アフリカの繁栄への道は、最も貴重な資源への投資から始めなければならない。それは鉱物資源でも、石油埋蔵量でも、農園でもなく、アフリカの未来にとってさらに重要なもの、子どもたちの健康である。これは比喩ではない。子どもの健康への投資は、文字どおり投資なのだ。病気の予防に費やすドル、シリング、ポンド、ランドは、避けられるはずの人々の苦しみを減らすだけでなく、経済的にも理にかなっていることを示す説得力のある証拠が、今や明らかになっている。
世界では毎秒30回を超えるワクチン接種が行われており、予防接種はすでに最も費用対効果の高い保健医療介入の一つと認識されている。しかし、学術誌Health Affairsに掲載された最近の研究は、その効果をより正確な数値で示している。小児予防接種に1ドルを投資すれば、医療費や病気による賃金・生産性の損失を16ドル節約できると見込まれる。人々がより長く健康に生きることの価値をすべて考慮すれば、投資収益はさらに増え、44ドルに達する。
これは各国政府にとって大きな好機である。同時に、子どもの健康をめぐる責任は保健相だけにとどまるべきではなく、子どもの健康の保護は、すべての政府にとって国家的な優先課題でなければならない。予防接種は非常に費用対効果が高いにもかかわらず、世界では今なお子どもの5人に1人が、最も基本的な予防接種さえ受けられていない。多くの国で接種率は50%を下回り、その大半は私の故郷であるアフリカ大陸にある。このため、ワクチンで予防できる病気によって、今も毎年150万人の子どもが命を落としている。
問題の一端には、ワクチンを最優先で投資すべきものと認識していない指導者たちの姿勢がある。とりわけ財務相は、ワクチンが費用に見合うだけでなく、非常に高い収益をもたらす投資でもあることを、あまりにもしばしば見落としている。さらに、政府内外には、子どもの死亡率は保健相だけが取り組む問題だという認識が広く存在する。実際には、政府のほぼあらゆる分野に影響する問題である。
予防接種によって病気を防ぐことは、個人、家族、地域社会、そして国々の社会的・経済的な福祉の向上に大きく寄与し得るからだ。健康な乳児には、費用のかかる医療処置や介護が必要ない。また、より健康な子どもへと成長し、学校に通い、最終的には社会の生産性向上に貢献できる可能性も高まる。親も病気の子どもの世話に追われずに仕事に出られるため、自らの収入を増やし、その結果、経済に還元できる可処分所得も増える。

こうした取り組みは、地域や国の繁栄を促すだけではない。強固な定期予防接種プログラムは、充実したユニバーサル・ヘルスケア制度の重要な一部でもある。そうした制度は、各国の指導者が経済・開発目標を達成するうえで不可欠だ。数値で示すと、低・中所得国94か国を調査したこの最新研究は、2011年から2020年の間に、小児予防接種が最大1兆4,300億ドルの経済的便益をもたらし得ると予測している。
こうした便益に加え、2020年以降もさらなる経済効果を得るには、予防接種に対する各国の長期的な取り組みを強化する必要がある。1990年以降、子どもの死亡率は半分を超えて減少し、2000年以降には、UNICEF、世界保健機関、そして私が理事長を務めるワクチン・アライアンス(Gavi)などの組織のおかげで、さらに5億8,000万人を超える子どもがワクチンを接種した。こうした進展を維持するには、長期的な保健支出の配分に裏打ちされた、強力な予防接種政策が必要である。
つまり、保健相だけに焦点を当てるのではなく、政府のあらゆる部門、とりわけ財務相を巻き込む必要がある。アフリカ最大の経済規模を持つナイジェリアで財務相を務めた経験から、保健予算を守る際に、保健相が財務相に予防接種の重要性をより効果的に訴えることがいかに大切か、私はよく知っている。感染症の抑制が経済を押し上げるうえで果たす重要な役割と、それを実現するために財務相自身が担うべき役割を、財務相に理解してもらわなければならない。
ある程度、すでに前向きな進展の兆しが見えている。なかでも、タンザニアのジャカヤ・キクウェテ前大統領が昨年、Gaviの予防接種担当グローバル・アンバサダーへの就任に同意したことが挙げられる。自国で実感した予防接種の便益と価値を、同じ立場の人々に広めるためだ。保健支出も増加している。今後5年間で、アフリカの最貧国39か国の政府が、予防接種費用として約60億ドルを拠出すると見込まれる。子どもの死亡率をさらに低下させるには、今後この額を増やし続ける必要がある。

