スライド式の壁、隠せるオフィス:パンデミックは住宅設計をどう変えうるか

Future of home designs.
From affordability to useability, architects are responding to the new demands.Image: Studio Belem
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  • COVID-19は、世界各地で住宅設計と住宅の手頃さに関する様々な課題を浮き彫りにしました。

  • 新しい設計は、居住者にとって適切な空間を生み出しつつ、空間を最大限に活用することを目指しています。

スペインでコロナウイルスによるロックダウンが6月下旬に終わった時、テレサ・シルビ氏の優先事項の筆頭は、家で過ごす時間が格段に増えた今、家族がより適した場所で暮らせるよう、自宅のアパートを売却して別の住まいを探すことでした。

幼児と夫と一緒に3カ月間リモートワークを続けたことは大変な挑戦であり、特に専用の作業スペースがないことが困難だったと、この大学の研究者はトムソン・ロイター財団に語りました。

「おもちゃや汚れた皿が転がっているのが見えると集中できません。自分だけの作業スペースを確保して、仕事とプライベートを切り分けられることがとても大切なのです」と、バルセロナの高級住宅街サン・アントニ地区に住むシルビ氏は述べました。

「赤ん坊が泣いている時は、ノイズキャンセリングのヘッドホンを着けて、ただ座って仕事をしようとするしかありませんでした」

都市生活者が世界中で、数カ月にわたるロックダウンを経て暮らし方を見直すなか、建築家たちは、スライド式の壁や隠せるオフィススペースを取り入れるなどして、リモートワークに適したアパートの再設計方法を検討しています。

「今後、人々がこれまで以上に頻繁に在宅勤務をするようになるのであれば、家の中に、仕事と生活を切り分けられる本格的な空間と仕組みが必要になります」と、ロサンゼルスの建築事務所HKSでデザイン・ディレクターを務めるグレッグ・ベラビアン氏は述べました。

「一日中キッチンに座ってカンファレンスコールに出るのは、快適だとは思えません」と、電話インタビューで同氏は語りました。

シルビ氏は、家族には、その日の必要に応じて、区切って閉じたり開放したりできる柔軟な空間のあるオープンプランの住まいが必要だと話します。その空間は、オフィスにもプレイルームにもなるとのことです。

特に家族や、中高密度の集合住宅で暮らす人々にとって、アパートをより順応性の高いものにすることが重要だと、世界的な設計会社ジェンスラーのシカゴ拠点のディレクター、アンドレ・ブラムフィールド氏は述べました。

「柔軟性が鍵であり、特に多世帯住宅ではそうです。問題は、家族が一緒にいられるようにしながら、その住戸の中で各自が一人になれる避難場所も確保するにはどうすればよいか、ということです」と同氏は語りました。

一寸の空間も無駄にしない

HKSは、住戸の床面積を増やさずに、オフィス環境の技術と構造をアパートに取り入れて、価格を抑えようとしている、とベラビアン氏は説明しました。

同社の新しい設計には、大人が仕事をしたり、子どもが遊んだり、ティーンエイジャーが宿題をしたりと、用途に応じて使える高さ調節可能なワークスペースが含まれています。

その下には収納スペースがあり、一日の終わりには、移動式のパネルの裏に机を隠すこともできます。

同氏によると、これらの試作品は、「一寸の空間も無駄なく使われている」日本のアパートに一部着想を得たものだということです。

フランスとモロッコにルーツを持つ建築設計事務所スタジオ・ベレムは、柔軟な空間という概念をさらに推し進め、壁の代わりにスライド式のパネルを使い、家具を一体化したシステムを取り入れることで、住まいをできる限り流動的なものにしています。

同事務所の共同創設者の一人、エドゥアール・ベタンクール氏によると、同社の「アウラ・モドゥラ」のアパート建築のコンセプトは、若い家族やシェアハウスを対象としており、そこでは住人の数が変わる可能性があるとのことです。

「廊下は無駄なスペースなので、ありません」と同氏は語りました。「寝室はすべて隣り合わせに配置されています。スライド式のパネルを使えば、部屋を好きなように完全に開けたり閉めたりできます」

将来の住宅設計がどのようになるかを示すイメージ。Image: スタジオ・ベレム。

朝はヨガ空間や子どもの遊び部屋として使い、夜には寝室に変えることができます。また、客人を夕食に招く場合は、寝室のドアをスライドさせて開けることで、リビングルームを広げることもできる、と同氏は述べました。

このコンセプトは、当初はパリ向けに設計されたものでしたが、どの都市にも応用できるものであり、同事務所は現在、モロッコ向けに適応させている、とベタンクール氏は語りました。

「その場所の状況や、そこで人々がどのように暮らしているかを分析する必要がありますが、このモデルは変更可能であり、それもまたこのコンセプトの一部なのです」と同氏は語りました。

裕福な都市生活者が住まいの在り方を見直す一方で、先進国と途上国の両方の都市は、手頃な価格の住宅が深刻に不足しているという問題に取り組んでいます。

例えば、シンガポールの外国人労働者用の寮や、インドのスラム街でコロナウイルスの感染者が急増したことで、移民労働者の劣悪な住宅環境に注目が集まっています。

「パンデミックは、世界的な富の不平等の拡大を明らかにしましたが、手頃な価格の住宅を建設するにあたり、設計、政策、市場の力のバランスを取ることは、常に困難でした」とブラムフィールド氏は述べました。

外側を内側へ取り込む

スペインの建築事務所エストゥディオ・ラメラは、6月に、空気、光、緑、安全、接続性、柔軟性の6つのコンセプトに基づいた、パンデミック後のアパートの試作品を発表しました。

この設計では、不要な扉や壁をすべて取り除き、部屋を一列に配置することで、使われない空間を減らし、換気を改善し、できる限り多くの光を取り込めるようにしています。

こうした光と植物に満ちたアパートは、屋外スペースを持たない都市生活者のために、室内と屋外の隔たりを埋めることを目指していると、同事務所はウェブサイトで述べています。

「このコンセプトはかなり実験的であり、すべてはウェルビーイングに関わるものです。こうした要素は、少しずつアパートに取り入れられていくと思います」と、スペインを代表する建築家であり、同事務所のオーナーであるカルロス・ラメラ氏は語りました。

同氏はさらに、パンデミックは住宅建築の設計に長期的な影響を与え、アパートはすぐにではなく、次第に自然に近いものへと進化していくだろうと付け加えました。

「非常に緩やかな変革が起こるでしょう」と同氏は語りました。「パンデミックのおかげで、私たちは振り返り、成熟する時間を得て、屋外スペースの拡大、新鮮な空気、自然の要素など、こうした変化を加速させることができました」

例えば、バルコニーはこれまで以上に重要になっている、とHKSのベラビアン氏は述べています。

「バルコニーは特権ではなく権利であるべきです。特に多世帯住宅に住む家族にとってはそうです。ただし、実際に使えるものでなければなりません」と同氏は語りました。

つまり、テーブルと椅子を置くスペースを確保し、ドアを開け放しても十分な余地があるようにするには、奥行きが約6フィート(1.83メートル)、幅が少なくとも8フィート(2.44メートル)あるべきだと、ベラビアン氏は指摘しました。

都心部にあり、公園へのアクセスが乏しいことの多い中高密度の集合住宅では、共有の緑地空間の拡充も不可欠であると、ジェンスラーのブラムフィールド氏は述べました。

「住戸の中から行き来でき、かつ建物の敷地の一部でもある、非常に安全で管理された環境の中で、人々が安心して過ごせる別の安全な避難場所や、一人になれる空間をどのように提供できるかを考える必要があります」と同氏は語りました。

建物の敷地内に、大きな一つの緑地ではなく、小規模な屋外スペースを点在させることは、ウイルスの拡散に対してより良い防御となるだろうと、この建築家は指摘しました。

しかし、こうした調整には時間がかかると同氏は語りました。

「私たちは皆、このパンデミックを通じて、そしてその後の世界がどのようになるのか、まだ理解しようとしているところです」とブラムフィールド氏は語りました。

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