ロックダウンで世界の大気質はどう改善したのか

A view of almost empty main road amid the spread of coronavirus disease (COVID-19) in Jakarta, Indonesia, March 31, 2020. REUTERS/Willy Kurniawan - RC2YUF9M1T5U
Empty roads are a common result across the globe of coronavirus lockdowns.Image: REUTERS/Willy Kurniawan
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  • 多くの工場や企業が休業し、道路を走る車や空を飛ぶ航空機も減ったことで、自然環境はゆっくりと回復しています。

  • 一部地域では、1~2月のNO₂濃度が2019年比で40%低下しました。これは、実に19万2,000台の車を道路からなくすことに相当します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、産業活動が停止し、航空便などの移動も中止されたことで、世界各地で温室効果ガスの排出と大気汚染が大幅に減少しました。この深刻な危機から何か前向きなことを見いだせるとすれば、低炭素の未来に私たちが吸うかもしれない空気を、少し味わえたことかもしれません。

世界保健機関(WHO)は、大気汚染が原因の疾患により、毎年約300万人が死亡していると推定しています。また、都市部に暮らす人々の80%以上が、安全基準を超える大気汚染レベルにさらされています。低所得国では状況がさらに深刻で、WHOの大気質基準を満たしていない都市が98%に上ります。

欧州宇宙機関(ESA)の衛星「Sentinel-5P」による観測では、2020年1月下旬から2月上旬にかけて、アジアと欧州の都市部や工業地帯で二酸化窒素(NO₂)濃度が2019年の同時期を下回り、低下幅は最大40%に達しました。

中国でCOVID-19の新規感染者数がピークに達した時期、大気汚染は急激に減少しました。Image: ESA/NASA

英国で3月23日に全国的なロックダウンが発表されてから2週間後、一部都市のNO₂汚染は、2019年の同時期と比べて最大60%低下しました。NASAの発表によると、ニューヨークや米国北東部のその他の主要都市圏におけるNO₂汚染は、2020年3月には30%低下しました。2015年から2019年までの月平均との比較です。

NO₂の主な発生源は道路交通と発電所で、喘息などの呼吸器疾患を悪化させることがあります。また、肺や心臓に疾患のある人の症状も悪化させます。NO₂排出は欧州で特に根深い問題となっており、多くの国がEUの上限値に違反しています。

ある意味で、私たちは史上最大規模の世界的な大気汚染実験を行っています。比較的短期間のうちに、産業や輸送部門における主要な大気汚染源を停止させています。武漢だけでも、感染拡大のピーク時には1,100万人がロックダウン下にありました。中国全土では、5億人を超える人々がロックダウン下にありました。中国は通常、年間3,000万トンを超える窒素酸化物を排出しており、2019年の推定値は4,000万トンに達しています。

米国北東部における3月のNO₂平均濃度。上は2015~2019年、下は2020年3月の観測値。Image: EPA-EFE/NASA

大気質の改善を恒久的なものに

中国はアジア全体の二酸化窒素排出量の50%超を占めています。アジア。パンデミックによって排出されなかったNO₂が1トンあれば、車62台を1年間道路からなくすのと同等です。したがって、中国でNO₂排出量をわずか10%削減するだけでも、車4万8,000台を道路からなくすのに相当すると推定できます。一部地域では、1~2月のNO₂濃度が2019年比で40%低下しており、これは実に19万2,000台の車を道路からなくすことに相当します。

これは、自動車の利用を段階的に減らし、電気で動く大量輸送機関に置き換えれば、大気質を恒久的に改善できる可能性を示しています。鉄道路線を拡充し、電気自動車や充電設備を増やして交通機関を電動化すれば、NO₂などの大気汚染物質の排気管からの排出を大幅に削減できます。

イタリア北部における二酸化窒素の地表濃度。2020年1月31日と3月15日の比較。Image: コペルニクス大気監視サービス(CAMS);ECMWF

ただし、電気自動車のクリーンさは、それを動かす電力のクリーンさに左右されます。化石燃料による発電を再生可能エネルギーなどの低炭素電源に置き換えれば、最近の大気質の改善を恒久化できる可能性があります。発電による月間NO₂排出量を10%削減することは、石炭火力発電所500基を1年間停止させるのと同等です。

皮肉なことに、世界経済の広範な活動を停止させたCOVID-19は、別の呼吸器系の健康危機を浮き彫りにしました。その後のロックダウンによって、世界規模で排出量を削減した場合に大気質がどれほど改善し得るかが明らかになりました。

このパンデミックは、大気汚染が減った未来がどのようなものかを示すかもしれませんし、これからの課題の大きさを示すにすぎないかもしれません。少なくとも、政府や企業に対し、パンデミック後に物事の進め方をどう変えれば、一時的な大気質の改善を維持できるのかを考えるよう促すはずです。

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