世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書』が2025年1月に発表されるのに先立ち、チューリッヒ保険グループ(チューリッヒ)とマーシュ・マクレナンは、フォーラムの「エグゼクティブ・オピニオン・サーベイ」の要約版を公表しました。
本調査は 121カ国・地域の1万1000人のビジネスプロフェッショナルから見解を集めたものです。
ここでは、チューリッヒ保険グループのグループ最高リスク責任者であるペーター・ギガー氏が、経済的混乱、気候変動による混乱、サイバー脅威への対応について論じています。
エグゼクティブ・オピニオン・サーベイ2024は、世界経済フォーラムが戦略的パートナーであるチューリッヒ保険グループ(チューリッヒ)およびマーシュ・マクレナンとともに実施・公表したもので、121カ国・地域の1万1000人のビジネスプロフェッショナルの見解を取りまとめたものです。
複雑性
企業がますます複雑化するリスク環境を乗り越えていくなかで、経済リスクにとどまらず視野を広げ、先手を打つ姿勢をとることが不可欠です。2024年は観測史上最も暖かい年になる見込みであり、気候変動の影響が深刻化していることから、これを看過してはなりません。
新興技術の急速な進歩は、拡大する課題の克服に役立つ一方で、新たな脅威ももたらします。こうした多様なリスクを先回りして特定し、軽減することで、企業は回復力を築き、不確実な状況の中でも成長することができます。これらの課題に正面から取り組むことは、事業運営を守るだけでなく、将来の持続的な成功に向けて企業の立場を強化することにもつながります。
以下は、主な懸念事項の4つです。
1. 経済的脅威:支配的な懸念
経済状況に対する懸念は消えていません。経済にいくらか改善の兆しが見られるものの、G20諸国のビジネスリーダーは、インフレや労働力・人材不足などの経済的脅威を今後2年間の主要なリスクとみなしています。これは、安定した経済が生き残りと発展に不可欠な要素であるとの認識を強く示すものです。
2. 相互に関連するリスク:経済的・社会的課題
本調査はまた、社会的リスクが経済リスクと密接に結びついており、原因にも結果にもなりうることを指摘しています。このような相互関連性は、経済の低迷が社会問題を悪化させうること、またその逆もありうることを意味します。
世界全体の結果をG20のビジネスリーダーの結果と比較すると、類似した懸念が見られ、上位5つのリスクのうち4つが一致しています。ただし、顕著な違いもあります。世界のプロフェッショナルは環境リスクを見落とす傾向がある一方、G20では環境リスクが主要なリスクに含まれています。環境リスクはますます一般的になり、深刻な被害をもたらしていることから、より広い視野が必要であることが浮き彫りになっています。
3. 環境リスク:高まる脅威
極端な気象現象は、G20の上位5つのリスクの中で5番目に大きなリスクとして挙げられました。これは、ブラジル、ドイツ、インドネシア、米国をはじめとする多くのG20諸国が、深刻な洪水、平年を上回る降雨、山火事、極端な暑さ、または高水準のハリケーン活動に見舞われた年に続くものです。
環境上の脅威を無視してはなりません。気候関連事象の頻度と深刻度から、企業や経済にとっての壊滅的な影響を回避するため、企業はリスク・レジリエンス計画に環境リスクを組み込むことが求められています。
4. サイバーリスク:高まる懸念
本調査はまた、ビジネスリーダーの間でサイバーリスクに対する懸念が高まっていることも示しています。調査対象のG20諸国のうち5カ国では、サイバー脅威が主要なリスクに挙げられました。特に、誤情報、偽情報、人工知能技術の悪影響といった問題は、信頼を損ない、事業運営を妨げ、多額の金銭的損失をもたらしかねないため、とりわけ懸念されています。
これらのリスクは、今年の国別上位5位ランキングに6回登場しており、2023年の3回からの増加です。インドネシアでビジネスを行う上では第1位、米国では第3位、英国でビジネスを行う上では第4位のリスクに挙げられました。
引き続き警戒を怠らない
これまでのところ、世界システムは驚くほどの回復力を示してきました。とはいえ、警戒を緩めるべきではなく、さまざまなリスクに対する回復力を事前に構築することが重要です。将来のすべてのリスクを予測することは不可能ですが、企業、政府、個人は、新たに生じうるリスクを特定し軽減する上で、引き続き警戒を怠らず、適応力と先見性を持つことが不可欠です。これには、研究への投資、イノベーションの促進、強固なリスク管理戦略の策定が含まれます。


