リスクに満ちた未来から、レジリエントな未来へ:最高リスク責任者コミュニティからの考察

The latest Global Risks Report is due to be released at the start of 2026, ahead of the World Economic Forum Annual Meeting in Davos.
The latest Global Risks Report is due to be released at the start of 2026, ahead of the World Economic Forum Annual Meeting in Davos.Image: Joannes Plenio/Unplash
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  • 最高リスク責任者コミュニティは、組織が世界的なショックとその波及効果を予測・管理し、より迅速に立ち直れるよう支援することを目指しています。

  • グローバル・フューチャー・カウンシルおよびサイバーセキュリティ年次総会での会合後、コミュニティのメンバーは世界のリスク環境について見解を共有しました。

  • 最新の「グローバルリスク報告書」は、ダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会に先立ち、2026年初頭に発表される予定です。

「グローバルリスク報告書2025」は、地政学、環境、経済、社会、技術面の課題が深刻化し、安定と進歩を脅かす、分断が一段と進む世界の姿を明らかにしました。変化の激しい世界では、新たなリスクを理解し、管理し、備えることが組織にとってますます重要になっています。

変化する世界のリスク環境を検討するため、2025年10月14~16日に開催された世界経済フォーラム「グローバル・フューチャー・カウンシルおよびサイバーセキュリティ年次総会」に、最高リスク責任者コミュニティを招集しました。このコミュニティは、組織が世界的なショックとその波及効果を予測・管理し、より迅速に立ち直るための備えを強化することを目指しています。地経学的ショックから技術の加速的な進展まで、この会合は最高リスク責任者が不確実性に対処し、新たな潮流を読み解いて、あらゆるレベルの意思決定に生かすための重要な場となりました。

最高リスク責任者たちが挙げた主な教訓は何でしょうか。また、2026年が近づくなか、彼らが今後に楽観的な見通しを持つ理由は何でしょうか。

不確実性を受け入れ、機会を切り開く

複雑さ、変動性、変化の速度が増す世界のリスク環境において、先を見据えた協調的な姿勢が不可欠です。不確実性は日々のビジネスに付きものとなり、リスク管理にはその現実に適応することが求められています。鍵となるのは先手を打つ姿勢です。組織の機敏性を保ち、機会を早期に見いだし、ためらうのではなく自信を持って変化に対応できるようになります。

会合では、最高リスク責任者たちが不確実性に対処するための「新たなガバナンスの体系」の必要性を強調しました。効果的なリスク管理には、過去の経験を振り返るとともに、将来の課題を予測する批判的思考を受け入れる姿勢が欠かせません。この二つの視点によって、組織は過去の成功や見落としから学びながら、新たなリスクと機会への備えにおいて機敏さと先見性を保てます。

胡秀珠、最高リスク・コンプライアンス責任者、グリーン気候基金

「私たちは、変動性によって特徴づけられる時代に足を踏み入れています。リスクと機会の境界は絶えず引き直されています。かつて想像もできなかったことが日常となり、長年の前提の多くがもはや通用しなくなっています。

技術、地政学、気候、経済をめぐる混乱が加速するなか、リスクの時間軸は短くなり、新たなリスクを予測して対応するための猶予も縮まり続けています。リスク管理、レジリエンスの構築、機会の創出には、今まで以上に、機敏で協調的かつ分野横断的な思考が不可欠です。」

強固でレジリエントな未来には、適応とイノベーションが不可欠

今後の課題は大きいものの、最高リスク責任者たちは、組織のレジリエンスは実現可能だと慎重ながらも楽観視しています。不確実な時代は、組織に既存の慣行や規範の見直しを迫り、リスク管理により革新的な手法を取り入れるきっかけとなります。曖昧さに抵抗するのではなく受け入れることで、リーダーはレジリエンス、協働、長期的な価値創出に向けた新たな道筋を見いだせます。

会合での主な教訓は、先行きの見えない新たな常態に適応し、イノベーションを進める必要性でした。リスクを取り巻く状況はかつてない速さで変化しており、リスク管理も歩調を合わせなければなりません。数年前に有効だった方法が、今日も十分とは限りません。組織は機敏さを保ち、新たなツールやアイデアを取り入れ、新たな脅威を特定して対応する方法を見直す必要があります。

アレックス・マルコフスキー、リスク部門責任者、リオ・ティント

「世界がかつてない速さで変化し続けるなか、適応とイノベーションを進め、協力してより強固な未来を築くという共通の決意がありました。

今後、リスク環境はさらに変化の激しいものになるでしょう。地経学的ショックと激化する地政学的競争が貿易や投資の流れを変え、国家間の協力が弱まる多極化した世界が生まれています。この構造的な変化により、不確実性が常態となり、効果的にリスクを軽減するうえで、企業戦略と、あらゆるレベルで信頼に基づく二国間関係を築くことの双方が、ますます欠かせなくなっています。

こうした課題にもかかわらず、議論のなかでは楽観とレジリエンスが示されました。AI、企業と政府の二国間パートナーシップ、責任ある環境管理が価値を生み出し、世界を前向きな道筋へと導く可能性は、希望を与えるものでした。組織のレジリエンスにとって、強力で機敏なリスク管理能力と、事業を深く理解しチームの信頼を得ているリーダーが重要な役割を果たすことも確認されました。」

縦割りをなくし、マインドフルなリーダーシップを

組織内に活発なリスク文化を根付かせる中心的な原動力として、強いリーダーシップが浮き彫りになりました。リーダーは期待を明確にするだけでなく、未来について批判的かつ創造的に、目的意識を持って考えるよう周囲を促す行動を自ら示し、組織の姿勢を定める重要な役割を担います。オープンな対話、好奇心、説明責任をリーダーが積極的に推進すれば、チームはリスクを早期に特定し、革新的な解決策を探り、ためらうことなく自信を持って不確実性に向き合えるようになります。

最高リスク責任者たちは、組織全体のリスク対応力を高めるうえで、分野横断的な学びが持つ変革的な価値を強調しました。部門間の縦割りを解消することで、より全体的な視点が生まれ、不確実性の管理における協働と責任の共有が促されます。このアプローチの中核にあるのが、マインドフルなリーダーシップ、すなわち、気づき、共感、戦略的な明確さを意思決定に取り入れるリーダーシップです。

魚谷雅彦、グループ最高リスク責任者、上席執行副社長兼執行役員、SOMPO

「レジリエンスの基盤として、協働と人的資本が重要だという共通認識が得られたことに、大きな励ましを感じました。

これには、CRO、CISO、法務チーム、事業部門が分野を越えて強固に協力し、組織の縦割りを着実に解消することが含まれます。この点でも、CROが事業の副操縦士として果たす役割を、効果的に示すべきだと考えます。

不確実な時代に効果的なリーダーシップを発揮するには、自らの限界や未知の事柄を認める謙虚さと、十分な情報に基づいて断固たる行動を取る勇気が求められます。マインドフルなリーダーシップを重視し、専門人材に意図的に投資することは、今後の課題に備えて組織文化を強化する重要な道筋となります。」

スコット・レスター、最高リスク・監査責任者、BHPグループ

「不確実性が新たな常態となるなか、私たちのような組織は、強固な設計、戦略的な洞察力、適応型のリーダーシップによって、この変化する環境を乗り越え、成長できる有利な立場にあります。

複雑な状況にもかかわらず、レジリエンスの兆しが見られたことに励まされました。その兆しは確かにありました。目的を持って協働するという考え方は、戦略上欠かせないものとして浮かび上がりました。AIを誇大宣伝ではなく世代を画する変革と捉える、現実的な楽観論も励みとなりました。とりわけ、スキル革命の必要性と結びつけて語られた点が印象的でした。

企業は地政学への対応力を高めなければなりません。縦割りの機能としてではなく、戦略、ガバナンス、事業運営の全体に組み込まれた中核能力として構築する必要があります。グローバルから地域別モデルへの移行や、地政学的な手段としてのM&Aの活用は、事業戦略の根本的な再編を示しています。」

先見力を高める:技術と人間の判断力を連携させる

体系的なシナリオ・プランニングを通じて多様なシナリオを検討することは、主要なリスクの特定、潜在的な機会の発見、レジリエントな戦略の形成に引き続き不可欠です。起こり得るさまざまな未来を考慮すれば、組織は前提を検証し、予測可能な課題にも予想外の課題にも備える力を高められます。

技術ツールと人間の判断力を相乗的に活用して先見力を高めることが、不可欠だと認識されました。洞察、イノベーション、意図を持ったリーダーシップの融合は、レジリエンスを備えるだけでなく、未来への備えが整った組織を築く鍵です。高度な分析、データモデリング、予測ツールは、複雑な世界の潮流を読み解き、変化するリスク環境について、より多くの情報に基づく意思決定を行う助けとなります。

バーバラ・バドイーノ、企業倫理・リスク・コンプライアンス部門責任者、ノバルティス

「技術は先見力を高めますが、信頼を築くのは人間の判断力です。成熟したリスク文化があれば、組織のあらゆるレベルで、問題の早期報告、倫理的な意思決定、透明性のある対話が可能になります。

レジリエンスは偶然に生まれるものではありません。目的、倫理、実績を結びつける先見性、優れたガバナンス、統合的な保証体制を通じて設計されます。絶え間ない混乱の時代に、この統合が変動性を持続可能な成功の基盤へと変えます。

縦割りを部門横断的な連携に置き換え、サイバー、規制、業務上のリスクを追跡するリアルタイムのリスク監視ダッシュボードを活用し、機敏なガバナンス、明確なエスカレーション経路、強固な説明責任の文化を通じてチームに権限を与えている組織に、私はレジリエンスの兆しを見てきました。」

最高リスク責任者コミュニティとグローバルリスク・イニシアチブの詳細はこちら:https://initiatives.weforum.org/global-risks/home。

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