英国民衆が再び国民投票に臨む可能性、そのリスクとは

A sign marking a polling station is seen in Kensington, London, Britain June 8, 2017. REUTERS/Stefan Wermuth - RC12D58C7530
Will the British public get a final vote?Image: REUTERS/Stefan Wermuth
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英国が、欧州連合(EU)からの離脱をめぐる新たな「人民の投票」に向かう可能性があります。英国がこの状況に至った背景には、2016年の最初のブレグジット投票以来明らかだった、国民投票に伴う最も深刻なリスクの一つがあります。つまり、政治家が重大な決定に対する責任を回避できてしまうことです。

英国のテリーザ・メイ首相は、確実な敗北が見込まれるなか、先月EUと取りまとめた英国のEU離脱合意について、議会での採決を延期しました。これを受け、2度目のブレグジット国民投票である「人民の投票」を求める声が高まっています。しかし、国民の選挙で選ばれた代表者が解決できない、あるいは解決しようとしない政治課題を決着させる手段として、国民投票は本当に適切なのでしょうか。

Image: 選挙管理委員会

国民投票は人々に発言の機会を与えます。人々が政治体制に怒り、不満を抱いている時代に、国民投票が支持を集めるのはそのためです。しかし、ルールがなければ、国民投票は集団的な怒りの叫びを促すにすぎません。これは、国家の政策決定とは区別しなければなりません。政策決定には、すべての人の利益を慎重に比較衡量する必要があります。それは、すべての市民一人ひとりが担うべき仕事ではなく、担える仕事でもありません。

ある問題では、ある人にとって良いことが他の人には非常に悪い結果をもたらすことがあり、他の人にとって悪いことが、巡り巡ってその人自身にさらに悪い結果をもたらすこともあります。ほとんどの人には、問題ごとにこうした事情を十分に理解するための時間、関心、知識、情報へのアクセス、意欲がありません。それでも、共同体全体を代表して決定を下すには、まさにその理解が必要です。

これこそが、代議制民主主義の存在理由です。有権者は政治家に、情報を得ること、すなわち公務員や情報、分析を最大限に活用し、長期的かつ大局的な視点から選択肢を比較衡量することを委ねています。

政治家はその後、さまざまな利害を、競合する政党、選挙区、代表者を通じて代表するよう設計された場、すなわち議会に結論を持ち寄らなければなりません。政治家は、自らの選択について、有権者や他の選挙で選ばれた公職者(議会による監視という形で)、独立系メディアから責任を問われます。

危険なのは、政治家が難しい決定への責任を避けるために国民投票を利用できることです。メキシコの新大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏は、就任前から、すでに30%が建設済みだったメキシコシティ新空港の中止や、主要な社会・インフラ計画10件への支持などをめぐる「非公式」な国民投票を実施していました。

では、公共政策を直接投票にかけることで、代議制民主主義における意思決定の質が損なわれないよう、各国はどうすればよいのでしょうか。

もちろん、政府が国民投票を実施しないという選択肢もあります。ベルギー、マレーシア、インドネシア(1985年から1999年にかけて権威主義的支配が強まるなかで国民投票が行われました)がそうです。それでも国民投票の選択肢を残すのであれば、政治家が難しい決定を避けるために利用できないよう、正式なルールを設けるべきです。まず、実施できる場合を制限し(例えば、憲法改正に関する場合に限る)、投票率の最低基準を定め、特別多数の賛成を要件とするべきです。

例えばオーストラリアでは、国民投票は一定の条件下でのみ実施でき、全体の過半数に加え、過半数の州で過半数の支持を得た場合にのみ成立します。英国でも同様の制限を設け、全体の過半数だけでなく、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドそれぞれで過半数を得ることを要件とすべきです。

国民投票の落とし穴を避けるもう一つの方法は、法的拘束力を持たせないことです。フィンランドとノルウェーでは、この方式でのみ国民投票が認められています。一方、オーストラリアの政治家には、法的拘束力のない国民投票を実施する選択肢があります。

これにより、効果的な国民投票に欠かせないもう一つの要素、すなわち政治家が政策対応に責任を持つことが実現します。例えばスイスでは、国民の意向を把握するために国民投票を行うことがありますが、国益に最も資する政策を策定する責任は政治家が負わなければなりません。

2014年2月の国民投票がその例です。スイスの有権者と州の過半数は、割当制による移民の制限を支持しました。しかし、そのような割当制を導入すれば、スイスのEU単一市場への参加条件に違反することになりました。そこで2016年、政府は独自の解決策を提示し、スイス人求職者を優先できるよう雇用主に認める法律を制定しました(EU労働者がスイスへ自由に移動する権利は制限しませんでした)。

国民投票を実施する際、政治家は人々が判断を下す環境にも責任を持たなければなりません。設問が適切に作られ、熟議の時間と質の高い情報が確保されるようにする必要があります。スイスには、地域で時間をかけて熟議し、協議する長い伝統があり、意思決定は時間がかかる一方で、十分な議論を経たものになります。こうした準備なしに国民投票を人々に突きつければ、即座の反応を招きます。古代アテネでは、民主主義発祥の地において、市民は議論初日に、アテナイの帝国支配に反旗を翻したミュティレネへの懲罰として、男性住民全員を死刑にすることに投票しました。翌日には市民の怒りが収まり、より寛大な措置に投票しました。

英国では、「ブレグジット」「合意なき離脱」「EU残留」といった言葉に強い意味合いが付与され、それぞれの立場の運動家が有権者に自分たちの主張を支持するよう働きかけています。こうした誘導に対抗する一つの方法として、過去の調査に裏付けられたものがあります。まず有権者に、そのテーマについて実際に何を知っているのか、主要な用語をどう理解しているのかを考えてもらうことです。3つの選択肢から選ぶよう主張する政治家は、人々が一つひとつを慎重に検討せず、中間の選択肢を選びがちな「妥協効果」を認識しておくべきです。

英国が全国規模で国民投票を実施したのは、これまでの歴史でわずか3回です。1975年の欧州経済共同体への加盟をめぐる投票、2011年の代替投票制度をめぐる投票、そして2016年のブレグジット投票です。しかし今、英国では再び、重大な影響を及ぼす投票が実施される可能性があります。

国民投票が頻繁になるにつれ、各国は政治家による濫用を防ぐルールを定める必要があります。これは、少なくとも多くの場合、国民投票に法的拘束力を持たせないことを意味します。有権者全体で真の熟議を行うための時間、情報、機会を提供することも意味します。そして、政治家(またはその顧問)が責任を免れることがあってはなりません。政治家は国益を前進させる政策を実行するために選ばれたのです。その責任を問われなければなりません。

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