節約にもつながる可能性があります。運動するがん患者は、医療費が少なく、仕事を休む期間も短くなります。
具体的には何を処方すべきか
運動の専門家は、医師が薬を処方するのと同じように運動を処方できます。がんが健康に与える影響を把握し、特定の運動が身体の各システムの構造や機能をどう改善するかを理解したうえで行います。
個別プログラムでは、がんによる悪影響を抑えるために必要な作用機序や用量に基づき、特定の種類の運動を適切な強度と量で行います。
エビデンスに基づくガイドラインでは、がん患者は現在の能力や状態に応じて、できる限り身体を動かすことが推奨されています。大きな健康上の効果を得るには、次を目指します。
1. 週に少なくとも150分、中強度の有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など)
2. 週に2~3回、主要な筋群を対象に中強度から高強度で行う筋力トレーニング(ウェイトリフティングなど)。
これらの推奨内容は、合併症のリスクを最小限に抑え、効果を最大限に高めるため、個人の能力に合わせて調整する必要があります。
患者はどうすれば処方された運動を実践できるか
これほどの運動量は、多くのがん患者にとって難しく思えるかもしれません。しかし、がん医療の経験を持つ運動の専門家が支援できます。患者の病状、治療への反応、予想される健康状態の推移に基づき、個別のプログラムを作成します。
オンラインの名簿を使えば、近隣で活動する認定運動生理学者や理学療法士を探せます。これらのサービスは、メディケアや民間医療保険による助成の対象です。
また、患者は体系化されたがん患者向け運動療法プログラムを選ぶこともできます。私が主導するEX-MED Cancerなどがその例です。こうしたプログラムは、がん患者に対する運動療法の安全性と有効性を最大限に高めるよう設計されています。



