コロナウイルスによって、ベーシックインカムを早急に実現すべき理由が明らかになった

People in Macau, queue up to acquire face masks in a pharmacy under a program established by the government to supply all the population with masks to avoid hoarding and stock ruptures and price hikes. (RW)
A basic income system should be a source of abiding basic security.Image: Macau Photo Agency/Unsplash
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  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、脆弱な経済システムを不況へと追い込みかねない。

  • 給付に資力調査を設けると、貧困の罠が生まれ、人々が仕事に就く意欲をそぐ。

  • ベーシックインカムがあれば、利用可能になるどのような仕事にも就こうとする意欲が高まる。

私は30年以上にわたりベーシックインカムを提唱し、試験的に導入してきた。その主な正当性は、良い社会を築くという倫理的な理由にあると常に考えてきたが、経済はそれなしでも成り立つと思っていた。今、このパンデミック下では、経済はそれなしには成り立たない。

その理由を理解するには、迫り来る景気後退は起こるべくして起きるものだったと認識しなければならない。世界経済システムは、かつてないほど脆弱になっていたからだ。それはレント資本主義となっており、自由市場資本主義ではなかった。不動産や投資からの収入で暮らす人々に、不均衡な恩恵をもたらしていた。

モンペルラン・ソサエティーやシカゴ大学法学・経済学派の影響を受け、1980年代に始まった改革は、強力な利害関係者が制度的な仕組みを築く機会を生み出した。その仕組みを通じて、所得のますます多くが、物的、金融的、そしていわゆる知的資産の所有者に流れるようになった。

よく知られた結果の一つは、世界全体で国民所得に占める労働分配率が低下したことだ。同時に、新たな階級構造が現れ、富裕層はおぞましいほどの富と巨大な経済的・政治的権力を握る一方、急増する「プレカリアート」は断片的な生活を強いられ、持続不可能な債務の瀬戸際で不安定に生き延びている。

所得に占める労働分配率は近年も低下を続けているImage: 国際労働機関(ILO)

1942年、ウィリアム・ベヴァリッジは戦後の時代を形作る報告書をまとめ、克服すべき課題は五つの巨人、すなわち疾病、怠惰、無知、不潔、貧困を打ち倒すことだと述べた。今日では、レント資本主義、技術革命、そして急速なグローバル化の組み合わせが、現代の八つの巨人――不平等、不安、債務、ストレス、不安定な雇用、自動化、絶滅、新ファシズム的ポピュリズムを生み出したと私は考える。コロナウイルスを第九の巨人、あるいは脆弱な世界システムを潜在的な不況へと傾かせる引き金と呼ぶこともできる。

100年前のスペイン風邪が一つの類例となる。世界で4,000万人以上が亡くなった。景気後退は起きたものの、今後訪れるものに比べれば取るに足らなかった。1920年、台頭する経済大国だった米国は、もともと備わっていた回復力のおかげで立ち直ることができた。民間債務はGDPの50%未満で、企業債務はごくわずかであり、金融部門が経済を支配してはいなかった。

対照的に、新型コロナウイルスのパンデミックが発生する前、米国の民間債務はGDPの150%を超え、企業債務は73%、金融部門の規模はGDPの350%に達していた。さらに、大企業の大半はグローバルなサプライチェーンに組み込まれており、どこかで混乱が生じれば、全体に波及すると予想された。これは極めて脆弱な経済システムだった。

こうした状況では、小規模な景気後退でさえ、悪影響が連鎖的に拡大する。この景気後退は小規模ではない。何百万人もの人々が債務を返済できなくなり、大規模なホームレス化、社会的な疾病、暴力など、さらに深刻な事態につながる一方、多数の企業や中小企業が支払不能に陥るだろう。

コロナウイルスが発生する前から、ユニバーサル・ベーシックインカムへの支持は高かった。

救済策が動き出し、新たな巧妙な金融手段が登場するのを私たちは目にしてきた。懸念されるのは、量的緩和と財政緊縮を組み合わせた2008年以降の戦略が再び試みられ、公共の社会支出が削減されることだ。その結果、OECD加盟国はすべて、パンデミックの救済段階に向けた備えが恥ずべきほど不十分なままとなった。不平等は深まり、ほかの巨人たちも力を増すだろう。

結局のところ、これは近代史上最大の需要ショックだ。ここでベーシックインカムが登場し、望ましいものから不可欠なものへと変わる。知的な孤立が何年も続いた後、今日では政治的立場を超えて、ベーシックインカムへの賛同者や公然と支持する人々が増えている。この議論で背骨のある態度を示す政治家が増えることを期待したい。

試験的導入やその他の実験から得られた教訓を考慮することが重要だ。制度設計は非常に大切である。ベーシックインカムとは、個人に現金またはそれに相当する額を控えめに支給するものだ。世帯ではなく個人に支給するのは、世帯という仕組みでは弱い立場にある構成員が不利益を被りやすいためである。個人単位でのジェンダー平等は、常に重要である。

一括の資本給付ではない。これはいくつかの国で犯されている誤りだ。一括給付には、「意志の弱さ」の効果をはじめとする欠点がある。一度にすべて使ってしまう賭け事のような心理を引き起こし、その後の段階で本人を脆弱な立場に置く。定期的に少額を支給すれば、行動や能力が徐々に向上する。私たちが実施した試験的導入でも、その様子を確認してきた。

ベーシックインカムは、準普遍的な制度とすべきだ。ユニバーサル・ベーシックインカムと呼ぶべきではない。現実的な理由から、通常の合法的居住者にのみ適用せざるを得ず、海外に住む市民や最近の移住者には適用できないためだ。そうでなければ、移住者が殺到し、外国人排斥の反発を招くおそれがある。これは移住者や難民への支援を省くべきだという主張ではない。彼らには別の制度を通じて、これまで以上の支援を提供すべきだ。

ベーシックインカム制度は、誰もが等しく基礎的な保障を得る、あるいは生活必需品を賄う資源を等しく利用できるよう設計すべきだ。つまり、障害や虚弱などにより生活費が余分にかかり、稼得能力が低下している人には補足給付を行い、実質的に他の人々と同等のベーシックインカムを得られるようにすべきである。

ベーシックインカムに資力調査を設けてはならない。貧困層を対象とする制度は、社会政策をよく知らない人々には表面的に魅力的に映る。しかし、リチャード・ティトマスの言葉とされる格言に、「貧しい人だけを対象とする給付は、決まって貧しい給付になる」というものがある。対象を絞るには資力調査が必要となり、その結果、所得を増やそうとする貧困状態の人は給付を失うという貧困の罠に直面する。低賃金の仕事に就くと、かえって暮らし向きが悪くなる場合も多い。これは経済に関する無知である。さらに、世界各地の研究が示すように、資力調査を伴う給付にはすべて高い排除誤差があり、給付を受けるべき人の多くが実際には受け取れない。資力調査を支持する人々は、この事実に今こそ正面から向き合うべきだ。

何より重要なのは、ベーシックインカム制度が継続的な基礎的保障となり、保証され、取り消されないことだ。この点で政府は、少なくともパンデミックと景気後退が続く間は毎月支給すると明確にするのが賢明だろう。その保障は心理的にも重要である。「ヘリコプターマネー」という言葉を使わない理由の一つはそこにある。もう一つは、この言葉が、ひらひら舞い落ちる紙幣を最も機敏な人が先に拾うというイメージを伝えるからだ。

最後に、ベーシックインカム制度は、かつての福祉制度に期待されていたような、自動的なマクロ経済安定化装置になり得る。つまり、景気後退の深さや景気回復の強さに応じて、独立委員会が給付額を調整できる。

ベーシックインカムは、対策一式のうちの一つにとどめるべきだが、一部の国が実施している代替策、すなわち多額の賃金補助を行うよりも、経済的にも社会的にもはるかに理にかなっている。賃金補助は運用が混乱し、非効率で、恥ずべきほど逆進的となり、経済的に逆効果の誘因を生む。従業員に、仕事をしないことを条件に賃金の75%または80%を支給すれば、当然ながら働く意欲をそぐ。これも経済に関する無知である。また、国が高所得者に、低賃金で働くプレカリアートの5倍以上を贈ることで、どのような道徳的原則が守られるのだろうか。実際にそうしたことが行われている。

人々を将来性のない仕事に縛りつける補助金や、貧困の罠に追い込む資力調査付き給付とは対照的に、ベーシックインカムは、利用可能などのような仕事にも就こうとする意欲を実際に高める。働いて得た所得には通常の税率が適用されるだけで、給付から、本人が就けるような低賃金の仕事へ移る低所得者にとって、多くの国で80%以上にもなる貧困の罠に直面しないからだ。

要するに、ベーシックインカムは、経済に必要となる基本的な財やサービスへの需要を生み、私たち全員に必要なレジリエンスを人々や地域社会にもたらし得る。そして、その真価は後に現れる。私たちの時間をより多く、愛する人や、再建したいと願う地域社会の人々をケアするために使いやすくなり、やりがいも増す。

不平等や不安を減らすことで、地球温暖化や生態系の劣化という存亡に関わる脅威への対処にも役立つと、いずれ分かるかもしれない。勇気さえあれば、それが実現する可能性がある。

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