MITの教授が、COVID-19を音楽で表現した。
振動するウイルスを、静止画よりも明瞭に表現できるという。
心に響く音楽には、科学への応用の可能性もある。
インタビューは、こちらのWorld Vs Virusポッドキャストでお聴きください。
コロナウイルスのタンパク質がトゲ状であることは、今や誰もが知っています。では、どんな音がすると思いますか?
マサチューセッツ工科大学の工学教授が、その答えを示してくれました。ウイルスの構造の各部分に音符を割り当て、ひとつの楽曲を作り上げたのです。それは結果的に、ブライアン・イーノが先駆けとなったアンビエント音楽に似ています。
「耳にしているのは、ウイルスのスパイクタンパク質を音楽で表現したものです。このタンパク質がヒトの細胞に影響を及ぼします」と、マルクス・ビューラー教授はWorld Vs Virusポッドキャストで語りました。
ビューラー教授によれば、ウイルスを音楽で表現することで、ウイルスの絶え間ない動きや振動を示せない従来の静止図よりも、実態を正確に捉えられるといいます。
「原子や分子は絶えず動いているので、化学の教科書に載っているような見た目とは実際には違います。振動する弦のように見えるのです」
ビューラー教授の関心を引いているのは、まさにその振動です。振動を利用してウイルスに対抗できるかどうかを研究しています。
「このタンパク質やほかのタンパク質について、ナノスケールの振動に関する知識を構造の分解に活用できないか、ここ数年考えてきました。
「私は仕事で材料の破壊について多くの研究をしており、破壊を防ごうとすることもよくあります。しかし今回は、構造を意図的に壊す方法を見つけようとしているのです。振動はそれを実現するうえで非常に重要な手段です」
タンパク質を音楽に置き換えて生まれる、互いに結びついたハーモニーからは、私たち自身の創造のプロセスについても何かが分かるかもしれません。
「対位法は、音楽家たちが何世紀にもわたって取り組み、探求してきたものです。実際、対位法という考え方はタンパク質の構造、とりわけタンパク質の折り畳みや、脳の折り畳みにも顕著に見られることが分かりました」とビューラー教授は述べました。
つまり、音楽を「芸術や創造性の表現としてだけでなく、この芸術を生み出した基盤となる構造、すなわち人間の脳について学ぶ手段として」捉えることができるのです。

