インドの製造業者は日本語の「木漏れ日」という概念を学ぶべきだ

People walk through a forest during sunny autumn day on Mount Uetliberg in Zurich October 2, 2011.REUTERS/Arnd Wiegmann (SWITZERLAND - Tags: ENVIRONMENT) - BM2E7A2148201
How can the Fourth Industrial Revolution shed light on manufacturing processes?Image: REUTERS/Arnd Wiegmann
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世界中がインドに注目している。Ikea、GE、Apple、Panasonicといった大手企業がインドでの製造に投資するなか、自由化後のインドの可能性がますます明らかになっている。Make in Indiaなどのプログラムの開始は、インドが2020年末までに世界第5位の製造大国になり得るという確信を強めるばかりだった。政府はまた、GDPに占める製造業の割合を2022年までに25%へ引き上げることを目指している。

しかし、この持続的な成長を実現するのは複雑な課題だ。インドの製造業を取り巻く環境は、まさに複雑そのものだからである。表面を少し見るだけでも、その多様性と数々の矛盾が浮かび上がる。製造手法の混在、グリーンフィールドとブラウンフィールドのプロジェクトの併存、賃上げ圧力に苦しむ低コスト製造クラスター、そして大きな生産性格差に制約されながらも、13億人が持つ可能性がもたらす魅力だ。さらに深部に目を向けると、いっそう把握しがたい実態がある。

サプライチェーンを動かす見えざる手

外部要因のなかには、予測が難しいように見えるものもあり、インドの製造業のサプライチェーンに影響を及ぼしている。市場の大きな変動、需要パターンの変化、インフラや輸送のボトルネック、売上税や物品税を最適化するサプライチェーン網を構築できないことが、その効率を損なっている。

こうした阻害要因の影響を抑えようとする製造業者は、バリューチェーン全体で原材料と完成品の在庫を増やさざるを得ない。もう一つの望ましくない結果が「月末偏重」だ。製造業者は生産量を均等に調整できるサプライチェーンの効率性を欠くため、売上目標を達成しようと、完成品の大部分を月の後半に市場へ送り出すことが多い。その結果、サプライヤー側から工場の工程、さらに販売店やその在庫に至るまで、流通在庫が大幅に増え、不要なコストが積み上がる。

製造の現場は依然としてブラックボックス

インドには2種類の工場がある。1つ目は、海外に親会社を持つ大手企業が設立した、成熟し自動化された工場だ。そのため、インドの工場でも同じひな型が使われ、工程やシステムはある程度成熟している。

2つ目は、より数の多い別の企業群の工場を指す。こうした企業は一から成長してきたため、今も複数のレガシーシステムに対処しなければならない。製品ライフサイクル管理システムや製造実行システムは、標準化されていないものが多く、予測も難しい。製造工程のあらゆる側面を可視化し、製造手順に使われる部品や原材料のすべてを追跡可能にし、工程に関わるすべての機械の状態を把握する変革が必要だ。そうすれば、製造される製品の品質に働きかけることができる。大半がアナログの世界であり、インターネット接続さえ不安定な場合がある。

コルカタ郊外の工場で、鉄部品の製造工程に従事する作業員Image: REUTERS/Rupak De Chowdhuri

人々が学べる環境が必要だ

インドには生産年齢人口が多いものの、必要な人数の熟練労働者を確保するのは依然として至難の業だ。企業はしばしば、従業員の再訓練に不釣り合いなほどの費用をかけることになる。

製造業者が新たな複雑な製品を製造したり、既存製品の品質を向上させたりするには、労働者が新しい技能を習得しなければならない。こうした企業の管理職も、これまでできなかった技術の活用や工程管理を学ぶ必要がある。競争力を保つために、人々はできるだけ速く学ばなければならない。そのため、政策立案者や実施者も、このプロセスを後押しする環境を整える方法を学ぶ必要がある。

「木漏れ日」が生まれるのは、物理とサイバーが交わるとき

木漏れ日とは、太陽の光が木々の間を通り抜け、光と葉が美しく織りなすなかで、深い暗がりに明るさをもたらす様子を表す日本語だ。第4次産業革命がインドの製造業にもたらし得る影響は、まさにこれに当たる。

サイバーシステムが物理システムを通して光を届け、全体像をより見えやすくする。その相互作用のなかで製造業が営まれるようになれば、サプライチェーンの透明性が高まり、製造工程や工場の可視性も向上する(その結果、全体を調整しやすくなる)。同時に、人々の生産性が高まり、仕事の目的も明確になる。

センサー技術、産業分野でのモノのインターネット(IoT)の活用、データ分析を通じて物理的な工程をデジタルで監視すれば、事実に基づく意思決定が可能になる。そして、その決定は自動機械によって日常的に実行されるようになる。人々はこうしたシステムの監視や管理を担えるよう訓練され、役割を再編できる。また、新たに得た生産性を、新たな種類の問題を解決するための製品を構想するなど、人間の知性でしか実行できない仕事に振り向けられる。

インド人である私たちにとって、この道筋はまったくなじみのないものではない。システムインテグレーターはすでに、IoT、ソフトウェア、デジタル化に幅広く取り組んでいる。数学の才能と分析力は、世界的にも認められている。私たちは以前にもこれを実践してきた。実際、組織が第4次産業革命への準備状況を体系的に評価できる成熟度評価指標をAcatechが作成した際、私たちは緊密に協力した。この指標は、資源、情報システム、組織構造、組織文化の観点から、コンピューター化、コネクティビティ、可視化、透明性、予測可能性、適応性という相互に結びついた6段階の成熟度に照らして評価するものだ。

私たちは今、学んだことを製造業に生かし、適切なインフラに適切な投資を速やかに行わなければならない。そうすれば、安全ピンから超音速ジェット機まで、インドが生み出すあらゆるものに第4次産業革命の恩恵をもたらせるだろう。

考えてみれば、「木漏れ日」を正確に訳せる英語はない。しかし私の考えでは、さまざまな意味で第4次産業革命がそれに近い。とても近い。

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