ユーロ圏のガバナンス改革における優先課題とは?

ユーロ圏のガバナンス改革における優先課題とは?
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春の訪れとともに、ユーロ圏経済の回復の兆しが見えてきた。これは明らかに朗報であり、とりわけ、雇用機会への期待を高める経済成長を必要とする数百万人の失業者にとって喜ばしいことだ。しかし、回復には暗い側面もある。危機の最中に始まったユーロ圏改革のプロセスを続けようとするEUおよび各国の政治家の意欲が弱まっているのだ。それでも、ユーロ圏の経済ガバナンスは依然として不十分である。銀行同盟は大きな成果だったが、いまだ完成していない。

銀行同盟の改善に加え、脆弱なユーロ圏ガバナンスへの懸念を和らげるため、早急に取り組むべき課題がほかに二つある。財政ガバナンスの改善と、為替レートという手段がない中で競争力を確保する仕組みである。

ユーロ圏には、二つの目標を確実に達成する財政ガバナンス制度が必要だ。加盟国の財政の持続可能性を確保すること、そして、物価安定を目指すECBの金融政策を支える、ユーロ圏全体に適した財政スタンスを調整することである。私たちは五つの措置を提案する。

第一に、ある国の財政が持続不可能な状態に近づくほど、欧州による介入を強化すべきである。最終的には、欧州機関がユーロ圏政府の借り入れ能力を完全に取り上げられるようにしなければならない。ギリシャでの出来事が示したように、これはもっと早く導入されるべきだった。

第二に、ユーロ圏全体に適した財政スタンスを確保するため、ユーロ圏には、一部の加盟国による借り入れを禁止するだけでなく、ほかの国により大きな財政赤字を出すよう強制する能力も必要だ。いずれの場合も、ユーロ圏の景気後退のような例外的状況では、各国議会の決定を覆せるようにすることを意味する。

第三に、財政ガバナンスは、中央銀行の欧州システムに相当する「財政政策の欧州システム」(EFP)として組織し、現在の欧州安定メカニズム(ESM)も監督させるべきである。EFPの議長はユーロ圏財務相が務める。EFPの構成員は、ユーロ圏各国の財務相に加え、欧州委員会の代表を含む5人のほかのメンバーとする。EFPは多数決で財政政策を決定する。債務の持続可能性が重大な危機にさらされている時、またはユーロ圏が深刻な景気後退に陥っている時には、その決定は各国を拘束するものとなる。

第四に、改革後のESMにおいて、EFPは特別な目的のために財政資源の拠出を要請する権限を持つべきである。これには、加盟国への不可欠な支援や、深刻なシステム全体の緊張が生じた場合の銀行支援が含まれる。

第五に、各国の決定を覆すEFPの決定には、新設する欧州議会のユーロ圏会議所の承認が必要となる。これは、新たなガバナンスの枠組みに民主的な説明責任を持たせるうえで不可欠な要素となる。独立したユーロ圏財政評議会は、例外的状況に関するEFPの評価が妥当かどうかについて助言する。

もう一つの提案は、加盟国間の賃金と競争力の格差を防ぐための措置に関するものだ。こうした格差は、しばしば各国の労働市場や社会制度の機能に起因し、場合によっては通貨同盟への加盟と相いれない。ユーロ圏は、共通のルールと高い移動性を備えた単一労働市場を作ることでこうした格差を解消できるとは期待できないため、各国の制度は、労働生産性の動向を適切に反映する賃金の結果を生み出さなければならない。

ユーロ圏には、欧州委員会が競争力などの動向を監視するために用いる既存のマクロ経済不均衡是正手続き(MIP)を補完し、賃金・生産性・競争力の大幅な不整合を防止・是正する仕組みが必要だ。新たな仕組みは、既存制度に二つの革新をもたらす。各国の機関を加え、一定の状況下で拘束力を持たせる。各国の競争力評議会と欧州委員会で構成する「競争力評議会の欧州システム」(ECC)を設置する。ECCの主な任務は、各国の競争力評議会の行動を調整し、いずれのユーロ圏の国も、自国または他国に重大な競争力問題をもたらす賃金基準を定めて適用することがないようにすることである。調整がうまくいかない場合、ECCは各国の評議会の決定を覆し、賃金基準を拘束力あるものにできるべきだ。

私たちの提案を実現するには、ユーロ圏各国から欧州レベルへ大幅な権限移譲が必要となる。急進的で広範囲に及ぶ提案に聞こえるかもしれないが、実際には、一部の学者や、欧州理事会の前議長が主導した「四首脳報告書」の提案よりはるかに穏健である。それらの提案は、ユーロ圏予算の創設や、調整を円滑にするための高い労働移動性を求めている。これらとは異なり、私たちの提案は、労働市場と財政政策が主として各国の管轄にとどまるという考えを受け入れる。それでも、比較的控えめな私たちの提案でさえ、欧州連合条約の改正、あるいは少なくとも新たな政府間条約を必要とするだろう。これは痛みを伴うプロセスかもしれないが、成長と雇用を再び促す安定した基盤を確立するため、ユーロ圏は制度の改革を続ける必要がある。

この記事は当初、ブリュッセルを拠点とするシンクタンク、Bruegelによって公開された。 記事はこちらのウェブサイトで読む。

掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:André SapirはBruegelのシニアフェロー。Guntram Wolffは2013年6月からBruegelのディレクターを務めている。

画像:カメラの多重露光機能を使って撮影した写真。1ユーロ硬貨とヨーロッパの地図が写っている。REUTERS/Kai Pfaffenbach

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