あなたのコンピューターが科学者の新型コロナウイルス感染症の治療法探しを支援できる。その方法とは

Computing COVID-19 coronavirus healthcare scientific research
Distributed computing allows anyone with a home computer, laptop, or virtual machine to contribute computing power to a common cause.Image: Unsplash/ Christopher Gower
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  • ボランティアは日常生活を送りながら、コンピューターを使って、がん、パーキンソン病、インフルエンザなどの治療法探しを支援できます。

  • 新型コロナウイルス感染症のプロジェクトには、数万個の分子を選別するため、100万台を超えるデバイスがクラウドソーシングで集まりました。

  • 家電製品の進歩に伴い、市民科学は近年大きく広がっていますが、その歴史は1900年代にまでさかのぼります。

世界中の20万人を超えるボランティアが、自宅のコンピューターやノートパソコンでシミュレーションを実行し、新型コロナウイルス感染症の治療候補の発見に協力しています。

一方、ワクチンの接種が始まるなか、ウイルスに感染した人に有効な治療法を見つける取り組みは続いています。

この取り組みは、分散コンピューティング組織であるFolding@homeとCOVID Moonshotの連携によるものです。COVID Moonshotは、新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス薬の開発を加速するためのクラウドソーシングプロジェクトです。Amazon Web Services(AWS)は、アマゾンのオンデマンド型クラウドコンピューティングプラットフォームで、プロジェクトにサーバーを寄贈しました。

ゴールに向けたスプリント

分散コンピューティングを使えば、自宅のコンピューターやノートパソコン、仮想マシンを持つ人なら誰でも、共通の目的に計算能力を提供できます。今回の目的は、タンパク質の「フォールディング」過程をシミュレーションすることです。この新型コロナウイルス感染症対策の取り組みには、100万台を超える個人用デバイスの計算能力が活用されています。Folding@homeのボランティアは、1週間単位の「スプリント」に参加し、分子シミュレーションの実行に計算能力をすべて振り向けることもできます。

20万人を超えるボランティアの計算能力を合わせることで、科学者はSARS-CoV-2ウイルス内のNsp16タンパク質を研究できるようになりました。Image: Folding at Home

AWS災害対応プログラムのマギー・カーター氏とグレース・キッツミラー氏によると、こうしたスプリントは「COVID Moonshotの主要化合物の結合を最適化するうえで難しい課題に取り組むため、合成候補となる数万個の分子を選別する助けになりました」。

このプロジェクトは、世界最大級の公開タンパク質シミュレーションデータベースを構築しました。Folding@homeは現在、このデータベースをAWS上のオープンデータセットとして共有しており、世界中の研究者がデータに簡単にアクセスし、新型コロナウイルス感染症の治療法探しを加速できます。

カーター氏とキッツミラー氏は、「取り組みに参加するボランティアが増えるほど、評価できる設計案が増え、Moonshotは臨床試験に進める有効で安全な治療法をより早く特定できます」と述べています。

市民科学者の台頭

Folding@homeは、タンパク質シミュレーションの専門家が率いる研究機関コンソーシアムによって運営されています。その専門家は、セントルイス・ワシントン大学の一部門であるボウマン研究室に所属しています。2000年の発足以来、このコンソーシアムはボランティア、すなわち「市民科学者」の協力を得て、数多くの病気を研究してきました。

Folding@homeはウェブサイトで、「皆さんが日常生活を送る間、コンピューターは、がん、ALS[筋萎縮性側索硬化症―まれな神経疾患]、パーキンソン病、ハンチントン病、インフルエンザなど、さまざまな病気の治療法を見つけるために働きます」と説明しています。

新型コロナウイルス感染症が世界的なパンデミックへと発展すると、同組織はウイルスをより深く理解することに全面的に取り組むため、活動の重点を切り替えました。

パンデミック以前、Folding@homeを稼働させていたデバイスは3万台でしたが、2020年5月までに100万台を超えました。

世界規模のコミュニティー

カメラ、録音機器、衛星測位システムなど、データの収集、処理、共有に使える機器やアプリが消費者に普及したことで、市民科学は大きく広がりました。

学術誌Natureによると、市民科学の起源は1900年代にさかのぼります。当時、ある鳥類保護団体が、鳥を撃つ代わりに数えるよう米国の人々に呼びかけました。

現在、世界中の何百万人もの人々が、市民科学のプロジェクトやプラットフォームを通じて科学研究に貢献しています。

その例には、Zooniverseがあります。これは、160万人の登録ユーザーが、数百人の研究者が主導する研究プロジェクトに参加するオンラインコミュニティーです。これまでのプロジェクトには、セレンゲティの動物の分類、ケプラー宇宙望遠鏡を使った新たな太陽系外惑星の発見、カナダに生息するシロイルカの社会構造や生活史の解明、ホロコーストの記録のアーカイブ作成などがあります。

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