西アフリカの広範囲に既に深刻な被害をもたらしているエボラウイルス病の流行は、国際的な取り組みが大幅かつ直ちに強化されない限り、今後数週間から数か月のうちにさらに深刻化する見込みである。エール大学の研究者らが主導した新たな研究がそう予測している。
この研究結果は、『ザ・ランセット・インフェクシャス・ディジーズ』誌10月24日号に掲載されている。
エール大学公衆衛生大学院および医学部、ならびにリベリア保健社会福祉省の科学者7名からなるチームは、このウイルス性疾患の数理伝播モデルを構築し、既に深刻な被害を受けているリベリア最大の人口を抱える郡であるモンセラード郡に適用した。研究者らは、現在の経過のまま流行が続けば、12月15日までに数万人規模の新たなエボラ症例および死亡者が発生する可能性が高いと結論づけた。
「我々の予測は、今後数か月の間に新たなエボラの症例と死亡者による壊滅的な被害を回避し、流行を抑え込むための機会の窓が急速に閉じつつあることを浮き彫りにしている」と、 アリソン・ガルバニ(公衆衛生大学院疫学教授、本論文の責任著者)は述べた。「我々はまだ、最終的には現在の流行の初期段階とみなされるであろう時期の只中にあるのかもしれないが、当初の対応の遅れと不十分さによる悲惨な影響を回避できる可能性は急速に失われつつある」。
ガルバニらのチームが開発したモデルは、12月15日までにモンセラード郡だけで、報告された症例と未報告の症例を合わせて最大170,996件の感染が発生し、その数は約138万人の総人口の12%に相当し、90,122人が死亡すると予測している。このうち、同時点までに報告される症例は42,669件、死亡者は27,175人と著者らは推定している。
この苦難の大部分(約97,940件の症例)は、10月31日から国際社会が直ちに管理対策を強化すれば回避できる可能性があるとモデルは予測している。これには、エボラ治療センターの病床の追加、症例の発見速度を5倍に高めること、そして治療センターへの入所を待つ患者の世帯への防護キットの配布が必要となる。研究によれば、介入が11月15日まで遅れた場合、回避できる症例は最善の場合でも、その半分をわずかに上回る程度(53,957件)にとどまるとされている。これらの対策がすべて10月15日までに実施されていた場合、モンセラード郡で137,432件の症例を回避できていたとモデルは算出している。
2013年12月に、ギニア農村部の幼児の症例を発端として最新の流行が始まって以来、リベリア、シエラレオネ、ギニアでこの疾患により報告された症例は約9,000件、死亡者は4,500人に上っている。米国および欧州の一部では、患者を治療している医療従事者の間で初めて症例が確認された。
「現在の世界の保健戦略は、現在の不安定なエボラ流行を阻止するには著しく不十分である」と、共著者の フレデリック・アルティス博士(内科学・公衆衛生学教授)は付け加えた。「最低限、数万人、場合によっては数十万人の不必要な死を避けるためには、十分な数のエボラ治療施設を建設できる有能な物流専門家が必要だ」。
その他の著者には、筆頭著者のジョセフ・ルワード、マーシャル・L・エンデフォ・ムバ、ホルヘ・A・アルファロ=ムリージョ、ルーク・ボーウォ、トルバート・G・ニエンスワーが含まれる。本研究は米国国立衛生研究所(NIH)の助成を受けた。
掲載元: Yale News
著者:マイケル・グリーンウッド、エール大学公衆衛生大学院マネージング・エディター
画像:エボラ警告ポスターを読むアフリカの子どもたち。REUTERS


