ノルウェーのバストイ刑務所で服役する受刑者は、狭い独房に座っているよりも、浜辺で日光浴をしたり、松林を散策したりして過ごすことのほうが多い。バストイが世界で最も快適な刑務所と呼ばれているのも不思議ではない。
バストイ刑務所は小さな島にあり、115人の受刑者が収容されている。非常に重大で暴力的な犯罪を犯した受刑者もいる。バストイはノルウェー最大の低警備刑務所だが、刑務所というより共同体に近い。受刑者は個室と共用設備のある共同住宅で暮らす。自分の服を着て、刑務所内の売店や図書館、教会を利用できる。
余暇には釣りやサッカーを楽しんだり、ジムで体を鍛えたりできる。映画室があり、講座や講演、イベント、コンサートが週ごとに予定されている。島のフェリーも受刑者が運航しているが、航路を変えて逃走しようとする者はいないようだ。
犯罪者に厳罰を科す従来の方針とは、まったく異なる。批判的な人々がバストイを矯正施設というより休暇キャンプだと言うのも、驚くことではない。しかしノルウェー当局は、このより寛容な方針のほうが効果的だと主張している。

どのように運営されているのか?
刑務所では、受刑者同士だけでなく、看守との間にも敬意ある関係が求められる。刑務官の大半は夜間、島を離れる。受刑者には自分自身に責任を持つことが期待されている。1日1食が支給されるほかは、受刑者が自分で食事を用意する。
バストイは、ノルウェーが「エコロジー刑務所」と呼ぶ施設だ。受刑者は毎日働き、馬や羊の世話をしたり、農場の運営を手伝ったり、燃料用の薪を得るために木を切ったりする。釈放に備えて新たな技能を身につける職業訓練プログラムも受ける。
「治安上の配慮と資源が許す限り、刑務所内の生活は外の生活に似ている必要があります」と、ノルウェー法務省の上級顧問ゲルハルト・プローグはニューヨーク・タイムズ紙の論説記事で説明した。「収監から自由への移行が段階的であればあるほど、再犯を防げる可能性は高まります。」
「しかし受刑者には、過去、現在、未来における自分の行動に責任を持つことが求められます。それに、制度が犯罪を恐れさせて思いとどまらせようとするより、本人が犯罪から遠ざかろうと望むほうが効果的だと私たちは考えています」と述べ、さらにこう付け加える。「あなたなら、どちらの人に隣人になってほしいですか?」
ノルウェーはスカンジナビアで再犯率が最も低い。釈放から2年後に再び有罪判決を受けた受刑者は、わずか20%だ。対照的に、米国は世界最大の受刑者人口を抱えるが、米国の29州を対象にした調査では、再犯率がはるかに高かった。
米国の受刑者の50%超は、釈放から3年以内に刑務所へ戻る。
ノルウェーには継続的な支援政策もあり、刑務所を出た人は誰でも、住居、雇用、医療を支援するサービスを利用できる。地域の支援サービスとの接点は、釈放よりかなり前から始まる。たとえば、刑務所を出る18か月前から、外部で仕事を始めることが認められている。
「自由ですが、自由ではありません」と、ある受刑者は語る。
暴力犯罪者
受刑者の中には暴力犯罪で収監されている人がいるのは事実だが、バストイで刑期を始めるわけではない。島の刑務所に入るには申請が必要で、従来型の刑務所で服役する間に、変わる意思が明確に示されていなければならない。
ノルウェーに終身刑はない。最長の刑期は21年で、ジェノサイド、人道に対する罪、その他の戦争犯罪に関わる犯罪では最長30年となる。
刑期の平均は約8か月だ。無条件の実刑判決の60%超は3か月以下で、ほぼ90%は1年未満である。

専門家によると、刑期を長くしても強い抑止力にはならず、厳罰化と犯罪減少との関連も決して明白ではない。
壁も武装した看守もいない刑務所で、当然問題になるのは逃走のリスクだ。2015年には、ある受刑者がサーフボードとパドルを使って実際に逃走した。しかし、そのような例は極めてまれだ。捕まった場合、バストイに戻ることはできない。

