雨が不規則に降り、作物への水やりが難しくなるなか、ジンバブエ政府は「ポットホーリング」と呼ばれる農法を農家に復活させようとしている。
その原則は、土壌をできるだけ攪乱しないこと、2種類以上の作物を一緒に育てること、そしてマルチやわら、ほかの作物を使って土壌を常に覆うことだ。
広い土地を耕して種をまく代わりに、「プフムブザ」農法では、雨水をためる小さな穴に作物を植える。
トコジレ・ンクベさんは18年間、わらで覆った堆肥入りの穴に作物を植えてきた。毎年、家族を養うのに十分な収穫がある一方、干ばつに見舞われやすいジンバブエのマトボ地区では、ほかの農家が作物の枯れるのを見守っている。
この伝統的な植え付け方法は、畑全体を耕して水をやる場合より長く作物の水分を保ち、干ばつを乗り切らせると、ブラワヨの南40 km(25マイル)にあるグワンガジレ村に住む8人の子どもの母親は語った。
「雨が降ったら、そのときに植えればいいのです。次に雨が降るまで、乾燥した時期でも作物は青々としています」と、56歳のンクベさんは語った。
「食べ物を買う心配をしなくていいし、干ばつのときに一部の人がするように、食べ物を買うために家畜を売る必要もありません」
雨が不規則に降り、乾燥した時期が深刻化して、作物への水やりに雨を頼ることが難しくなるなか、政府の計画は、数十年前に廃れた「ポットホーリング」と呼ばれる農法を、より多くのジンバブエの農家に復活させることを目指している。
「干ばつの際に水を保つため、先祖は穴を使う方法をいくつか実践していました。気候変動を受け、今ではそれらがより大規模に推進されています」と、政府の気候変動専門家ローレンス・マシュング氏は語った。
ポットホーリングは保全型農業の一種で、そのアプローチは3つの主要な原則に基づいている。土壌をできるだけ攪乱しないこと、輪作または間作(2種類以上の作物を一緒に育てること)、そしてマルチやわら、ほかの作物で土壌を常に覆うことだ。
広い土地を耕して種をまく代わりに、「プフムブザ」農法では、雨水をためる小さな穴に作物を植えると、政府の主席農学者ルトエンド・ノンゴネマ氏は説明した。
「土壌を常に覆っているので、水分が保たれます」と、同氏は電話でトムソン・ロイター財団に語った。
水を節約できるだけでなく、気候の専門家によれば、保全型農業は、より近代的な地表灌漑や湛水灌漑よりも炭素排出量が少ない。
地球の土壌には、大気と植生を合わせた量よりも多くの炭素が含まれている。従来型農法の多くで行われる耕起は、土壌に閉じ込められていた炭素を大気中に再び放出し、気候を温暖化させる排出につながる。
ポットホーリングでは、農家が土壌を攪乱するのは作物を植える場所だけなので、炭素の放出量が少ないと、気候変動担当官のマシュング氏は語った。
「ジンバブエの低排出開発戦略では、グリーン経済を実現するために同国が実施すべき対策として、保全型農業が明記されています」と同氏は指摘した。
国民を養う
8月、ジンバブエ政府は、2020/2021年の農期末までに180万世帯に種子、肥料、研修を届けることを目指す計画の一環として、ポットホーリング事業の試験導入を開始した。
農家は今月、この農法での植え付けを始めた。約620平方メートル(0.06ヘクタール)の小区画を3つ使うことに同意し、そのうち2区画には穀物を、残る1区画にはヒマワリ、ゴマ、大豆などの油糧種子作物または豆類を植える。
穴は1年の各週に1列ずつ、計52列に配置されると、農学者のノンゴネマ氏は語った。
定められた基準どおりに行えば、各列から収穫するトウモロコシの粒で、6人家族を丸1週間養えるはずだと同氏は付け加えた。
目標は、ジンバブエの年間食料需要の約90%を満たすことだと、農業普及サービス局でマタベレランド北部の主席農学者を務めるデイヴィソン・マセンデケ氏は語った。
ジンバブエ商業農家組合の副会長ウィンストン・バベッジ氏は、ポットホーリングは「優れた農業の考え方」であり、自給農家から商業農家まで、全国のあらゆる種類の農家の収量を改善する可能性があると語った。
観測史上最低の降雨量
水の使用量を減らして食料を育てる方法を見つけることは、ジンバブエの農家にとって大きな課題だ。予測できない雨に農業部門がますます悩まされ、続く経済危機の影響が悪化している。
2月に世界農業モニタリング・イニシアチブが発表した作況報告によると、2019年10月から12月までの雨季は、記録上、最も乾燥した時期の一つだった。
農家が作物を失ったり、まったく植えないと決めたりしたため、「作物の見通しに深刻な影響を及ぼした」と報告書は述べている。
政府主導の諮問機関ジンバブエ脆弱性評価委員会の報告によると、2018/2019年の農期に農家世帯が生産したトウモロコシは、前年より約3分の1少なかった。
報告書は、この減少について、不規則で不十分な降雨、低迷する経済、農業資材へのアクセス不足が重なったためだとした。
「プフムブザの考え方は、小規模農家が生計を守るうえで重要です」と、開発団体プラクティカル・アクションで知識管理を統括するイノセント・カツァンデ氏は語った。
この農法は、農家が「直面している厳しい状況に対するレジリエンスを高める」のに役立つと同氏は付け加えた。
カツァンデ氏によると、プラクティカル・アクションは2年前、東部の3地区(ムタレ、マコニ、ムタサ)で独自の保全型農業プロジェクトを開始し、9月に終了するまでに79,000人を超える農家にポットホーリングの使い方を指導した。
腰にこたえる重労働
正確な間隔で穴を掘って区画を整える労力に見合うほど、この農法の利点はないと考える人もいる。
ブラワヨ郊外のエシゴディニの農家シカタレ・モヨ氏は、1992年の干ばつのときに一度だけポットホーリングを使ったと語った。
「暑いなか穴を掘ったのを覚えています。そのせいで今も腰が痛みます」と、どちらの事業にも参加していないモヨ氏は不満を述べた。
しかし、マコニ地区の農家で3人の子どもの母親でもあるシュヴィソ・ヴァンギサイ氏は、重労働が報われたと語った。
プラクティカル・アクションのプロジェクトで受けた研修を活用し、同氏は今季、3年ぶりに良好な収穫を得た。トウモロコシ3トンを生産した。
「予測できない天候は、私の家族や村の多くの人々に壊滅的な影響を与えてきました」と同氏は電話で語り、この農法をさらに100人以上の農家に教える予定だと付け加えた。
「今は一年を通して農業をするつもりです。干ばつに備えた農法が成果を上げることを実感しました」と同氏は語った。
