グローバリゼーションの第4の波は、感染症の流行を終わらせる助けとなるか?

A lab assistant performs an experiment during an inauguration visit of a new P3 level research laboratory against tuberculosis at the School of Life Sciences of the Swiss Federal Institute of Technology (EPFL) in Lausanne in Ecublens near Lausanne March 17, 2010. Financed by the Stavros Niarchos Foundation and the Swiss Government, the lab is open to researchers from EPFL and nearby universities in order to study in vivo strains of Bacillus anthracis, the air-borne pathogen causing tuberculosis. There are around 500 cases of tuberculosis each year in Switzerland alone. REUTERS/Denis Balibouse (SWITZERLAND - Tags: HEALTH SCI TECH) - BM2E63H19U801
Globalization is providing technology to accelerate the rate we acquire scientific knowledge.Image: REUTERS/Denis Balibouse
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グローバリゼーションの長所と短所は、長年にわたり政界で議論の的となってきた。グローバリゼーションは、経済成長を促し、新たなアイデアや概念を広め、何十億もの人々の暮らしを向上させる有益な力なのだろうか。それとも、地域社会を衰退させ、エリート層と世界の他の人々との間に深い格差を生み出す有害な動きなのだろうか。

これが、通常の議論の枠組みである。しかし、世界のつながりが強まる陰には、しばしば予見されない別の脅威、次の感染症の流行が潜んでいる。かつては、発生しやすい地域の住民が孤立していたため影響が限られていた新興感染症も、今では貿易・交通網にほぼ即座にアクセスできる。地球上で、ほとんど、あるいはまったく、24時間以上離れている場所はない。

先史時代には、人口の大半が少なすぎて、感染力の強い病気の感染連鎖を維持できなかった。病気は自然に消えていった。感染症の流行は起こり得たが、人類の人口が増え、社会の構造が変化して初めて、パンデミックが可能になった。

微生物は、ただその時を待っていた。人々の移動が加速するにつれて、感染症の流行やパンデミックも増加し、ついには黒死病に至った。黒死病は中央アジアの草原地帯で発生したと考えられており、世界で7,500万~2億人が死亡したと推定される。その中には、14世紀のヨーロッパ総人口の30~60%が含まれる。

大航海時代――今年の世界経済フォーラムの用語を借りれば、この概念が生まれる前の「グローバリゼーション」――によって、ヨーロッパに常在していた病気が、新世界の免疫学的に未経験な人々に接触し、壊滅的な影響を及ぼした。

1493年にコロンブスが到着して間もなく、インフルエンザに似た病気がアンティル諸島の先住民を壊滅させた。16世紀のメキシコでは、スペインのコンキスタドールが持ち込んだ天然痘の流行により、感染した人々の半数が命を落とした。

病気の猛威は容赦なく、2世紀にわたって続いた。ウィリアム・マクニールは、画期的な著書『疫病と人類』の中で、コロンブス到着前の先住民人口はその後の20~25倍だったという推計について、「地域による大きな差はあるものの、おおむね正しいようだ」と述べた。

今日、病気の感染経路についての知識は大きく進歩し、治療し封じ込める能力も向上している。残念ながら、細菌やウイルスは急速に進化し、機会を捉えて広がる。

今日、都市の中心部が拡大し、人間がかつて人里離れていた地域に入り込むにつれて、病原体が次々と出現している。野生生物との接触や、ますます集約化する畜産の手法は、病原体が予想外の形で種の壁を越える機会を生み出している。

1950年代に始まったグローバリゼーションの第2段階では、航空旅行と人々の移動が増加した。この動きは今日も衰えることなく続いている。デジタル革命であるグローバリゼーション3.0から、デジタル世界と物理世界の融合である4.0へと移行する中で、こうした病気が人類にさらに大きな影響を及ぼすリスクは高まっている。

航空旅行の増加により、病気が人類にさらに大きな影響を及ぼすリスクが高まる。Image: Visual Capitalist

世界で最も恐れられる病気が、今ではほぼ毎年出現している。2018年5月と6月には、世界保健機関(WHO)の優先病原体リストに掲載された10の病気のうち、6つで流行が記録された。

こうした「既知の病原体」は、個人、家族、地域社会、そして国々に影を落とす。しかし、未知の脅威である「疾病X」にも備えなければならない。疾病Xとは、1918年のスペイン風邪と同じように世界中に広がる可能性を持つ、新たな未知の病原体である。

疾病Xがどこで発生し、どのように広がるかは分からない。過去40年間に私たちが直面してきた新興感染症――HIV、エボラ、ニパ、SARS、MERSなど、ほかにも数多くある――の多様さを考えれば、慎重になるべきだ。疾病Xの生物学的特性や、どれほど毒性が強いかを事前に予測することはできない。それでも、備えておかなければならない。

過去のグローバリゼーションの波が感染症の流行に拍車をかけたのだとすれば、第4次産業革命と結びついた現在の波は、少なくとも、将来の感染症流行と闘うための強力な新しい手段をもたらしている。

グローバリゼーション4.0は、科学や生物学の知識を得る速度を高める技術と処理能力を私たちにもたらしている。また、病原体への理解や、私たちが闘おうとしている病気を形づくる基本要素への理解も深めている。

こうした進歩により、より広範で大規模な協力の新たな形が可能になっている。データセットを共有し、専門知識を結集し、官民双方の力を組み合わせ、新たな技術を共同で開発し、革新的な解決策に向けて連携することで、グローバリゼーション4.0の恩恵を生かし、将来の感染症流行に対処する新たな方法を考案できる。

感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)は、集団的な取り組みを通じて感染症流行の世界的脅威に対処するために設立された。私たちは新しい組織だが、すでにラッサ熱、MERS、ニパなどの病気に対するワクチン開発に資金を提供している。また、ワクチン開発を大幅に加速させる可能性を持つワクチン製造プラットフォームにも、多額の投資を行っている。疾病Xへの対応を求められたときに役立つ、世界規模のパートナーシップのネットワークを築いている。

今日の多極化した世界では、政府、多国間機関、非政府組織、学術界、民間部門が連携し、直面する危険に見合う規模と緊急性をもって、パンデミックの世界的脅威に備えなければならない。

パンデミックがもたらし得るコストの推計は、驚くべき規模である。2016年の米国国立経済研究所の研究では、深刻なパンデミックによる年間の予想影響は、年間70万人を超える死亡で、コストは約5,000億ドルに上ると算出されている。研究開発、医療制度、監視体制、緊急対応など、あらゆる面で防御力を早急に高める必要がある。

感染症流行への備えには今すぐ投資しなければならない。疾病Xが発生するまで待てば、手遅れになるからだ。

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