COVID-19により、仕事、育児、家事の負担が強まっています。
シニア職の女性は、男性の同僚よりも著しく大きなプレッシャーにさらされています。
黒人女性は十分な支援を受けられておらず、人種的暴力の影響も受けています。
新たな報告書によると、COVID-19の影響により、女性の4人に1人がキャリアのダウンシフトや労働市場からの完全な離脱を検討しています。
「最大200万人もの女性が休職や労働市場からの完全な離脱を検討しています」と警告しています。「Women in the Workplace(職場の女性)」は、米国企業における女性の現状を扱った、最大規模の包括的な調査です。
「多くの従業員が疲弊し、燃え尽きています。特に女性は悪影響を受けており、母親、シニア職の女性、黒人女性の3つのグループが、それぞれ特有の課題に直面しています。」
本報告書は、経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーと、女性支援団体LeanIn.Orgが発行したものです。
主な調査結果は以下の5点です。
1. COVID-19により、多くの母親が労働市場から押し出される可能性があります
母親は、父親に比べてキャリアのダウンシフトや労働市場からの離脱を考える傾向が著しく高く、その主な理由は育児の負担です。
1歳と5歳の2人の子どもを持つ、アジア系アメリカ人のシニアマネージャーの女性は、調査でこう語っています。「夫に『どちらかが仕事を辞めなければならないわね』と言ったこともありました。そのとき、『どうして私だけがこのことを考えていて、夫は考えていないのだろう』と思いました。夫が仕事を辞めるなんて、一度も考えたことはありませんでした。」
また、母親は、育児の責任があることで職場でより厳しく評価されるのではないかと心配する割合が、父親の2倍以上に上ります。
2. 企業はリーダー層の女性を失うリスクにさらされています
ある働く母親(3歳の子どもを持つバイスプレジデント)は、調査の著者らにこう語りました。「毎日、朝8時から夕方6時まで、会議が途切れる時間が一瞬もありません。水を一杯飲んだり、お手洗いに行ったり、子どもの様子を確認したりする余裕もまったくありません。」
同じ職位の男性と比べ、シニア職の女性は、より多く働き、「常に業務に対応できる状態」であることへのプレッシャーを感じる割合が著しく高くなっています。また、COVID-19の影響により、キャリアのダウンシフトや労働市場からの離脱を検討する割合は、シニア職の男性より1.5倍高くなっています。燃え尽き症候群を主な理由に挙げる人は、4人に3人近くに上ります。
3. COVID-19の期間中、黒人女性は職場で支えられていると感じにくい状況にあります
黒人女性は、COVID-19のパンデミック期間中における最大の課題の一つとして、愛する人の死を挙げる割合が、女性全体の2倍以上に上ります。米国各地で起きている人種的暴力も、精神的に大きな負担をかけています。
しかし、最近の人種的暴力を受けて上司から気遣いの声をかけられたと答えた黒人女性は、3人に1人に満たないことが分かりました。また、上司がチーム内で包摂的な文化を醸成していると答えた人は、約3分の1にとどまりました。
「ジョージ・フロイド事件の後、本当の沈黙がありました。その沈黙によって、自分でも気づいていなかったほど深い傷が開かれたように感じました」と、黒人でありラテン系でもあるマネージャーの一人が、調査の著者らに語りました。
4. 女性が直面する中核的な課題に対し、企業はどのように対応できるか
報告書は、雇用者がCOVID-19以前に設定した生産性や業績への期待が、今も現実的かどうかを確認し、仕事と生活の境界線を設ける手助けをする必要があると指摘しています。例えば、会議の時間帯をあらかじめ決めておくといった方法が挙げられます。
また、職場における無意識の偏見についての認識を高める必要もあります。例えば、ビデオ通話の背後で子どもが遊んでいることを、仕事への熱意が低いと決めつけるような思い込みに異議を唱えることなどです。
従業員は、メンタルヘルスカウンセリングなど、利用可能な福利厚生の全容を把握しておく必要があります。また企業は、事業の状況や、従業員の仕事と生活に影響を与える重要な決定について、より定期的に情報共有を行うべきです。
5. 企業は黒人女性をどのようにより良く支援できるか
黒人女性の昇進と支援に対して明確な責任を表明し、その重要性について明確な説明とともに従業員に伝えてください。
「多くの従業員は、黒人女性が職場でかなり厳しい経験をしていることに気づいていません」と著者らは述べています。「従業員がこのことを理解すれば、組織内の黒人女性を擁護する姿勢をより強く持つようになるでしょう。」
企業はまた、黒人女性が十分に評価され、包摂される文化を育むことが必要です。
経済学者たちは、COVID-19が働く女性に与えている影響を「シーセッション(she-cession)」と名付けています。
例えば、2020年8月時点で、女性の労働供給量は依然として、2020年2月の景気後退前の水準を20%下回っていました。一方、男性の労働供給量の減少は9%にとどまりました。
世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書2020」は、2019年12月に発表されたもので、ジェンダー・パリティ(男女平等)の実現までには、少なくとも99.5年かかると指摘し、行動の緊急性が高まっていることを強調しました。
世界経済フォーラムは「新経済社会の形成のためのプラットフォーム」を通じて、以下の取り組みを進めています。「ジェンダー・ギャップ解消のための国別アクセラレーター」および「将来の仕事にジェンダー・パリティを組み込む」は、新しい働き方を包摂的なものにするための、企業による取り組みの枠組みです。
COVID-19によって、ジェンダー平等に向けた数十年の進展が後退する恐れがある今、この取り組みはこれまで以上に急務となっています。
