カタルーニャの人々は 独立に賛成票を投じた 。この住民投票に公式な効力はないものの、その意義は非常に大きい。いまカタルーニャは、次にどこへ向かうべきかを決める必要がある。
11月9日に実施された住民投票は、カタルーニャ政府の後押しを受けた勢力連合が推進した。彼らは、独立すべきかどうかを決める「決定権」がカタルーニャにあると主張している。
いわゆる象徴的な住民投票には約220万人が投票した。80.7%という大多数が完全独立を支持した。10~11%はカタルーニャがスペインと連邦を形成することを望み、5%は現状維持を支持した。カタルーニャ政府がこれを成功と捉えたのは当然であり、アルトゥール・マス首相の地位も強化された。
投票率は、この地域で最近行われた欧州議会選挙の参加者数に匹敵した。とはいえ、全有権者登録数の約36%にすぎず、2012年のカタルーニャ 州議会選挙で投票した有権者登録数の69%には遠く及ばなかった。
住民投票に反対する政党に促され、憲法上の現状維持またはより穏健な改革を支持する人々の大多数は、単に投票しなかった。結局のところ、目に見える結果をもたらすことのないはずの住民投票であり、スペイン国家も反対していた。したがって、投票率は注目に値するものの、実際に住民投票が行われた場合、分離独立派が「反対」派から必ずしも容易に支持を得られるわけではないことも、結果は示している。
長い道のり
今回の投票は、2010年以降、カタルーニャ社会で起きた5回目の大規模な動員だった。この一連の動きのきっかけとなったのは、スペイン憲法裁判所が新しい カタルーニャ自治憲章の重要な条項を無効とする判断を下したことだった。この憲章は社会党政権と合意し、スペイン議会で承認されていたが、野党の国民党が同裁判所に付託していた。
この判決によって、スペインの憲法体制とその経済的な影響をめぐる、カタルーニャ社会内のさまざまな懸念が表面化した。中央政府からカタルーニャに配分される資金の額や、インフラへの 投資水準が比較的低いことへの不満が高まっている。スペインを襲った深刻な景気後退が、この不満をさらに悪化させた。
分断されるカタルーニャ
カタルーニャは、膠着状態に陥っている。合意の成立は難しいだろう。
マスは完全な独立には至らない合意に応じるだろうと考える論者もいる。彼の連立政権はこれまで自治権の拡大のみを求めており、完全独立を求める声が上がったのは比較的最近のことだ。さらに、連立の主要パートナーであるジョゼップ・アントニ・ドゥラン・イ・リェイダは、スペインからの分離よりも連邦制を支持し続けている。
しかしマスは11月9日に独立に賛成票を投じ、いまやカタルーニャの「決定権」を支持する全政党に、カタルーニャ州議会の新たな選挙で単一の勢力として結集するよう求めている。これらの政党がカタルーニャで優勢であることを示したうえで、スペイン中央政府と、カタルーニャ独立を問う「最終的な住民投票」の実施について交渉することを目指している。「決定権」派の陣営における最大のライバル、カタルーニャ共和主義左翼の党首オリオル・ジュンケラスは、さらに踏み込み、州議会選挙で勝利した後、一方的に独立を宣言することを望んでいる。
中央政府から大幅な譲歩があれば、マスは立場を変えるかもしれない。しかし、与党の国民党がそのような譲歩をするとは考えにくい。一方、社会党の野党は政府より確実に柔軟な姿勢を示すだろう。そして現在、憲法改正に向けた本格的な提案を練っているようだ。
こうした動きは、政治情勢が異例の不安定さを見せるなかで進んでいる。国民党と社会党はともに、景気後退と相次ぐ汚職スキャンダルによって大きな打撃を受けた。最新の世論調査では、両党の得票率はいずれも30%を大きく下回る。
一方、新興左派政党の ポデモス は勢いを増している。結党から1年足らずで得票率20%超を獲得しており、この新勢力は今後の交渉に影響を及ぼす可能性がある。また、カタルーニャとスペインの完全な連邦連合に、より好意的とみられる。
来年には地方選挙と州選挙に続いて総選挙が行われる。これを機にスペインの政治体制が大幅に再編され、カタルーニャ側の要求の多くを取り入れた新憲法が制定される可能性もある。
別のシナリオとして、カタルーニャの分離独立派が議会の過半数割れを利用し、独立を問う住民投票を強行する展開も考えられる。あるいは国民党がスペインの最大政党の地位を維持し、大きな変革を阻むかもしれない。前例のない形の住民投票を経た今、何が起きてもおかしくない。
」との共同掲載。著者:エンジェル・スミスはリーズ大学の近現代スペイン史のリーダー(准教授)。
2014年11月7日、バルセロナで11月9日(9N)の住民投票に向けた最後の集会が開かれ、独立支持派の市民が「準備はできている、独立を」と書かれた巨大な文字を掲げた。ロイター。

