世界的なコロナウイルス危機からの出口戦略は一つしかない

A patient infected with coronavirus is carried on a stretcher by a French rescue team before being transferred by a helicopter of the civil security (Securite Civile) from Strasbourg university hospital to Pforzheim in Germany as the spread of the coronavirus disease (COVID-19) continues in France, March 24, 2020. Picture taken March 24, 2020. REUTERS/Christian Hartmann - RC2P1G9PG3SI
Many governments are closing borders and using wartime rhetoric to rally their populations.Image: REUTERS/Christian Hartmann - RC2P1G9PG3SI
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  • COVID-19のパンデミックは、公衆衛生と世界経済の双方に前例のない脅威をもたらしている。

  • 政府が市民を守るには、ナショナリズム的な言説や政策を避け、より強力な国際協力を受け入れるしかない。

コロナウイルスのパンデミック後の世界は、以前よりも閉鎖的でナショナリズム色の強い、互いに敵対する国々の集まりになるかもしれない。しかし、迅速で効果的な世界規模の協力がなければ、世界はこの危機から安全に脱することさえできないかもしれない。

少なくとも現時点では、強硬なナショナリズムに基づく対応が主流となっている。夜間外出禁止令やロックダウン、物資の接収に加え、各国政府は国境を閉鎖し、国民を結束させるために戦時のような言葉を用いている。世界のサプライチェーンと貿易は、ロックダウンだけでなく、富裕国による物資の争奪戦によっても混乱している。

しかし、やがて各国政府は世界経済を再始動させる必要がある。そのためには、いくつかの重要分野で国際協力が求められる。

COVID-19からの出口戦略における最初の重要要素は、大規模な検査(感染の有無と免疫の有無の両方)である。これにより、健康な人は仕事に戻り、感染者は適切な治療を受けられる。そのため各国には、検査キットや防護具に加え、人工呼吸器と新たな治療法を利用するための十分な供給が必要となる。

大規模な検査と治療を可能にするには、国際協力が不可欠だ。鼻咽頭検体の採取に使う綿棒の主要供給元であるコパンは、イタリア北部に拠点を置く。採取した細胞からウイルスRNAを抽出する試薬は、複雑な世界的サプライチェーンを持つドイツ企業キアゲンが主に製造している。また、米国の人工呼吸器のおよそ半分は外国企業が製造しており、その3分の1は欧州から供給されている。

それにもかかわらず、米国各州の知事が不足する人工呼吸器の確保をめぐって互いに競り合う一方、一部の欧州政府はその輸出を禁じている。また、英国政府の閣僚は、必要な試薬を調達できないために国内の検査が遅れていると述べた。

解決策は、生産と流通における協力を強化し、世界のサプライチェーンを最大限有効に活用するとともに、資源や機器を共同で融通し、必要性が国から国へ移るのに応じて配分できるようにすることだ。例えば中国は現在、米国に人工呼吸器を寄贈し、マスクを輸出している。

出口戦略の第二の要素は、効果的な疾病監視と管理である。確かに、中国や韓国で使われているようなオンライン監視には、多くの国が難色を示している。しかし、人手による接触者追跡には時間がかかりすぎるため、その目的のアプリを含まない出口戦略を想定するのは難しい。

実際、オックスフォード大学の研究者による新たな研究は、人口のわずか60%が利用する場合でも、接触者追跡アプリが感染率の低下に効果を発揮し得ることを示唆している。したがって西側諸社会は、中国と韓国の成功から学び、自国政府の監視能力を高めることへの懸念と、人々をロックダウン下に置くことで生じる害とのバランスを取る必要がある。

接触者追跡アプリは、人口のわずか60%が利用する場合でも感染率を低下させる。Image: サイエンス誌

慎重な国々は、市民の権利を守る必要性に合わせて監視ツールを迅速に調整するため、協力すべきだ。そのためには、透明性のある監督体制、公平性に関する明確な原則(平等なアクセスと処遇を含む)、強固なデータ保護、使用するアルゴリズムの監査が必要となる。

第三に、世界的なCOVID-19出口戦略は、効果的なワクチンがあれば最も安全なものとなる。幸い、国際的な科学協力により、ワクチン開発に向けた進展が加速している。中国、米国、欧州の研究者はウイルスのゲノム配列を共有し、ハーバード大学、中国・西安の西京病院、イタリア北部の医師たちは治療法に取り組んでいる。また、著名なウイルス学者たちは世界保健機関(WHO)の電話会議で知見を共有し、medRxivやbioRxivなどのオンラインアーカイブに掲載している。

ワクチンを世界中に行き渡らせるためにも、国際協力が必要となる。ここ数日、中国当局は他国から「持ち込まれた」COVID-19の新規症例を報告している一方、欧州と北米の一部専門家はすでにウイルスの第二波を予測している。

ここでは歴史が教訓となる。ワクチン接種によって、1940年代後半までにほとんどの富裕国は単独で天然痘を撲滅したものの、国外からの流入で同疾患は繰り返し再発した。WHOが主導する世界的な取り組みによって、1978年までに天然痘は世界から根絶された。

新型または変異したウイルスの出現を検知する早期警戒システムも必要だ。韓国が示したように、COVID-19の早期警報があれば、政府は検査を拡大し、国民全体を接触者追跡と感染封じ込めに参加させて迅速に対応できるため、感染拡大による経済的・社会的コストを減らせる可能性がある。

しかし早期警戒のためには、新たな感染症を発見した政府が直ちに世界へ知らせる必要があり、これは慎重さを要する問題となり得る。そのため各国は、感染症の流行を報告したことで、不必要な渡航・貿易制限という形の即時の制裁を受けることはなく、そうした措置が取られる場合も協力の下で導入されるという保証を必要としている。

世界は過去20年間のSARSとエボラ出血熱の流行から、この教訓を学んでおくべきだった。40カ国が課した渡航・貿易制限は、エボラ出血熱の流行に関する報告を妨げ、世界的な対応を困難にした。同様に、中国がSARSを経験したことで、同国の指導者たちはCOVID-19の流行を国外に知らせることに消極的になった可能性がある。実際に知らせると、各国はWHOの指針に反する形で国境を閉鎖した。この危機が終息した後、各国政府は、協力的な相互の見返りが必要であると理解した上で、早期警戒システムを強化する必要がある。

最後に、世界で最も貧しく人口の多い国々でウイルスの拡大を抑えるため、より迅速かつ効果的に行動するほど、すべての人をよりよく守ることができる。そのためには、予防への緊急投資が必要であり、これも協力にかかっている。協力には、アフリカ疾病予防管理センター、国際通貨基金(IMF)の緊急融資(これまでに90カ国を超える国々が要請している)、および世界銀行の緊急保健支援を通じた取り組みが含まれる。

COVID-19のパンデミックは、公衆衛生と世界経済の双方に前例のない脅威をもたらしている。政府が代表すると主張する人々を守るには、ナショナリズム的な言説や政策を捨て、より強力な国際協力を受け入れるしかない。

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