ISISはインターネット最大のディスラプターなのか?

ISISはインターネット最大のディスラプターなのか?
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米国がこのテロ組織に対抗するには、当局者はデジタルの視点で考える必要がある。

ほぼすべての産業がインターネットによって破壊的変化を迫られる時代に、世界の既存の政治秩序は、ほかに類を見ないディスラプターに直面している。かつてイラクのアルカイダだった組織が、今ではイスラム国、すなわちISISとして再編されているのだ。このテロ組織の曖昧なブランド表記――IS、ISIS、ISIL、ダーイシュ――は、その邪悪なアイデンティティと目標に鋭さを加えている一方、悪名をとどろかせるまでの道のりは、ほかのディスラプターの歩みに沿っていたようだ。

今日提示されている、この集団への対抗・制圧計画の大半は、軍事的または地政学的解決策だけに焦点を当てている。こうした計画は重要だが、ISISの台頭に寄与した別の力、すなわち起業家的なニッチ事業を拡大する戦略と、高度なブランディングおよびデジタルマーケティングの展開への理解を欠いている。ISISに十分対抗するには、米国と世界各国が、ISISの影響力を世界中に広げることを可能にしたブランディング、デジタルマーケティング、スタートアップの考え方を十分に理解しなければならない。

ISISが急速に台頭した背景には、3つの要因がある。第一に、この集団は既存勢力が見過ごしていた市場のニッチを見つけた。アルカイダ本部、イラクのマリキ政権、シリアの残虐なアサド政権、さらには米国もその勢力に含まれる。デジタルに精通した新規参入者が、初期の足掛かりから事業を拡大する余地があった。ISISは自らを差別化するため、極めて暴力的な手段もいとわなかった。また、インターネット上で活動範囲を広げようと、テクノロジーを巧みに利用して、実態を大きく上回る世界的ブランドを築いた。

第二に、米国政権とその同盟国は、典型的な既存勢力として振る舞った。BlockbusterやKodakが、それぞれ動画配信サービスやデジタル写真への対応に遅れたように、米国政権と同盟国は、ISISがプロパガンダを広め、組織をデジタル世界へ拡張する能力、とりわけソーシャルメディアを通じた能力を過小評価した。プロパガンダにとどまらず、この拡張によってISISは、米国と同盟国の国内市場で人員を勧誘し、「製品」を届ける能力を得ている。その結果、競争上の脅威は戦略の中核に近づき、今や米国は破壊的攻撃に直面している。

ISISをめぐって問うべきなのは、選択肢を検討する米国と同盟国が、どのような教訓を得られるかということだ。

第一の教訓は、ISISが典型的な破壊的行為者であると認識することだ。そのため、動画から受ける印象以上に危険な存在となっている。ISISの主な特徴を見てみよう。

ISISは、カリフ制の栄光の時代への回帰という、明確に差別化された説得力ある最終構想を掲げて戦略を築いてきた。その実現に向け、占領地でごく基本的なサービスを提供し、初期の顧客を獲得する。恐喝、占拠した発電所からの電力や占領した油田からの石油の販売を通じて、各新段階の資金を、それ以前の成長段階によって確保している。ISISのブランド構築と人員募集の戦略は、低コストで世界中の人々に届くリーン・スタートアップの手法を用い、恐ろしい動画、電子雑誌、最先端のデジタル・ダイレクトメール戦術など、複数のメディアを組み合わせている。関連するTwitterアカウントは46,000件を超え、各アカウントのフォロワーは平均1,000人に上るほか、スマートフォンアプリも活用している。

組織面では、ISISの管理構造は効率的でシンプルな、市場重視の階層組織だ。「忠誠」を誓わせることで世界的なフランチャイズ展開を促し、新たな市場への進出を始めている。パリ、ブリュッセル、シドニーでの個人による行動から、イエメンからナイジェリアに至る国々の暴力的な反乱グループまで、その形態はさまざまだ。

第二の教訓は、ISISをめぐる米国の作戦会議には、ベテランの政治学者、軍事・安全保障研究の専門家に加え、できれば25歳未満のビジネス戦略家やデジタルマーケターが必要だということだ。ラジオ放送、大使館、プロパガンダ映画、更新のないウェブサイトなど、冷戦時代から続くトップダウン型の対抗コミュニケーション手段では、BuzzFeedに匹敵するほどの物語発信・メッセージ発信機関には対抗できない。米国政府に必要なのは、単なる作戦会議室以上のものだ。ISISが次の大きな動きに出る前に、その影響力に対抗する革新的な方法を開発しなければならない。残念ながら米国には、こうした事業を育成しながら、後に敵となるのを許してきた実績がある。アルカイダはその一例だ。この事業は、真の敵を抑え続けることに集中し、機敏に動ける自由を与えられながらも、近くに置いておくべきだ。

米国政府にとっての第三の教訓は、ディスラプターの指導者モデルをより深く理解する必要性だ。ISISの最高幹部を排除すると何が起きるのか。作戦が終わるとは考えてはならない。デジタルを基盤とする組織では、取り組みがクラウドソーシングされ、世界各地に分散されて、自律的に組織化するシステムとして続く可能性がある。現代の敵が、従来型の階層的なピラミッド組織で編成されていると決めつけてはならない。

疑いの余地なく、ISISは忌まわしく残虐な敵だ。軍事専門家は、アルカイダより大きな脅威だと評している。私もそう思う。それはISISが、極端な暴力に訴える意思を示すために、どれほど衝撃的な行為に及ぶかというだけではない。競争の歴史が示すように、デジタル技術を活用する破壊的な新規参入者は、いったん足掛かりを得ると、排除するのが極めて難しいからでもある。ビジネスにおける破壊的変化は創造的破壊というゲームの一部だ。しかし、文明世界が超暴力的で中世主義的な反乱によって破壊的変化を強いられるなら、それは人類にとって全面的な破滅をもたらす結果となる。

この記事はFORTUNEとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:Bhaskar Chakravortiは、 タフツ大学フレッチャー・スクール の国際ビジネス・金融担当上級副学部長であり、フレッチャー・スクールの グローバル・コンテクストにおけるビジネス研究所の創設エグゼクティブ・ディレクター。世界経済フォーラムの イノベーション経済に関するグローバル・アジェンダ評議会

写真:2010年5月2日、ニューヨークで行われた反核兵器の抗議集会と行進で、女性が反戦ステッカーを配っている。REUTERS。

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