米疾病対策センター(CDC)のマスクと呼吸用保護具に関する指針は、過去2年間に何度も変更されてきました。
ここでは、機械工学者が優れたマスクの条件を明らかにします。
また、織布マスクが新型コロナウイルスに対して最も効果が低い理由も説明します。
米疾病対策センター(CDC)は、過去2年間にマスクと呼吸用保護具に関する指針を何度も変更し、直近では2022年1月14日に更新しました。この更新では、布製のフェイスカバーは、サージカルマスクやN95規格相当のマスクと比べて、新型コロナウイルスに対する防護効果が最も低いとしています。クリスチャン・ロランジュは機械工学者で、パンデミックの発生当初から、コロラド州のためにマスクの性能を検証してきました。新たなCDC指針と、優れたマスクを決める科学的根拠について解説します。
1. CDCの指針はどう変わりましたか?
CDCは現在、次のように推奨しています。「自分に合い、継続して着用できる範囲で、最も防護効果の高いマスクを着用してください」。では、吸い込む空気をろ過して自分を守り、吐き出す空気をろ過して周囲の人を守るには、どの種類のマスクが最も効果的なのでしょうか?
CDCの改訂指針は、防護効果の序列を明確に示しています。「目の粗い織布製品は防護効果が最も低く、細かく織られた布を重ねた製品はより高い効果を発揮します。顔にぴったり合う使い捨てサージカルマスクやKN95はさらに高い効果があり、顔にぴったり合うNIOSH認証の呼吸用保護具(N95を含む)が最も高い防護効果を発揮します」。
性能の観点から見ると、N95とKN95が最適な選択肢です。サプライチェーンの制約から、パンデミック初期にはCDCはN95を着用しないよう推奨していましたが、現在は容易に入手でき、最大限の防護を求めるなら第一の選択肢にすべきです。
新しい指針で最も大きく変わったのは、布製マスクに関する点です。CDCの以前の指針では、一部の布製マスクは許容できる水準の防護効果を提供できるとしていました。新しい指針も、布製マスクが一定の防護効果を持つことは認めていますが、選択肢の中で最下位に位置づけています。
2. N95、サージカルマスク、布製マスクの素材にはどのような違いがありますか?
マスクの有効性、つまり着用者をどれだけ守れるかは、主に二つの要素で決まります。一つ目は、素材が粒子を捕集する能力です。二つ目は、吸い込んだ空気や吐き出した空気がマスクの周囲からどれだけ漏れるか、つまりマスクがどれほど顔にフィットするかです。
多くのマスク素材は、細い繊維が絡み合った網のようなものと考えられます。マスクを通過する粒子は、繊維に物理的に触れると捕捉されます。N95、KN95、サージカルマスクは、空気中の粒子を効果的に除去できるように設計されています。繊維は一般に、溶融したプラスチックから作られ、多くの場合ポリプロピレン製です。糸は非常に細く、直径が0.004インチ(10マイクロメートル)未満であることも珍しくありません。これは人の髪の毛の幅のおよそ3分の1です。こうした細い繊維によって、マスク内部には粒子をろ過・捕集するための大きな表面積が生まれます。N95、KN95、サージカルマスクに使われる素材は、具体的な構造や厚さに違いがありますが、フィルター材はよく似ていることが多いです。
これらの繊維は非常に密に詰められているため、粒子が通り抜ける隙間はごく小さくなります。その結果、粒子がマスクを通過する際に繊維に触れ、付着する可能性が高くなります。また、こうしたポリプロピレン素材には多くの場合、粒子を引き寄せて捕らえる助けとなる静電気があります。
布製マスクは通常、綿やポリエステルなど一般的な織物で作られています。繊維は太く、密度も低いことが多いため、粒子は素材を容易に通り抜けます。層を増やせば効果は期待できますが、重ねる層が増えるほど効果は逓減し、布製マスクは何層重ねても通常、サージカルマスクやN95と同等の性能には達しません。
3. マスクのフィット感はどれほど重要ですか?
マスクの有効性を左右するもう一つの大きな要素は、顔へのフィット感です。マスクの素材が完璧で、通過する空気からすべての粒子を取り除けたとしても、空気が漏れない場合にのみ防護効果を発揮できます。
息を吸うときも吐くときも、空気は常に最も抵抗の少ない経路を通ります。マスクと顔の間に隙間があれば、呼吸のたびに相当量の空気がそこから漏れ、マスクはほとんど防護効果を発揮できません。
多くの布製マスクは、十分に密着しません。顔に押し当てるのに十分な硬さがなく、マスクが顔に触れない部分に隙間が生じます。また、肌にぴったり締めて適切な密閉状態を作ることもできません。
ただし、漏れはどのマスクにも起こり得ます。サージカルマスクの素材はかなり効果的ですが、側面でよれたり折り重なったりすることがよくあります。こうした隙間から、空気や粒子が容易に漏れ出します。サージカルマスクのひもを結んで折り込む方法や、サージカルマスクの上に布製マスクを重ねる方法は、どちらも漏れを大幅に減らせます。
N95マスクもこの問題と無縁ではありません。ノーズクリップを顔にしっかり押し当てなければ、マスクから空気が漏れます。N95が特別なのは、認証の過程でマスクが適切に密着することを確かめるという特定の要件が設けられている点です。
4. オミクロン株では何が違いますか?
マスクが機能する仕組みは、オミクロン株でも他の変異株とおそらく変わりません。違いは、オミクロン株が従来の変異株より感染しやすいことです。この高い感染力を踏まえると、新型コロナウイルスへの感染や拡散の可能性を抑えるために、質の高いマスクを正しく着用することが、いっそう重要になります。
残念ながら、優れたマスクに求められる特徴は、着け心地が悪く、見た目もおしゃれでない要因でもあります。布製マスクが快適で軽く、着けている感じがしないなら、新型コロナウイルスから自分や周囲の人を守る効果はほとんどない可能性があります。高品質で顔にぴったり合うN95またはKN95が、最も高い防護効果をもたらします。サージカルマスクは粒子のろ過に非常に効果的ですが、顔に正しくフィットさせるのは難しいことがあり、総合的な防護効果は確かとは言えません。他に選択肢があるなら、布製マスクは最後の選択肢にすべきです。



