新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後、元の暮らしには戻れない。しかし、前に進む道はある。

A vendor wearing a face masks stands in a store as the Italian government allows the reopening of some shops while a nationwide lockdown continues, following the outbreak of coronavirus disease (COVID-19) in Catania, Italy, April 14, 2020. REUTERS/Antonio Parrinello - RC294G99KZ61
A vendor wearing a face masks stands in a store as the Italian government allows the reopening of some shops while a nationwide lockdown continues, following the outbreak of coronavirus disease (COVID-19) in Catania, Italy, April 14, 2020.Image: REUTERS/Antonio Parrinello
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  • 世界がCOVID-19パンデミックからの回復を進めるなか、マッキンゼー・アンド・カンパニーの「3つのホライズン」フレームワークは有用なモデルとなる。

  • しかし、コロナウイルスによる混乱を受け、通常の行動の順序を変える必要がある。

  • ニーズと優先事項を評価し、時間軸に沿って整理することで、政府、企業、個人は「新しい日常」に対応できる。

COVID-19パンデミックの拡大と広範なロックダウンが数週間続いた今、危機によって組織の戦略的意思決定の枠組みがどのように揺るがされたかを総括し、目の前の危機の先を見据えるための新たな枠組みを構築しなければならない。

平時に企業が成長を持続させるために用いる古典的な戦略フレームワークの一つが、マッキンゼー・アンド・カンパニーの「3つのホライズン」フレームワークである。1990年代後半に初めて提唱されたこのフレームワークは、成長を長期にわたって維持する企業は、3つの戦略的な「ホライズン」にまたがって取り組みを管理するという考え方に基づいている。

第1のホライズンの取り組みは、今日最も大きな価値を生む中核事業の施策であり、卓越した業務遂行と優れた実行力を必要とし、経験豊富な管理職が担う領域である。第2のホライズンの取り組みは、規模拡大の段階に差しかかった、実績のある新たな機会に対応するもので、事業の位置づけと構築を必要とし、戦略担当者や事業開発担当者が担う領域である。そして第3のホライズンの取り組みは、しばしば破壊的変化への予測に基づく長期的な賭けであり、先見の明を持つ人々や未来予測の専門家が担う領域である。

ポストCOVID-19の世界に向けた新たなフレームワーク

しかし、COVID-19パンデミックのような大きな混乱が、極めて短期間で世界経済を襲ったらどうなるだろうか。突然、私たちは鏡の向こう側に入り込む。ホライズンの順序は逆転し、未来予測の専門家だけが思い描いていた世界が、データ端末やソーシャルネットワークのフィード、テレビ画面でリアルタイムに展開している。

ほぼ一夜にして、第3のホライズンが第1のホライズンとなった。ファッションブランドは手術用マスクを作るため生産ラインの転換を急ぎ、自動車メーカーは人工呼吸器を生産し、ビール醸造所や香水メーカーは手指消毒剤を製造している。今や最後のホライズンが示すのは、かつて第1のホライズンにあった世界、つまり、人々が家を出てカフェや映画館に行き、買い物をして生活必需品以外の商品を購入し、国内外をほぼ自由に旅行できる世界である。

北アフリカや中東など、深刻な打撃を受けた地域では影響がさらに大きくなる可能性がある。Image: Statista

それでも、この新しい世界で、パンデミックの性質とそれへの対応を踏まえた形で、3つのホライズン・フレームワークを活用できる。このシナリオでは、第1のホライズンは、世界の多くがすでに直面している、あるいはまもなく直面する可能性の高い段階である。これは危機が顕在化するホライズンであり、社会は一変した状況に対応しようと奔走し、パンデミックの「曲線を平坦化」するための抜本的な措置を講じている。

おそらくこれに続く第2のホライズンは、完全な回復ではないものの、危機のさなかでもない段階を示す。この段階では、最も厳しい制限は解除される一方、ほかの制限は維持され、二次的な感染拡大を受けて新たな制限が導入されることで、サプライチェーンや旅行計画が混乱する。このホライズンでは、公衆衛生上の危機に経済的影響が続き、その一部は政府の対応によって形づくられる。

そして、新たな第3のホライズン、「その後」が訪れる。COVID-19の公衆衛生危機への対応が新しい日常に取り込まれるか、新たな混乱に取って代わられる段階である。一方で、この「新しい日常」は、単に「以前」の状態に戻ることではない。パンデミックへの対応によって、政府の経済における役割の拡大からリモートワークの導入まで、逆戻りさせることが難しいいくつもの変革プロセスが加速している。しかし、パンデミック前とはまったく異なる世界になる可能性も低い。過去30年間の金融面・技術面の混乱から、社会を構成する要素のうち、長期間使われるインフラから複雑な規制の枠組みまで、迅速に変えるのが難しいものがあると私たちは学んできた。

3つのホライズン・フレームワークから得られる教訓

従来の3つのホライズン・フレームワークから得られた教訓のうち、いくつかは新たな枠組みにも当てはまるだろう。第1の教訓は、第1のホライズンの取り組みに差し迫って必要な資源と注意が、第2、第3のホライズンから常に奪われるリスクがあるということだ。平時にも当てはまるが、危機の際には特にそうである。

第2の教訓は、戦略的な規律がなければ、多くの組織が取り組みを組み替え、偏りのあるポートフォリオを作ってしまう可能性があるということだ。この状況では、第2のホライズンを犠牲にして第1と第3のホライズンに過剰投資するのは、特に危険かもしれない。混乱の波を経た後、多くの組織が態勢を立て直すうえで、第2のホライズンが最も重要な分岐点となる可能性があるからだ。

しかし、こうした教訓は、混乱と不確実性の状況に合わせて適応させる必要がある。危機における第1のホライズンは、「平時」よりはるかに激しく、変化も速いため、経営幹部の関与がはるかに重要となる。同様に、混乱の時期には第3のホライズンを明確に見通すことがより難しくなる。過去に戻る可能性と、さらなる大きな混乱に道を開く可能性との間で揺れ動くからだ。しかし、この時期に特に難しいのは、第2のホライズンに向けた効果的な取り組みのポートフォリオを構築し、支えることかもしれない。そこでは「平時」より早く成熟する取り組みがある一方、規制環境が急速に変わるため、予測が難しくなる可能性もある。

3つのホライズン・フレームワークは、企業だけでなく、政府、社会的企業、さらには家族や個人が優先事項を見極め、エネルギーと資源を配分する際にも役立つ。危機の最中から回復の過程まで、視野が狭くなって身動きが取れなくなるのを防ぐためである。

この記事は当初、Mediumに掲載された。

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