中国のコロナウイルス感染拡大――影響と変革の機会に関する考察

People ride an electric bike on a road in Wuhan, the epicentre of the novel coronavirus outbreak, Hubei province, China March 3, 2020. REUTERS/Stringer CHINA OUT. - RC2DCF9VCWNQ
The crisis has created some opportunities for positive change in China.Image: REUTERS/Stringer
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  • この危機を契機に、中国ではより専門的で透明性の高い官民連携の基盤が築かれている。

  • 投資家は、技術革新と資本市場改革という長期的な潮流のなかにある機会をつかむことができる。

  • 起業家精神は今や、中国企業にとって欠かせないものとなっている。

中国で最近発生したCOVID-19の感染拡大は、企業や産業に大きな影響を及ぼしている。世界経済フォーラム北京事務所が主催したウェビナーで、グローバル・フューチャー・カウンシルの上級メンバーや企業・メディアのリーダーたちが、中国が影響の軽減や変化への適応にどう取り組み、新たな機会を生かした回復にどう備えているかについて見解を示した。

中国政府の透明性が高まる

WeChatや微博(Weibo)などのソーシャルメディアは、感染拡大のさなかに世論を反映するうえで重要な役割を果たし、中国政府に対応と政策の調整を促した。

今回の感染拡大を受け、官民連携が強化された。中国政府は協働に対してより開かれた姿勢を示すと期待される一方、企業は公共財への貢献に向けた能力と意欲を高めてきた。これにより、公共課題に取り組む、より専門的で透明性の高い協働の基盤が築かれる。

金融市場の政策と見通し

上海高級金融学院の副院長、朱寧氏は、感染拡大の規模と世界への影響は2003年のSARSを上回ったと指摘した。中国が感染抑制、経済回復、人口移動の要請のバランスを取ろうとするなか、2020年の年間GDP成長率は5~5.5%に減速すると予想される。

新型コロナウイルスの感染拡大を追跡するロイターの図解

2020年は中国の第13次五カ年計画の最終年であり、達成すべき一定の経済成長目標がある。政府が大幅な政策調整を行うかどうかは、今後の動向を見守る必要がある。

一方、経済政策の重要分野では対策が講じられている。金融政策では、中央銀行が預金準備率とローンプライムレートを引き下げた。しかし、株式市場の下落に対処するため米連邦準備制度理事会(FRB)が主導する新たな世界的利下げサイクルについては、まだ発表されていない。財政政策では、減税や賃料引き下げ、社会保険料の納付猶予、対象を絞った資金支援が行われている。地域レベルでは、地方政府が職場復帰や生産再開に向けた政策を導入した。

広く予想されてはいるものの、中国経済の現在の規模を考えると、「2008年の4兆人民元」規模の景気刺激策が再び実施される可能性は低い。金などの一次産品価格は上昇している。しかし、インフラ事業の選択肢が限られ、住宅価格を抑制する政策もあるため、大幅な上昇は見込みにくい。中国のインフレ率が上限に近づいていることを踏まえ、新たな金融政策の規模と商品価格への影響は、さらに注視する必要がある。

投資家心理は高揚している。景気刺激策への期待と投資先の選択肢の少なさを背景に、株式市場は急騰した。ここ数カ月で、中国のA株市場の投資家数は1,000万人を超えて増加した。世界市場が感染拡大に反応し始めるなか、国内市場の過熱ぶりにはより慎重な見方が必要だ。

この点について、CreditEaseの創業者兼CEO、唐寧氏は、専門機関のサービスを活用すれば、資本市場の投資家は技術革新と資本市場改革という長期的な潮流のなかで機会をつかみ、資本市場の発展による恩恵を得られると提案した。

産業の変化と機会

高風諮詢公司の創業者、エドワード・ツェ氏は、安全で健康的な生活環境は今や、経済成長と同等、あるいはそれ以上に重要と考えられていると指摘した。将来の公衆衛生・管理システムには、早期発見と予防が不可欠となる。感染拡大の際、中国のシステムはその能力を実証し、民間部門も大きく貢献した。これは官民連携の必要性と可能性を示している。

感染拡大により、新技術の活用が加速した。人々のコミュニケーション手段は大きく多様化し、効率的なオンライン交流の余地が広がった。この困難な時期は、民間部門の起業家精神も形づくっている。多くの企業は利益だけでなく、社会に貢献したいという思いにも突き動かされた。

こうした変化は、以下に挙げるような産業の多様な機会を示唆している。

  • 特に医療、物流、自動化、オンラインオフィス、エンターテインメント、小売、教育などの分野で、新たなビジネスモデルが生まれている。

  • 次世代スマートシティは、将来の公共課題に取り組むうえで重要となる。都市機能の一部を担うだけでなく、サプライチェーン、交通、緊急事態や災害の警報を統合することで、公共管理を体系的に強化する。

  • ビッグデータは公共の福祉のためにより広く活用され、特に状況の追跡・分析や、適時の公共意思決定の支援に役立てられる。

  • 実店舗を中心とする事業は、特に教育、エンターテインメント、小売の分野でオンラインへの移行を始めている。

  • 医療のバリューチェーンは、早期発見と予防までを担うよう拡張される。将来の応用分野にはより多くの関係者が加わり、公衆衛生の課題に取り組む包括的なエコシステムの形成が促される。

  • ソーシャルメディアは、個人間や企業とのつながりに加え、一般市民と政府を結ぶチャネルへと変化している。

企業の戦略

逆境とは心の持ちようである。唐寧氏は、危機を機会に変える信念と能力を特徴とする起業家精神が、今や中国企業に不可欠だと強調した。ビジネスモデルはすでに変わりつつある。これまで障壁に直面していたリモートワークやオンライン事業は、今や必要不可欠となった。企業が機会を探り、つかむには、次の戦略を取り入れる必要がある。

  • 未来はデジタル化にある。感染拡大は、デジタル戦略を再構築し、実行に移す機会となる。それによって新たな機会も生まれる。こうした変革には、能力の構築と新たな価値の創出が鍵となる。

  • リスク管理を見直す必要がある。保険、収入源や顧客の多様化、オンラインとオフラインの事業統合に、より注意が向けられる。多くの中国企業、特に中小企業(SME)にとって、家計と事業の分離、資産配分の多様化、保険はリスク管理の基本である。

  • 中小企業は積極的に行動を起こす必要がある。コスト管理に加え、独自の競争優位性を最大限に伸ばさなければならない。感染拡大後、あらゆる産業で大きな回復が見込まれる。中小企業は、次の成長の波にどう対応し、どう乗るかを検討する必要がある。

公共の利益に資するテクノロジー

百度(Baidu)のコーポレート副社長、呉甜氏によると、ビッグデータは感染拡大の進行状況の分析や、感染予防・抑制の支援に活用されている。オンラインデータプラットフォームでは、地域ごとの感染状況と人口移動を組み合わせて将来を予測し、公共資源の配分を最適化できる。ビッグデータは、リスクの高い地域を適時に特定するための知見も提供する。一般の人々は、百度地図アプリで感染地域を確認できる。

AI技術は赤外線画像技術と組み合わせ、複数人の体温を迅速に監視するために活用されている。この技術は人混みをすばやくスクリーニングして検知効率を高め、90%を超える精度を達成するとともに、ウイルスの伝播も防ぐ。

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