アフリカの人々が病院にたどり着くまでの距離

Nine-year-old Tumelo shows off antiretroviral (ARV) pills before taking his medication at Nkosi's Haven, south of Johannesburg November 28, 2014. Nkosi's Haven provides residential care for destitute HIV-positive mothers and their children, whether HIV-positive or not. Nkosi's Haven is named after Nkosi Johnson, the young AIDS activist who passed away on International Children's Day on June 1, 2001. December 1 is World AIDS Day. Picture taken November 28. REUTERS/Siphiwe Sibeko (SOUTH AFRICA - Tags: HEALTH) - GM1EAC10G9S01
Africa'a access to health care needs to change.Image: REUTERS/Siphiwe Sibeko
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低・中所得国では、救急医療を受けられれば、死亡のほぼ半数と障害の約3分の1を防げる可能性があります。アフリカで緊急事態の主な原因となっているのは、交通事故、産科合併症、重篤な疾患、非感染性疾患です。

過去18年間、アフリカ救急医療連盟は、アドボカシー団体として、アフリカ大陸での救急医療体制の整備を推進してきました。同連盟が指摘してきた課題には、適切な交通手段や病院サービスの不足があります。

こうした課題に対処するには、病院の数や所在地、さらに医療から取り残されている人々に関するデータが必要です。アフリカの大半の国は、こうした情報を持っていません。病院数を含め、医療サービス提供者の基本的な一覧が整備されていないのです。

私たちの研究は、サハラ以南アフリカの病院サービスに関する初の評価を実施し、人々が医療をどの程度利用できるかを明らかにすることで、この問題への対処を目指しました。

病院までの所要時間を含む調査結果から、アクセス改善のためにどこへの投資が必要かが分かります。さまざまな対策が必要です。新たな病院の建設、外来医療の改善、新しい道路の建設、既存道路の修繕などが挙げられます。

しかし、最も緊急に必要なのは、各国が病院の一覧を更新し、救急医療を提供する能力や対応力を評価するとともに、民間部門の情報も更新することです。私たちの研究は、その取り組みの開始を後押しします。私たちはデータベースを構築し、無料で利用できるようにしました。各国レベルでサービスの提供状況を評価するために活用できます。

データベースの構築

病院一覧は、サハラ以南アフリカの48か国・島嶼を対象としています。

一覧の作成にあたっては、各国・島嶼の保健省、保健情報システム、国内外の組織など、多数の情報源を利用しました。ほとんどの場合、情報源はオンラインで入手できましたが、一部の国では個人的なつながりも頼りにして病院データを集めました。

一覧に掲載された病院の50%近くには、正確な位置の特定に役立つGPS座標がありませんでした。この問題に対処するため、Google EarthやOpenStreetMapなどのオンライン地図ツールを使い、それぞれに固有の位置情報を割り当てました。

この調査では、位置情報を正確に割り当てた公立病院4,908施設を特定しました(図1)。

アフリカの公立病院の地図。Image: The Conversation

サハラ以南アフリカの人口の約5分の1を占めるナイジェリアは、病院数が879施設と最も多くなりました。公立病院が特に多かった他の国は、コンゴ民主共和国(435施設)、ケニア(399施設)、南アフリカ(337施設)でした。

最も少なかったのは、カーボベルデ、ザンジバル、サントメ・プリンシペなどの小規模な国・地域でした。この情報を出発点として、病院サービスへの地理的なアクセスを算出しました。

迅速なアクセス

最寄りの公立病院までの移動時間によって、地理的なアクセスのしやすさを測定しました。地域の主要な移動手段を踏まえ、道路を使って移動する場合の所要時間を算出しました。

Google EarthとOpenStreetMapから道路網を作成し、道路ごとに移動速度を設定しました。次に、患者が任意の場所から最寄りの病院まで移動するのにかかる時間を、100メートル四方の区画ごとに算出するモデルを開発しました。

特に、陣痛中に病院でのケアを必要とする女性がかなりの割合に上るため、最寄りの病院までの所要時間も別途算出しました。

結果によると、全人口の3分の1未満(29%)と出産年齢の女性の28%が、最寄りの病院から2時間を超える場所に住んでいました。2時間という基準は、緊急産科医療と外科医療へのアクセスをそれぞれ定義する際に、WHOとランセット世界外科委員会が広く用いる推奨基準です。さらに、ランセット世界外科委員会の国際ベンチマークは、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジを確保するうえで、任意の人口集団の80%が2時間以内にアクセスできることが極めて重要だとしています。

最も意外な結果は、国ごとの差が非常に大きかったことです。例えば南スーダンでは、人口の75%を超える人々が2時間の基準範囲外に住んでいました。医療サービスが十分に行き届いていない他の国には、中央アフリカ共和国、チャド、エリトリアがあり、いずれも人口の半数以上が2時間の基準範囲外に住んでいました。

最もアクセスが良好だったのは、ザンジバル、コモロ、サントメ・プリンシペのような島嶼部が中心でした。これらの地域では人口の95%を超える人々が、病院から2時間以内の場所に住んでいました。ケニア、南アフリカ、ナイジェリアなどの大国でもアクセス指標は良好で、90%を超える人々が2時間圏内にいました。

調査対象の48か国はすべて、病院へのアクセスを含む、2030年までのユニバーサル・ヘルスケア実現という持続可能な開発目標に取り組んでいます。私たちの研究は、救急医療に関して各国が目標の実現に何をすべきかを判断する助けになります。まだ長い道のりがあります。調査対象国のうち、病院まで2時間以内のアクセスを人口の80%に確保できたのは、わずか16か国でした。

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