長時間エネルギー貯蔵がインドのネットゼロへの移行をどう後押しするか

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  • インドが2030年までに気候目標を達成するには、再生可能エネルギーの貯蔵容量を増やす必要がある。

  • 再生可能エネルギーを活用した長時間エネルギー貯蔵は、低コストで脱炭素化を実現する道筋となる。

  • インドは、エネルギー構造を転換することで、脱炭素化を主導する世界的な大国となる可能性を秘めている。

最近閉幕したCOP26の重要な成果の一つは、世界の主要排出国が温室効果ガス排出を抑制し、地球の気温上昇を抑えると約束したことだ。各国が掲げる脱炭素化の道筋は大胆で独創的であり、今後10年間で排出量の増加を反転させ、2035~70年の間にネットゼロを達成することを含んでいる。

脱炭素化に必要な取り組みには、石炭の使用を段階的に廃止し、再生可能エネルギーを導入することが含まれる。COP26の成果と、各国政府による、Race to Zeroの発表を受けた取り組みは、世界各地の企業や投資家によって強化され、気候変動対策を前進させている。

今後20年間の脱炭素化において、発電部門が重要な役割を担うことは広く認識されている。この部門は現在、世界の総排出量の3分の1を占める。しかし、他のエネルギー形態の電化が進むにつれ、発電部門の脱炭素化は不可欠となる。

例えば、モビリティ分野で石油やガス(およびその派生製品)が、電化、あるいは電解装置で製造したグリーン水素やメタノールに置き換わるにつれ、再生可能電力が主要なエネルギー源となる。グリーン水素の用途がエネルギーにとどまらず、グリーンメタノールやグリーンアンモニアなどのグリーン分子へ広がり、鉄鉱石の還元や原油精製などに使われる化石燃料由来の化学中間体に取って代わるにつれて、再生可能エネルギーの優位性は続くだろう。

長時間エネルギー貯蔵は、再生可能エネルギーの比率を高めることを可能にする

明るい兆しとして、再生可能エネルギー技術はこの10年間で効率と費用対効果を大きく向上させてきた。世界の電力業界は、化石燃料発電から風力・太陽光発電へ切り替えることで排出量を削減している。とりわけ、インドのような発展途上国は、従来型のエネルギー源を飛び越えて再生可能エネルギーへ移行している。

しかし、電源構成に占める再生可能エネルギーの比率が高まると、電力の需給調整、送電の流れの変化、システムの安定性低下など、新たな課題が生じる。長時間エネルギー貯蔵(LDES)は、電力システムや国の送電網の柔軟性を高め、こうした課題への対応に役立つ。柔軟で、計画的に運用でき、必要に応じて供給できる再生可能エネルギーを通じた発電部門の脱炭素化は、地球温暖化を1.5度に抑える道筋における重要な転換点となる。

世界では2030年までに4~8 TWh、2040年までには85~140 TWhのLDESが必要になると推定されている。こうした貯蔵容量の導入には3兆ドルの投資が必要となる可能性があり、それによって削減される排出量は CO2換算で23億トンとなる。

インドの太陽光・風力発電容量とその費用対効果は、世界でも最高水準にある。石炭と出力が安定しない再生可能エネルギーが大きな割合を占めるため、既存の硬直的な電力構造のもとで、再生可能電力の発電比率は上昇している。設備容量は約375 GW、ピーク需要は180 GWである。電力構造の硬直性は、とりわけ電力コストを押し上げ、製造拠点としてのインドの競争力を低下させる。

電力システムの柔軟性(エネルギーを貯蔵することで、需給の変動を吸収し管理する能力)を高め、利用者のコストを下げるには、インドが単独型のLDES設備容量を導入し、再生可能電力の24時間供給を可能にすることが不可欠だ。

エネルギー貯蔵には、機械、熱、電気化学、化学など、さまざまな方式がある。その中でも揚水発電(PHS)は、実績のある成熟技術で、費用対効果に優れている。送電網がある程度統合されていれば、多くの発展途上国に適している。インドでは過去10年間、送電網の強化と統合に大規模な投資が行われてきたが、PHSの地理的な制約を克服するには、さらにいくつかの対策が必要だ。

長時間エネルギー貯蔵のビジネス上のメリットは何か?

インドでPHSを用いて再生可能エネルギーを供給し、契約条件に基づいてピーク時とオフピーク時の双方の電力需要に応える事業性を最近試算したところ、システム安定化サービスの一部を収益化できない場合でも、内部収益率(IRR)は10~12%と魅力的になり得るとの結論に至った。試算されたIRRは資本コスト(インドでは実際のコストが想定額を下回る傾向にある)と商業運転開始日に左右される。

さらに、2030年までに再生可能エネルギー500 GWという目標を達成し、電力コストを引き下げるには、インドが2030年より十分前に30~50 GWの貯蔵容量を整備することが重要だ。再生可能エネルギーに連動した低コスト貯蔵を備える新たな柔軟な電力構造により、私たちの試算では、今後数年間で電力コストを20%引き下げられる。低コストの脱炭素電力が利用可能になれば、次のことが可能になる。

  • インドを、責任あるグローバル・サプライチェーンの拠点として位置づける。ネットゼロ目標を掲げるグローバル・サプライチェーンは、低コストかつ低炭素の電力などを理由に、インドを選ぶだろう。

  • インド国内外の産業や輸送に幅広く使われる、費用対効果の高いグリーン分子(水素、アンモニアなど)のインドでの製造を促進する。こうしたグリーン分子は、輸入品に代わってエネルギー自立を支えるだけでなく、ネットゼロの目標を掲げる多くのグローバル企業の脱炭素化を後押しする可能性がある。

インドは、エネルギー構造を単独型の再生可能電力から24時間供給可能な再生可能電力へ転換することで、深い脱炭素化を主導する世界的な大国となる可能性を秘めている。その実現を支えるのは、長時間の低コスト貯蔵と、24時間供給可能な再生可能電力を活用した費用対効果の高いグリーン分子だ。これは、インドの再興と再生を伴う成長への道筋となり得る。

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