新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡率は、大幅に過大評価されている可能性があります。その理由は以下のとおりです

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  • 検査が十分に行われていないため、新型コロナウイルスに感染した人の多くは公式統計に表れません。

  • このことから、死亡率の推計の多くは高すぎるということになります。

  • データの共有と報告のための、より優れた体制を構築する必要があります。

公衆衛生疫学とは、疾病を予防し健康を増進するために数えるという科学です。特定の疾病の新規症例数を数えたものを罹患率(incidence)といいます。そして、その疾病が集団内でどれだけ広がっているかを数えたものを有病率(prevalence)といいます。

COVID-19に関しては、数えることそのものが課題となってきました。数多くのニュース記事や報告があるにもかかわらず、この新しい疾病の罹患率や有病率について、私たちはほとんど把握できていません。予測はモデルに基づいており、この不確実性が恐怖を生んでいます。私の故郷であるニューヨークをはじめ各地で、ほぼすべての人の頭の中が恐怖でいっぱいになっています。

中国の患者データを用いて、公衆衛生当局は当初、COVID-19症例の80%が無症状か軽症であると推計しました。病院のベッド、医療従事者、検査キットが不足しているため、症状の重い人だけが病院を受診するよう勧告されています。米国を含め検査が不十分なことから、多くの地域では現在、入院患者のみが症例として数えられています。重篤な体調不良を感じていない人々は自宅にとどまり、静かに回復していきますが、その人たちが症例として数えられることはありません。これは重要な問題です。なぜなら、そうした人々は公式統計のいずれにも表れないからです。

例えば、軽症のニューヨーク市民の女性を考えてみましょう。彼女はかかりつけ医に電話をします。医師は検査ではなく、症状に基づいてCOVID-19の疑いがあるという臨床診断を下します。症状が重くないため、彼女は自宅にとどまるよう勧められます。医師がその診断を保健当局に報告する仕組みはないため、彼女が回復しても、症例として数えられることはありません。症状が悪化して入院が必要になった場合、または検査を受けた場合にのみ、COVID-19の症例として計上されます。彼女が死亡すればCOVID-19による死亡として計上されます。生存した場合は、まったく計上されることはありません。

感染者数が確定すると、それは最終的に公衆衛生上の計算における分母になります。死亡者数は分子です。

分子(死亡者数)を分母(感染者数)で割り、100を掛けたものが感染致死率です。

ウイルスは、ひとたび集団に持ち込まれると非常に速く広がることを私たちは理解しています。つまり、一般の人々の多くは、症状の有無にかかわらず、すでにウイルスに感染している、あるいは感染していた可能性があるということです。

検査率と計数方法は国によって大きく異なりますImage: Our World in Data

しかし、分母に感染者全員を数える代わりに、米国を含む多くの国では、病院に行くほど症状が重い人しか数えられていません。これは選択バイアスとして知られています。病院を受診するほど症状が重い人は、軽症の患者よりも集中治療を必要とする可能性が高いためです。

さらに、検査を行っていても、使用される検査の種類や使い方によっては、現在感染している人しか数えられていない可能性があります。これもまた、分母の過小評価につながります。

これは何を意味するのでしょうか。分母(感染者数)が本来あるべき数より小さいため、分子(死亡者数)の影響力が大きくなるということです。その結果、報告される感染致死率(分子を分母で割った値)は、本来あるべき数値より高くなります。

言い換えれば、病院を受診した人だけを数えることによって、COVID-19で死亡した感染者の割合を過大評価しているのです。これは恐怖を引き起こす危険なメッセージであり、その原因はすべて誤った分母にあります。

今後数日間で、特に病院がますます混雑し、医療の配給制を取らざるを得なくなるにつれて、多くの地域で死亡率は悪化して見えるでしょう。COVID-19やその他の疾病によって失われたすべての命の悲劇を認識しつつも、実際よりもCOVID-19感染者のうち高い割合の人が死亡しているように見えてしまうでしょう。

他の疾病と異なり、COVID-19については、検査が十分でも適切でもないのが現状です。そのため、どれだけの人がすでに感染しており、その結果もはや感染のリスクがないのかを評価することが困難になっています。大多数の人は感染し、回復しますが、自分がウイルスを保有していた、あるいは感染力があったことに気づかないままでしょう。

米国内および他の国々から集められた、年齢、基礎疾患、死亡時に服用していた薬剤、その他の要因による死亡に関するデータは、COVID-19が集団レベルと個人レベルでどのように作用するかを理解する助けとなり得ます。この情報は、最もリスクの高い人々に予防の取り組みを集中させるうえで極めて重要になるでしょう。

その間にも、症例数の説明の仕方を見直し、データの共有と報告のためのより優れた体制を構築する必要があります。

そしていつかは、日常生活を取り戻し、再構築する時がくるでしょう。その際には、数週間にわたる恐怖、孤立、不安によって引き起こされたメンタルヘルスの危機への対応も新たに加わります。その多くは、分母を正確かつ明確に定義することで和らげられていたかもしれません。

Anna Matterson、Susanna Lehtimaki、Katie Holland も本稿に寄稿しています。

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