新型コロナウイルス感染症への対処法を、私たちの免疫システムから学ぶ3つの教訓

Do the solutions to the mysteries posed by COVID-19 lie within us?
Do the solutions to the mysteries posed by COVID-19 lie within us?Image: Swiftsciencewriting / Pixabay
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  • 私たちの免疫システムは、新型コロナウイルス感染症に最善の方法で対処するための手掛かりや知見をもたらしてくれます。

  • このアプローチは、将来のパンデミックへの対応にも役立ちます。

  • 免疫システムが発するシグナルを読み解き、新型コロナウイルス感染症やその他の感染症との闘いに役立てる3つの方法を紹介します。

医師が治療方針を決める際に役立つ実践的な知見を提供するため、医療界は、非常に高感度で正確な自然の検知システムである人間の免疫システムを活用しています。

細胞、シグナル、臓器、リンパ節から成るこの複雑なネットワークは、侵入した病原体を識別して排除し、病気から体を守るという一つの目標に向けて機能します。免疫システムが優れた働きをする鍵は、体内にあるべき細胞とそうでない細胞を見分け、免疫応答を促し、抗体をつくって侵入者を排除する能力です。人間の免疫システムは極めて複雑でありながら効率的で、感染を経験するたびに強くなります。記憶細胞は、過去に遭遇した病原体に対する免疫をつくることで、再び攻撃を受けた場合に備え、迅速な応答を可能にします。

しかし、完璧ではありません。免疫システムは日々、さまざまな脅威に対処していますが、がんや細菌感染症、新型コロナウイルス感染症などのウイルスは、体の防御機能と医療体制の双方に課題を突きつけています。

新型コロナウイルス感染症の患者をどう管理するかに関する情報は、非常に求められています。パンデミック発生から9カ月以上が経過しても、患者ごとに経験する症状や経過があまりにも多様で、臨床上の難問となっています。重症患者では過剰な炎症性免疫応答が起き、それが急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や多臓器不全につながる可能性を示す証拠がある一方、このウイルスには依然として多くの疑問が残されています。なぜ極めて重症化する人とそうでない人がいるのでしょうか。なぜ患者によって症状がこれほど大きく異なるのでしょうか。なぜこのウイルスは免疫原性がこれほど弱いのでしょうか。ワクチンはすべての人に有効なのでしょうか、それとも一部の人に限られるのでしょうか。

こうした疑問への答えを探るとともに、感染に反応して免疫システムが発するシグナルを追跡し、読み解くことが、次の3つの方法で新型コロナウイルス感染症患者の管理を改善する鍵になると私たちは考えています。

1. 病気の重症度と進行を予測する:どの新型コロナウイルス感染症患者を入院させ、どの患者には自宅で隔離しながら安全に経過を見てもらえるでしょうか。その答えが生死を分けることもあります。命が失われることや重症化を最小限に抑えるだけでなく、医療システムの逼迫を防ぐため、感染率を低く保ち、病床を確保することも欠かせません。予測バイオマーカーをモニタリングすれば、重い症状が現れる患者を早期に特定し、病気の進行を正確に予測できる可能性があります。それにより、ウイルスがもたらす大きな物流上の負担を軽減できるかもしれません。

2. 治療への反応をモニタリングする:新型コロナウイルス感染症患者の大半では、宿主が局所的な免疫応答を起こし、上気道や肺からウイルスを排除するのに十分な働きをします。しかし、一部の患者では過剰な炎症が引き起こされることがあり、急性肺損傷、臓器不全、死亡との関連が指摘されています。こうした免疫の調節異常はすべての人に起きるわけではないため、医師には患者に応じた治療が求められます。新型コロナウイルス感染症による過剰な炎症を継続的に測定する方法がないため、医師がコルチコステロイドを投与する適切な時期や、患者の状態悪化を防ぐための別の措置を講じる時期を逃すおそれがあります。宿主の免疫応答に基づくモニタリングは、こうした重大な状況で患者の状態を迅速に把握し、投与不足や過剰投与を避ける手段となる可能性があります。

3. 抗菌薬の適正使用を推進する:抗菌薬の過剰使用は新しい問題ではありませんが、パンデミックのさなか、世界の公衆衛生にもたらす脅威は拡大しています。新型コロナウイルス感染症患者のあまりにも多くに、必要のない場面でも抗菌薬を使っているのが実情です。こうした過剰使用は薬剤耐性をさらに広げ、抗菌薬を本当に必要とする人に薬が効かなくなる事態につながります。

急性感染症のように見える症状が患者に現れたとき、世界各地の医師は一見単純な問いに直面します。抗菌薬による治療を処方すべきでしょうか。細菌感染症とウイルス感染症は非常によく似た症状を示すことがあり、臨床的に区別できない場合も多いため、答えは必ずしも簡単ではありません。宿主の免疫応答に基づくソリューションは、患者が細菌性病原体に感染しているかどうかを医師がすばやく判断する助けとなり、不要な抗菌薬の投与を防ぎ、新型コロナウイルス感染症の診療で次に行う検査や対応に集中できるようにします。新型コロナウイルス感染症患者に抗菌薬治療が必要な細菌感染症も併発している場合にも、これは重要です。

人間の免疫システムは、その仕組みとして感染を検知し、闘うようにできています。多様で特異な応答を引き起こすSARS-CoV-2(新型コロナウイルス感染症の原因ウイルス)にも同様に作用します。新たな技術を使えば、人間の免疫システムが持つシグナル伝達の力を活用し、その働きと歩調を合わせてウイルスを克服する道を見いだせます。適切な問いを立て、データを追い、正しい方法で治療すれば、新型コロナウイルス感染症が突きつけた難問への答えは、まもなく手の届くところに来るかもしれません。

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