新型コロナウイルス感染症のパンデミックは自然にとっての休息ではない――危機の後にこそ休息を実現しよう

Burned for opening of soybean field in the region near Flona Tapajós. Some of the uncontrolled fires pass into an area controlled by ICMBio.
Nature is facing increased pressure during the pandemic – but the right response can heal our health, our economy and our planet.Image: Flavio Forner/Conservation International
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  • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間、自然は休息を得ているという誤解があります。

  • 実際には、熱帯地域の多くの農村部で、土地の収奪、森林破壊、違法採掘、野生生物の密猟による圧力が高まっています。

  • 人々の健康、経済、気候、生物多様性をめぐるこの危機に対応するには、長期的にレジリエンスのある社会を築く解決策が必要です。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックのさなか、世界のメディアは危機の「明るい側面」として、自然が休息を得ていると報じています。人々が外出を控えざるを得ないなか、ケープタウンの街を歩くペンギン、アデレードを歩き回るカンガルー、そしてボゴタ郊外を探検するカニクイキツネなどがその例です。こうした話題とともに、デリーやソウルの上空に広がる澄んだ空気、さらにはロサンゼルスの状況も報じられています。

しかし、こうした報道は、とりわけ都市部で世界中の人々に課された移動制限によって、母なる地球が恩恵を受けるかのような誤った印象を与えています。

残念ながら、都市部の外では状況は大きく異なります。農村部では豊かさに乏しく、人々にとって自然が主な貯蓄口座です。食料を得て生計を支えるため、狩猟、漁業、伐採が必要です。都市に移り住み、隔離措置によって雇用や収入の機会を失った人々が、農村の故郷へ戻っています。その結果、天然資源への圧力がさらに高まると同時に、農村部へ新型コロナウイルス感染症が広がるリスクも上昇しています。

同時に、土地の収奪、森林破壊、違法採掘、野生生物の密猟に関わる機会主義的な行為者や犯罪集団は、各国政府の関心が自然保護ではなく新型コロナウイルス感染症に向いている状況につけ込んでいます。アジア、アフリカ、そしてラテンアメリカでは森林破壊が増加しているとの報告があります。ケニアの地域主体の自然保護区や、エクアドルのガラパゴス諸島、フィリピンのトゥバタハ岩礁のような象徴的な自然遺産など、自然保護の資金を観光に依存する地域は、観光が停止したことで資源の減少に直面しています。一方、金の違法採掘や、ラテンアメリカとアフリカでの宝石採掘は、価格が急騰し、保護地域の監視が手薄になるなかで増加しています。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に森林破壊が増加しているとの報告があります。Image: Haroldo Castro/Conservation International

自然や農村部へのこうした圧力の高まりは、経済が回復し、各国政府が自然保護に再び注力できるようになるまで続くと予想されます。この状況は、現在のパンデミックのような感染症の流行を抑えるうえで、自然保護は二次的な課題だという誤った印象を生みます。しかし、保護の不備が今回そして将来の感染症流行の原因となっている可能性があります。土地利用の変化は、病気の伝播を引き起こす主要な要因です。野生生物から人へと病気が広がるのです。搾取や生息地の喪失によって脅かされている種は、他の脅威にさらされている種と比べ、人獣共通感染症の感染源となる可能性が2倍高いとされています。生物学者のトーマス・ラブジョイはこう指摘しました。「このパンデミックは、自然への執拗で過度な侵入と、広範に行われている野生生物の違法取引の結果です。」

パンデミックの間に違法採掘が増加した国もあります。Image: Pete Oxford

森林破壊、違法採掘、密猟が増加している国の政府は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中も、法執行の取り組みを緊急に維持する必要があります。同様に重要なのは、各国が環境に配慮した構造転換を促す形で経済を再建する計画を今から立てることです。これには、公共支出への長期的なコミットメントや価格制度の改革も含まれます。制限が解除された後は、各国政府と開発金融機関の双方が、経済への乗数効果が大きく、炭素排出量を削減する景気刺激策を優先すべきです。最近の研究では、中央銀行関係者や財務省からの意見をもとに、いくつかの優先政策が特定されました。自然を活用した気候変動対策に加え、マングローブ、熱帯林、泥炭地など、炭素を豊富に蓄える生態系の保護、そして生態系の再生に向けた農村部への支援です。こうした政策は特に、土地利用の変化が炭素排出の主な発生源となっていることが多い熱帯諸国に有益です。こうした投資は生物多様性にも追加的な利益をもたらし、人獣共通感染症の流行リスクも減らすため、現在のパンデミックの重要な根本原因にも対処できます。

気候と生物多様性を議題の最優先事項に据え続けることも同様に重要です 。2020年以降もその姿勢を保ち、指導者たちはあらゆる機会を活用して機運を維持しなければなりません。国連の枠組みのもとで行われる世界的な取り組み(国連総会の自然サミット、国連気候変動枠組条約、生物多様性条約)が不当に延期されないよう、あらゆる努力を尽くす必要があります。必要に応じて会合をオンラインで開催することもできます。各国は協力することでより強くなり、国際協力こそ、将来の存亡に関わる脅威を解決する最善の機会です。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、医療制度だけでなく、食料システムやサプライチェーンにおいても、私たちがどれほど互いに依存しているかを示しています。ひとつの地球に生きる、ひとつの人類です。今こそ、協調的なリーダーシップという課題に取り組み、 ともに行動して、この危機から世界経済の再構築へと歩みを進めるときです。人々と自然 をこの再構築の中心に据え、再分配、再生、回復を実現しなければなりません。

人々と地球の繁栄は、今日、大胆な決断を下してこそ実現できます。そうすることで、将来の世代が 生き延び、繁栄できるのです。

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