インドでは第四次産業革命がすでに本格化しています。ただ、多くの人がまだそれに気づいていないだけです。起業家、CEO、企業創業者、スタートアップは、AI、モノのインターネット(IoT)、3Dプリンティング、高度なロボット工学、神経科学に関わる技術を急速に導入しています。静かに、そして揺るぎない決意をもって、インド産業界の先見性あるリーダーシップが、世界を席巻する進歩の流れに国を導いています。揚水ポンプ、鉄道車両、チャイ店から、ハンバーガーチェーン、通信タワー、倉庫まで、第四次産業革命の技術は、グローバル企業から国内企業、スタートアップに至るさまざまな事業に根付きつつあります。
以下の文章は、プランジャル・シャルマ著『Kranti Nation: India and The Fourth Industrial Revolution』から許可を得て抜粋したものです。Pan Macmillan India刊。
サンスクリット語で革命を意味する言葉は「クランティ」です。この言葉は主に、インドの英国による占領への闘いと結び付けられてきましたが、革命を草の根レベルで定義する言葉でもあります。
いま、インドで新たなクランティが起きています。インドにとって、このクランティはより大きな意味を持ちます。頭字語を作るなら、KRANTIは「インドにおける知識、研究、新技術(Knowledge, Research, and New Technology in India)」を表します。インド産業界は、こうした新技術を活用して成長する最善の方法に関する研究と知識に投資するよう促されています。
インドにとって、第四次産業革命は、開発の多くの段階を飛び越え、先進経済国となる歩みを速める大きな機会をもたらします。さまざまな意味で、第四次産業革命は格差を縮める力となります。インドで使われる技術は、先進国で使われているものと同じです。ロボット、AI、IoTはいずれも欧米の産業を変革している技術であり、インドでも同様の変革をもたらす準備が整っています。

企業は、革命を構成するさまざまな要素を多様な方法で導入しています。慎重に進める企業もあれば、着実に取り組む企業もあります。多くの企業が試験的なプロジェクトを開始する一方、事業機能の一部を全面的にAI主導のプロセスへ移行した企業も少なくありません。導入を決めず、様子を見ている企業も数多くあります。なかには、衝撃を受けて動けなくなった企業もあります。どこから始めればよいのか、周囲にある技術の導入をどう始めればよいのか分からないのです。
インドには、懸念すべきことも多くあります。自動化に過度に依存すれば、雇用の創出は減少します。産業製造における自動化やロボット工学は、生産年齢人口の少ない国には適しています。しかし、毎年1,200万~1,300万人が労働市場に参入するインドのような国には適していません。
インドでは、自動化やロボット工学による雇用喪失への不安が当然ながらあります。反復作業はますます自動化されています。インドの銀行はすでにチャットボットや人型ロボットまで導入しています。ベンガルールのカナラ銀行にいるカンナダ語を話すロボットは、適切な窓口を案内します。HDFC銀行には「イラ」というロボットがあり、顧客が適切なサービスや金融商品を選ぶのを支援します。もちろん、これらのロボットが行う作業は基本的なものです。ある意味では、よくある質問(FAQ)への回答を提供しているにすぎません。

しかし、ロボットがより高度になるにつれ、仕事の場で人間に取って代わることが増えていくでしょう。
自動化や市場の統合などを要因とする雇用喪失について、いくつもの予測があります。PeopleStrongの報告書によると、インドで失われる雇用の4分の1は自動化によるものです。
さまざまな意味で、インド企業はこうした技術を導入することで生き残りを図っています。導入がより速く、より効果的な企業は、他社より競争力を高め、グローバル企業の参入に対抗するうえでも確実に有利な立場に立てます。その生き残りには雇用が犠牲になります。しかし、従業員のリスキリングや新たな機会の創出によって、こうした影響に対処できます。
データ分析の活用により、これまで効率化されていなかった農業などの分野で効率性が高まっています。たとえばカーギル・インディアは、モバイル端末を通じた価格データを活用し、何千人もの取引業者がシステムに参加できるようにしています。農場から食卓までのバリューチェーン全体は、正式な技能を持たなくても、自らの知識をモバイル通信を通じて共有する意欲のある何十万人もの人々に生計の手段を提供できます。
モバイル分析企業App Annieの報告書によると、インドはすでにアプリ経済の規模で世界第4位です。2017年6月にナレンドラ・モディ首相と会談した際、AppleのCEOティム・クックは、アプリがインドで雇用を創出したと述べました。クックによると、インドではAppleのiOSプラットフォーム上のアプリによって75万件を超える雇用が生まれています。インドの開発者は10万本のアプリを制作し、2016年比で57%増となりました。
新たな産業分野が生まれつつあります。これらの分野には、何百万人もの雇用を生み出す可能性があります。インドではすでに、ドローンの製造と利用促進に取り組む業界団体が設立されています。
インドには協働が必要です。専門家を訓練し、教育する長期的なエコシステムを構築しなければなりません。インドは米国、ドイツ、EUと協力できます。中央政府は、第四次産業革命の技術を最大限に活用するためのミッションを設けるべく、省庁、州政府、業界団体が参加する共同プラットフォームを検討できます。

