パンデミックで食品市場が一変、米国の酪農家が牛乳を廃棄

A sign is seen on the milk and dairy display case at a Target store in Manhattan during the outbreak of the coronavirus disease (COVID-19) in New York City, New York, U.S., April 1, 2020. REUTERS/Brendan Mcdermid - HP1EG411CSD1W
Despite high demand, thousands of gallons of milk is going to waste.Image: REUTERS/Brendan Mcdermid
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  • 新型コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱で、米国では大量の生鮮食品が廃棄されている。

  • 食料不足と乳製品への高い需要があるにもかかわらず、米国酪農家連盟は農家に牛乳の廃棄を要請せざるを得なくなった。

  • サプライチェーンの混乱により、農家は農産物を市場に届けられない。

  • 乳製品は保存期間が短く傷みやすいため、新型コロナウイルスの影響は他の農業分野よりも大きく、早く表れている。

酪農家のジェイソン・リードルは、火曜の夕方に電話を受け、胃がよじれるような思いをした。

「牛乳の廃棄を始めてください」と、米国最大の酪農協同組合である米国酪農家連盟(DFA)の担当者は告げた。

新型コロナウイルスのパンデミック下で乳製品などの基礎食品への需要が強いにもかかわらず、牛乳のサプライチェーンでは数々の混乱が起き、酪農家が製品を市場に届けられなくなっている。

レストランや学校が相次いで閉鎖されたことで、卸売りの外食市場から小売りの食料品店へと需要が急転換し、牛乳、バター、チーズを加工する工場は物流や包装面で深刻な問題に直面している。乳製品を運ぶ運送会社は、ウイルスを恐れて仕事を辞めた運転手もいるなか、必要な運転手の確保に奔走している。また、外食産業が世界的にほぼ停止したため、主要な乳製品輸出市場への販売も途絶えている。

農家、農業経済学者、食品流通業者によると、酪農業界の苦境は世界の食料サプライチェーンが抱える、より広範な問題を示している。乳製品は非常に傷みやすいため、酪農業は他の農産物よりも大きな打撃を早く受けた。牛乳は肉のように冷凍できず、穀物のようにサイロに貯蔵することもできない。

一方、世界各地で他の食品分野にも混乱が広がっている。移動制限により、果物や野菜の植え付け、収穫、流通に必要な労働力が制約されているほか、冷蔵コンテナやトラック運転手の不足により、一部地域では肉類や穀物などの主食の輸送が滞っている。

リードルは牛乳を市場に届けられれば、おそらく販売できるだろう。パンデミック中、消費者が自宅で過ごすなか、食料品店では乳製品の需要が高まっているが、買いだめは落ち着き始めている可能性もある。今週初め、地元の店はリードルの妻に、全国の小売店が需要の高い商品の購入を制限するなか、1回の買い物で買える乳製品は合計2点までと伝えた。

「本当に胸が張り裂ける思いです」と、リードル(36歳)は納屋の中で語った。牛たちは静かに鳴き、搾られた牛乳はそのまま糞尿溜めに流されていく。「目に入るのは、牛乳が排水溝へ流れていく光景だけです」

リードルは先週から毎日、480頭の牛から搾った牛乳4,700ガロンを廃棄している。組合員7,500人を擁するDFAはロイターに対し、協同組合に属する他の一部農家にも同様の対応を要請したと述べたが、その数は明らかにしなかった。

数千ガロンの牛乳が廃棄されている。Image: ロイター経由

酪農協同組合は、組合員全員の牛乳の販売を管理し、輸送の手配を担う。リードルによると、自分や他の農家が廃棄している牛乳の代金は支払われるが、売上の損失により、組合員全体への支払いは減ることになる。

別の協同組合であるランド・オレイクス社も、組合員に牛乳を廃棄せざるを得なくなる可能性があると警告した。ウィスコンシン州に拠点を置く別の協同組合、フォアモスト・ファームズUSAは、さらに厳しい見通しを示した。

「今こそ、群れの淘汰を少し増やすことを検討する時です」と、同協同組合は3月17日付の組合員宛て書簡で述べた。「牛乳の集荷と加工が困難になる可能性があると考えています」

当事者である酪農家にとって、状況は非常に心を揺さぶるものだった。Image: ロイター経由

バターやチーズの加工工場も所有する同協同組合は、牛乳の廃棄も視野に入っていると述べた。

乳製品に対する消費者の需要が急増するなかで、牛乳の廃棄が起きている。全国で事業所の閉鎖や隔離措置が続くなか、買いだめによりここ数週間、食料品店の棚はほぼ空になった。ニールセンのデータによると、3月21日までの週の牛乳の小売販売量は前年同期比で約53%増加し、バターの販売は127%超、チーズは84%超増加した。

食料品店は消費者への販売価格も引き上げている。ニールセンのデータによると、3月21日までの週の牛乳の平均小売価格は前年同期比で11.2%上昇した。

レストランの閉鎖がサプライチェーンを混乱させる

トラック運転手の確保も課題の一つだ。農業団体は、より多くの食品を配送できるよう、高速道路でのトラックの重量制限を引き上げるよう各州に働きかけている。

一部工場の勤務シフトを早めに開始し、遅くまで稼働させているディーン・フーズ社は、酪農業界での経験がある運転手に1,000ドルの入社ボーナスを提示している。会社の広報担当者によると、同社は74の欠員を埋めるのに苦労している。

もう一つの大きな問題は、今や一斉に閉店しているレストランから食料品店へと需要が急転換し、深刻な物流上の課題が生じていることだ。供給業者は、レストラン向けの卸売り包装から、店舗向けの小売商品への切り替えに苦慮している。

「米国の消費者の食費の約半分はレストランで使われていましたが、その流れを止めてしまったのです」と、業界誌『Dairy & Food Market Analyst』の編集者、マット・グールドは語った。

例えば、ある種類のチーズの製造から食料品店向けのチェダーチーズのくさび形カットの製造に切り替えるには、新たな設備の設置に数百万ドルかかると酪農業界のアナリストは述べる。ファストフード店向けのプロセスチーズスライスに使う樽型チーズなどからの切り替えがその例だ。また、外食向けに細切りチェダーチーズを10ポンド入りの大袋に詰める工程から、小売店向けの8オンス袋に切り替えるだけでも、高価な新しい包装ロボットやラベル貼付機が必要になる。

新たな設備を導入して生産ラインを変更するには、数百万ドルが必要となる。Image: ロイター経由

米国有数の乳製品メーカー兼食品流通業者であるシュライバー・フーズ社は、通常レストラン業界に供給する乳製品加工工場の従業員の勤務時間を減らし、米国の小売市場向けに商品を供給する工場の人員を増やしていると、広報担当者のアンドリュー・トビッシュは述べた。

先週の時点で、小売向け工場は処理能力の限界に達していた。

「一部の工場には、トラックが来すぎているほどです」とトビッシュは語った。「配送が滞り、運転手はますます長く待たされています」

一方、レストランに向かうトラックは送り返されている。ウィスコンシン州プリマスにあるサルトーリ・チーズでは、レストランの顧客が注文した食品の受け取りを拒否したと、社長のジェフ・シュワガーは述べた。数週間前に届けられた注文を返品できるかと問い合わせてきたレストランもある。しかし、適切に取り扱われたか確認できないため、加工業者はチーズを引き取って再販売することも、寄付することもできないとシュワガーは語った。

サルトーリの食料品店の小売業者の一部は、巨大なチーズホイールを並べた高級チーズ売り場を閉鎖し、代わりに包装済みの持ち帰り用カットチーズを置くとシュワガーに伝えている。店側は、チーズ売り場の従業員を棚への品出しなど別の業務に回したいという。

そのため、サルトーリ・チーズでは、需要が急増して現在品薄となっている、異なるサイズの包装用フィルムがはるかに多く必要になる。

食肉生産者や果物・野菜農家も、卸売りから小売りへの切り替えに苦慮している。その結果、十分な供給があるはずの商品が食料品店の棚で品薄になっている。

ノースダコタ州のジャガイモ農家、ポール・スプルールによると、フライドポテトなどレストラン向け商品を大量生産する加工業者は、買い付けを停止した。多くは、消費者向けの包装や、店頭の陳列スペースを確保するための小売店との関係がないため、小売り向けに切り替えられない。

不足を補う

農村地域では、パン店などの小規模な食品小売店が、食料品店で品薄になっている商品を扱い始めている。インディアナ州の農業町ロスビルでは、地元のパン職人サンドラ・ハフォードが食品卸売業者から、バター、カッテージチーズの容器入り商品、牛乳数ガロンなどの食料品を仕入れた。

「今は支払いをしたくない顧客が大勢いて、現金で支払う顧客が必要だと言われました」と、フラワー・ミル・ベーカリーを経営するハフォードは語った。

ハフォードはパン店の冷蔵ケースに商品を補充し、店のFacebookページに受け取りと配達が可能な商品を掲載した。情報は広まった。今では、60マイル離れたインディアナポリスからも顧客が注文し、食料品を受け取りに車でやって来る。

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