インドの巨大な観光ポテンシャルを引き出す鍵はここにあるのか?

An Italian tourist stands on a hilltop overlooking Leh city, capital of Ladakh July 8, 2011
Image: REUTERS/Fayaz Kabli
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インドは、その文化と多様性ゆえに、無限の可能性を秘めた国です。どの都市、どの州にも、探訪できる遺産や建築、体験が豊富にあります。インドの観光ポテンシャルは計り知れません。

2016年、インドを訪れた観光客は900万人でした。単独で見れば大きな数字に思えます。しかし、例えば昨年800万人の観光客を迎えたバルセロナと比べると、29の州と4,000の都市を擁する国が、なぜこれほど少ない外国人旅行者しか呼び込めなかったのかと疑問が湧きます。

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の試算によると、2016年、旅行・観光産業はインドのGDPの9.6%に当たる2,080億ドルを直接・間接に生み出し、4,000万人超の雇用を支えました。これは同国の総雇用の9.3%に相当します。観光部門は年率6.7%で成長し、2027年までに4,200億ドル(GDPの約10%)に達すると予測されています。

しかし、この成長率を30%に高める可能性があります。それが実現すれば、観光産業はGDPの約25%を占めることになるでしょう。

この成長を実現する秘訣は、インドの60万の村に隠されています。村々には、探訪を待つ遺産、文化、体験が海のように広がっています。しかし、インドの村々に秘められた可能性を引き出すには、インパクト・ツーリズムの視点から取り組む必要があります。

インパクト・ツーリズム

インパクト・ツーリズムとは、地域社会と観光客を中心に据え、観光を活用して持続可能な地域インフラの整備を支援するアプローチです。地域社会を支えながら、観光客に地元の文化や伝統をありのままに体験する機会を提供します。この二つの目的は、変化し続けるパリ協定の目標や国連の持続可能な開発目標にも沿っています。インパクト・ツーリズムは、持続可能な農村開発を促し、農村コミュニティに生計を立てる機会をもたらします。すべての関係者にとって利益のある取り組みであり、その可能性は計り知れません。

今、世界の平均的な観光客が求めているのは、ただ写真を撮って回る旅行ではなく、体験と物語です。インドよりバルセロナを訪れる人が多いのは、このスペインの都市には故郷では得られない物語や体験があるからです。とりわけソーシャルメディアを通じたテクノロジーの発展により、ミレニアル世代が自分だけの旅行体験を思い描き、実現する環境が生まれています。マチュピチュをトレッキングすることだけが目的なのではありません。人々をそうした体験へと駆り立て、世界を新たな視点で理解するきっかけとなるのは、地域コミュニティとの対話です。訪れる場所や出会う人々に心を動かされたいという思いが、体験型観光への道を開いています。

村を拠点とするインパクト・ツーリズムのモデルは、村だけで1,500万人の観光客を新たに呼び込むことで、観光産業に250億ドルの経済効果をもたらし、同時に村レベルで10万人の起業家を生み出す可能性があります。州政府は社会団体と緊密に協力し、村の重要な開発課題を特定したうえで、インパクト・ツーリズムのモデルを活用して地域の発展を支援し、観光地としての魅力を発信するべきです。これにより、観光客には一生の思い出となる体験を提供し、村人には生計を向上させる機会をもたらすという、二つの目標を同時に達成できます。

適切に実施すれば、このアプローチによってインドを訪れる観光客数を飛躍的に増やしながら、村人が村にとどまる動機も高められます。農村から都市への移住が増える流れに拍車をかけずに済むでしょう。

例えば観光客は、ラジャスタン州で村人と暮らす体験ができます。伝統的なラジャスタンの文化や習慣を学びながら、滞在先の家に浄水器を設置したり、村の家々にペンキを塗ったりして、地域に貢献できます。あるいは、村のニーズに基づいて地域コミュニティの代表者がテーマを決め、村人を対象に識字学習会を開くといった、もっと簡単な取り組みでもよいでしょう。このモデルは、村人が地元の産品を土産物として訪問客に直接販売できる市場をつくることで、伝統芸術の復興にも役立ちます。

課題も解決策も非常に明確です。今必要なのは、政府と民間部門の効果的な連携です。全国観光局が設立されれば、観光部門の声を政府に届けられるようになります。現在、インドの観光産業は共通の目標を持たない複数の機関によって個別に運営されています。しかし観光局があれば、政府と民間部門それぞれの役割と責任を明確に定められます。また、関係者を共通の目標とビジョンに沿って結集できます。例えば、「2023年までにGDPに占める観光産業の割合を30%に引き上げる」という目標が考えられます。

民間部門は、政府が整備する空港や道路、インドの遠隔地への鉄道網などのインフラを活用して、体験やインパクト・ツアーを開発できます。このモデルでは、観光から大きな恩恵を受ける地域コミュニティを含め、すべての人が利益を得ます。必要なのは、すべての関係者がインドに眠る観光ポテンシャルに目を向け、実行に向けた明確な計画を立てることです。そうしなければ、掘り起こされないままの金鉱となるおそれがあります。

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