AIの医師が診察する時代は来ない

A control monitor being used during a heart catheterization at Heidelberg University Hospital, Germany.
Next-level healthcare … a control monitor being used during a heart catheterization at Heidelberg University Hospital, Germany.Image: Reuters/Ralph Orlowski
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優れた医師とはどのような人物か。2002年に英国医師会雑誌(British Medical Journal)がこの問いを投げかけた際、読者の共感を集めた主な資質は、思いやり、理解力、共感力、誠実さ、能力、献身、そして人間性であった。それは、Facebook、Google、Siri、AlphaGo、そして複雑な医療データを分析するAIやアルゴリズムの台頭より前の時代のことだった。しかし、これほど目覚ましい進歩があっても、困難な時期には、医療従事者に対して依然としてこのような極めて人間的な資質を期待している。また、終末期医療のような場面では、アルゴリズムによって運営されるホスピスで思いやりのある対応がなされる姿を想像することはほぼ不可能である。

つまり、医師がAIに取って代わられることはない。しかし、AIを使う医師が、AIを使わない医師に取って代わることはほぼ確実である。このような人材には、どのような知識とスキルが求められるのだろうか。技術面と計算面でのスキルの向上は間違いなく求められるだろう。これは、学術医療分野においてすでに認識されていることである。

例えば、昨年末、Genomics Englandは10万人のNHS患者のDNA解析を行うという目標を達成した。しかし、そのデータを整理・分析して生物学的・医学的な知見を得るには、高度な計算スキルを持つ医師や科学者が必要である。現在、世界中の大学が、臨床科学者プログラムや、UCLと、オープン大学、バークベック・カレッジ、エディンバラ大学などを含む大学連合によって作られたsysMICなどのオンラインコースを通じて、そうした訓練を提供している。

しかし、AIはさらに広範な課題を突きつけている。コンピュータサイエンスの限られたスキルだけでは不十分である可能性が高く、NHS内でのAIの導入には、データ分析やアルゴリズムに関する幅広い専門知識が必要である。さらに、現実世界におけるAIの影響について、すでに十分なことがわかっており、AIとともに働くには、倫理、情報ガバナンス、政策・規制から、社会科学、グラフィックアート、工業デザイン、認知神経科学、その他多くの分野に至るまで、広範なスキルが必要になることを理解すべきである。このような包括的な領域を扱ってこそ、AIを医療に統合するうえで不可欠な、AIの社会的な応用と社会的影響への理解が可能になる。

英国では、このような幅広いスキルの必要性がますます認識されつつある。今月、レビューの発表があった。これは保健・社会福祉大臣の依頼により、米国の心臓専門医、遺伝学者、デジタル医療研究者であるエリック・トポルが主導したものである。このレビューでは、AIを含むデジタルな未来を実現するためにNHSの人材に何が必要となるかを明らかにしている。

必要とされる変革の規模を過小評価すべきではない。120万人を超える職員を抱えるNHSは、世界最大級の雇用主の一つである。それにもかかわらず、現在、職員はこの分野についてほとんど、あるいはまったく研修を受けていない。例えば、放射線科では、マンモグラフィーや脳のスキャン画像を読影するAI技術の開発によって、影響を受ける可能性が極めて高い。しかし、放射線科医の養成方法を定めた、英国王立放射線科医会(Royal College of Radiologists)が2016年に策定したカリキュラムでは、こうした先進技術にはほとんど触れられていない。代わりに、放射線科医は「関連するコンピュータ技術を適切に使用できること」を示せるべきだと、簡単に記されているにすぎない。

世界の医療におけるAIに対する姿勢の内訳。Image: PwC

では、将来AIを使う医師を誰が育成するのか。大学は、必要とされる知識とスキルの全範囲にわたる専門性を持つ唯一の機関であるため、重要な役割を担っている。また、将来のAI医療で使われる多くの先進技術を開発している企業も同様である。NHSやその他の医療サービスと提携して協働し、既存のモデルを活用することで、医療と大学の間を行き来し、臨床と学術の両方の研修を受けられる臨床学術研修プログラムを提供できる。その研修には、企業での実習が組み合わされる場合もある。

これまで、AIに関心を持つ医師を対象とした、このようなプログラムは存在しなかった。しかし、英国政府による1億ポンドの投資の一環として、英国全土で1,000件の新たな博士課程の枠に資金を提供し、次世代の人工知能研究者を育成することになり、一部の大学では、医療分野の科学者や医師のためにこうした機会を創出し始めている。例えば、UCLは、UK Research and Innovationが本日発表した、AIを活用した医療システムに関する620万ポンドのプログラムを立ち上げる予定である。これにより、世界最高水準のAI研究者から指導を受けた卒業生が、NHSの組織で働きながら、医療機関の運営を改善し、患者一人ひとりに合わせた的確な治療を提供する、適応性と柔軟性に優れたシステムを設計できるようになる。

このような変革をもたらす投資は、まだ始まりにすぎない。トポル・レビューが示す研修ニーズの規模と幅広さを考えると、英国全土でさらに多くの多様なアプローチが必要である。しかし、本日の投資は、NHSが大学や民間パートナーと連携することで、将来のAIを活用する医師や医療専門職を育成できる可能性を示している。

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