バングラデシュで獣医師として働き始めた最初の12年間、ビカシュ・チャンドラ・サハ氏は日常的に抗生物質を処方していた。だが、薬剤耐性が人間の健康に及ぼす壊滅的な影響を知り、治療の選択が一変した。
抗生物質などの抗菌薬に対する致死性疾患の耐性が高まっていることは、人間の健康に対する最大級の脅威の一つとみなされている。しかし、過剰使用の危険性に対する認識は、特に発展途上国で依然として低い。
今、国連はこの世界的な脅威との闘いの最前線に立つ人々を教育している。その一人が、バングラデシュ最大級の養鶏企業で働くサハ氏だ。
最近の研修に参加したサハ氏は、電話でトムソン・ロイター財団に「私の考え方も、抗生物質の選び方も確実に変わりました」と語った。
「以前は(動物にとって)何が最善の選択肢かに意識が向いていました。研修を受けて、薬剤耐性の脅威を知りました。私の家族や子どもたちにとっても脅威です。これは新しい発見でした。」
致死性の細菌は抗菌薬への耐性をますます強めている。2016年の報告書は、薬剤耐性感染症によって2050年までに年間1,000万人が死亡する可能性があると指摘した。
家畜は問題の大きな部分を占めている。特にアジアでは、所得の上昇に伴い魚や肉の消費が増えている。
先月発表された報告書によると、ほとんどの国で人間への抗生物質の使用には処方箋が必要だが、農業で成長促進を目的とした使用を制限している国は半数に満たない。
スマートフォンアプリ
サハ氏によると、かつて家畜専用の抗生物質だったコリスチンは、今では他の薬が効かない場合に人命を救える最後の手段となっている。バングラデシュでは動物に広く使われていたが、研修を受けて以来、同氏や他の獣医師たちは使用にいっそう慎重になった。
この研修は国連食糧農業機関(FAO)が実施した。同機関は2月以降、抗生物質使用に関する国際的に認められた指針について、バングラデシュで獣医師や医師を約150人訓練してきた。
この指針は現在、携帯電話アプリでも利用できる。これは、抗菌薬を扱う人々に過剰使用の危険性を伝えようと国際機関が進める、数々の革新的な取り組みの一つだ。
薬剤耐性により年間1万9,000人の超過死亡が生じているタイでは、この問題をめぐる専門用語をわかりやすくするため、英語、タイ語、ベトナム語、ラオス語、ビルマ語のオンライン辞書を作成している。
プロジェクトを率いる、バンコクのマヒドン大学のディレク・リムマトゥロツァクル助教は、「メコン地域では、細菌とウイルスの違いをはっきり理解していない人がいます」と話した。
「ウイルスが原因のかぜに、今でも抗生物質がよく使われています。」
「抗生物質という言葉でさえ、さまざまな呼び方があります。タイでは、抗炎症薬や消毒薬と呼ばれることもあります。」
一律禁止
専門家によると、抗生物質を単に禁止しても効果はない。農家が従う可能性は低いからだ。
その代わり、薬に関する知識を深めれば、アジアの農場での抗菌薬使用を減らせると期待されている。現状の使用量が非常に多いため、ここは比較的取り組みやすい分野とみられている。
ベトナムでは、薬剤使用の削減を目指す試験プロジェクトの一環として、養鶏農家120人が疾病の予防と管理に関する研修を受け、無料の獣医相談も利用する予定だ。
プロジェクトの主任研究者フアン・カリケ=マス氏は、「守られる可能性が低い抗生物質の禁止措置を導入するのではなく、農家と獣医師の知識基盤を強化しています」と話した。
ホーチミン市にあるオックスフォード大学臨床研究ユニットのカリケ=マス氏はさらに、「基準値を見ると使用量は非常に多いので、生産性と健康状態をさらに改善しながら、使用量を30~50%減らすのは比較的容易だと思います」と述べた。
同地域の農場における抗生物質使用のデータは依然として乏しいが、収集が始まっていると、FAOと協働する英国人専門家のスザンヌ・エックフォード氏は語った。
エックフォード氏は、抗生物質の一律禁止に反対した。特に、食料生産に意図しない影響を及ぼす可能性があるためだ。
「ただ『何かをするな』と言うだけではだめです」と同氏は語った。「代わりに何をすべきかを伝え、生産性があり経済的にも成り立つ仕組みを維持できるようにしなければなりません。」


