日曜日、パディントン駅へ向かうロンドンのタクシー運転手に行き先を尋ねられ、エチオピアへ行くところだと答えると、彼はこう言った。「あそこは今どんな様子だい。まだみんな飢えているのかい?」。人々の認識は、そう簡単には消えないようだ。
エチオピア訪問はこれで3度目だ。ロンドンからブリティッシュ・エアウェイズでナイロビへ飛び、そこからエチオピア航空でアディスアベバに向かった。エチオピア航空は2011年にアフリカ最高の航空会社に選ばれている。仕事でアフリカ各地を訪れる私も、その評価にうなずける。2002年後半の前回の訪問ははるかに過酷で、西アフリカからパリ、フランクフルト、カイロを経由して、アディスに着くまでに疲れ果てる48時間を要した。今なら同じ道のりが直行の5時間のフライトで済む。
社会起業家であり、世界経済フォーラムのシュワブ財団のフェローとして、私はエチオピアで初めて開催されるアフリカ地域会議に出席するためここに来ている。今年のテーマはまさに、 「アフリカの変革を形づくる」である。そして、アフリカは確かに変革の最中にある。変革の旋風が大陸全体に吹き荒れており、貿易、成長、政治的安定、経済政策、グリーン革命、ビジネスモデル、投資などをめぐる私たちの議論にも、それが反映されるだろう。アフリカは今なお、一見乗り越えがたい課題に直面しているが、耳にする言葉は貧困、飢饉、援助よりも、楽観、機会、イノベーションのほうが多くなっている。アフリカの人々は、アフリカならではの解決策を見いだしつつある。
10年前、私は現地のSIMカードを買えず、南アフリカのGSM携帯電話で通話するしかなかった。当時の携帯電話所有者はわずか1万7,000人だったが、現在の契約者数は推定650万人にのぼる。今回は、ローミング料金を払う代わりにMTNエチオピアでSIMカードを購入した。2002年には、ダイヤルアップのインターネット接続に1分あたり1ドルを支払った。今ではホテルで無料かつ高速で使える。インターネットを利用できるエチオピア人はいまだ6%に満たないものの、アディスのインターネットカフェでは、1時間のオンライン利用料は平均18~30ブル(現地通貨)、おおよそ1~2ドルである。
ここに来られて胸が躍るのは、大きな変化をこの目で確かめられるからだけではない。私の シュワブ財団 のネットワークの仲間たちと再会できるからでもある。フォーラムには 19人の社会起業家が出席 する。彼らの成し遂げていることは、いつも刺激を与えてくれる。今回は私にとって9回目のアフリカ世界経済フォーラムで、これまでに参加したマプト、ダルエスサラーム、ケープタウンでの会議と比べてどうなのか、見るのが楽しみだ。
うまくいけば、このようなイベントやエチオピアの新しい姿が、この複雑で歴史ある、多様で文化豊かな国に対するタクシー運転手の認識を改めるきっかけになるだろう。
執筆者:クリスティン・ピアソン(英国、 Lifeline Energy最高経営責任者)、社会起業家、世界経済フォーラム シュワブ・フェロー
Lifeline Energyは、ソーラー式やぜんまい式のプライム・ラジオ、MP3対応のライフプレーヤー、照明、エネルギー源の配布を通じて、貧しく弱い立場にある女性や子どものエネルギー貧困に取り組んでいる。1999年の創設以来、主にサハラ以南のアフリカで45万点以上の自家発電式製品を配布し、1,000万人超の人々に情報、教育、明かりへの継続的なアクセスを提供してきた。Lifeline Energyは、人道支援分野向けにクリーンエネルギー製品を設計、製造、販売する新製品開発・貿易会社、Lifeline Technologies Trading Ltdを所有している。 続きを読む


