新型コロナは、私たちが望んだほど早く根絶されないかもしれないと、理論疫学教授のハンス・ヘーステルベーク氏は述べています。
風土病とは、マラリアのように、制御されているものの、依然として集団内に存在する病気です。
新型コロナが風土病化した後、どう対処するかは、ワクチンや治療法の効果にかかっています。
新型コロナの今後について、確かなことは言えません。しかし、他の感染症に関する経験に基づけば、ワクチンが利用可能になったとしても、コロナウイルスSARS-CoV-2が近いうちに消滅すると考える理由はほとんどありません。より現実的なのは、人類の間で「風土病」として知られる感染症の大きく、増え続ける一群に加わるというシナリオです。
世界的な感染拡大が再び進むなか、現在利用できる対策でできるのは、感染拡大を抑え込むことまでとみられます。ただし、外部世界から効果的に隔離できる国は例外です。大多数の人々が今なお何らかの程度で感染しやすい状態にあるため、火がしばらく燃え続けるだけの燃料は十分にあります。
特定の地域が、いわゆる集団免疫(または群集免疫)を獲得したとしても、これは当てはまります(それがどれほど起こりそうかは明らかではありません)。ワクチン接種または自然感染によって、十分な数の人々が病気に対する免疫を得ると、感染拡大は減速し始め、症例数は徐々に減少します。しかし、だからといって感染症がすぐに、あるいは完全になくなるわけではありません。
集団免疫が成立した地域以外にも、感染伝播を続けるのに十分な感受性のある人々がいる場所は多く残るでしょう。地域間、国内外、あるいは世界全体での人々の交流を完全に止められるほど強力な隔離策はありません。
感染症の拡大がやがて一定の水準で安定し、比較的低く、ときには予測可能なペースで、常に地域社会に存在するようになることもあります。これが、私たちが「病気が風土病化する」と言うときの意味です。
性感染症や小児感染症の多くのように、ほぼあらゆる場所に存在し、活発に広がっている感染症もあります。しかし、大半の感染症は世界の特定地域で風土病化しています。
これは、効果的な対策によって他の地域では感染症が排除された場合や、効果的な感染伝播に必要な条件が特定の場所でしか見られない場合に起こります。マラリアや、蚊が媒介する他の多くの感染症がこれに当たります。
理論上、感染者一人が平均して他の一人に感染させると、その感染症は風土病化します。言い換えると、再生産数(R)=1となる状態です。これに対し、感染症が拡大している流行時にはRは1を上回り、対策や集団免疫によって拡大が縮小しているときにはRは1を下回ります。
実際には、風土病にはいくつかの流行パターンが見られます。年間を通じて低い水準で存在するものもあれば、感染伝播が活発な時期と低調な時期を繰り返すものもあります。季節的な要因が、人々の接触頻度、病気へのかかりやすさ、あるいは昆虫など感染を広げる他の生物に影響を与えると、こうした変動が生じることがあります。
感染者一人ひとりが他の人に感染させるのに十分な数の感受性のある人々がいる限り、感染は広がり続けます。病気の特性に応じて、そうした人々はさまざまな形で補充されます。
免疫の減衰
感染後に終生免疫が得られる病気では、母親から受け継いだ免疫が失われると、新たに生まれた子どもは感染しやすい状態になります。このため、出生率が十分に高い世界の多くの地域では、麻疹などの小児感染症が風土病化しています。
自然感染によって一時的な免疫しか得られない病気では、人々は免疫による防御を失い、再び感染しやすくなります。また、ウイルスや細菌は変異によって免疫記憶を回避し、以前の株への免疫を持つ人々も、新たな型の病気に感染しやすくなることがあります。インフルエンザはその典型例です。
新型コロナ感染による免疫がどれほど続くのか、またワクチンが人々を守る効果がどれほどあるのかは、まだ分かっていません。しかし、風邪の原因となるものなど、人類の間で風土病化している他のコロナウイルスがもたらす免疫は、一時的なもので、約1年しか続きません。
もう一つ重要なのは、感染またはワクチン接種によって免疫を得た人々が、地域社会や国内、まして世界全体に均等に分布することはほとんどないという点です。新型コロナの場合、感染がより激しく広がった地域もあれば、比較的影響を免れた地域もあります。均等に分布していなければ、予測される必要な水準を満たすだけの人々がワクチン接種を受けていても、集団免疫は成立しません。
こうした場合、平均Rは感染を抑えられるほど低くても、守られていない人々が集まる場所では1を大きく上回る可能性があります。その結果、局地的な流行が起き、病気は風土病として残ります。人口密度と人々の接触が十分に高く、感染伝播を維持できる一方で、防御が不十分な少数の地域を起点に、感染は場所から場所へと広がり続けます。
私たちの対応
新型コロナが風土病化した後、どう対処するかは、ワクチンや治療法の効果にかかっています。それらが最も深刻な転帰から人々を守れるなら、感染症は管理可能になります。その後、新型コロナは、私たちが共存する術を身につけ、多くの人々が生涯のうちに経験する他のいくつかの病気と同じようなものになるでしょう。
自然感染またはワクチン接種による免疫が終生続くのか一時的なのかによっては、身を守るために毎年ワクチンを更新する必要があるかもしれません(インフルエンザのように)。あるいは、多くの小児感染症のように、最適な年齢でのワクチン接種によって制御できる可能性もあります。
ワクチンが臨床的な発症を防ぐだけでなく、感染伝播を大幅に減らし、長期にわたる免疫をもたらすなら、病気を根絶できる可能性など、別のシナリオも想定できます。しかし現実には、その可能性は低いでしょう。ほぼ完全なワクチンと終生免疫がある病気でさえ、根絶は非常に困難です。したがって、最も可能性が高いのは病気が風土病化することです。

