インド各地で樹木救急サービスが始まり、病気の植物をよみがえらせています。
植物学者、園芸家、樹木医が運営し、無料でサービスを提供しています。
この活動は、「都市ヒートアイランド」を緩和し、インドの都市の気温を下げるのに役立っています。
こうした樹木救急車は、生物多様性の保全にも貢献しています。
救急車が街中を疾走しますが、青色灯もサイレンもありません。医療器具の代わりに、園芸用具や肥料、はしごを積んでいます。
これは、損傷した植物や病気の植物を救助するボランティアチームが運営する、改造電動リキシャの樹木救急車だからです。インド各地で活躍する数多くの車両の一つです。
同国では初の樹木救急車がチェンナイに設置されました。「インドのグリーンマン」と呼ばれるアブドゥル・ガニ博士によるもので、樹木の応急処置を行い、状態の悪い木を手当てし、根こそぎ倒れた木を植え直しました。
ガニ氏は、樹木救急車が全国に広がることを望んでいましたが、今まさに実現しつつあるようです。チェンナイから2,600キロ(1,600マイル)以上離れたインド北部の都市アムリトサルでは、3台の樹木救急車が運行しています。生物多様性の向上と大気中の炭素削減に取り組んでいます。
根付き始めた樹木救急車の構想
植物学者、森林の専門家、園芸家、ボランティア、樹木医が乗務するアムリトサルの救急車は、弱った樹木や植物の救助を求めてヘルプラインに電話した人々に無料でサービスを提供していると、英国紙ガーディアンは報じています。
「私たちの命が危険にさらされたとき、病院へ搬送してくれる救急車があります。では、地球の存続に欠かせない植物はどうでしょうか」と、公務員のロヒト・メーラ氏はガーディアン紙に語りました。
もう一つ、よく知られた樹木救急サービスがジャイプールで運営されています。木材商のスシル・アガルワル氏は、救急車の活動地域をインドで最も緑豊かで清潔な場所にすることが夢だと、インド紙エコノミック・タイムズに語りました。「私たちは登録団体ですが、この活動のために政府から資金を受け取ったことはありません。活動は、環境を守るために働く意欲のある人々のネットワークへと成長しました」と同氏は述べています。
樹木の喪失がヒートアイランドを生む
樹木救急隊が環境を守る方法の一つは、都市ヒートアイランドの問題に取り組むことです。都市の建設に伴って樹木が失われると、人や場所を涼しく保つ日陰や水分が減り、ヒートアイランドが発生します。
米国環境保護庁(EPA)によると、ヒートアイランドはエネルギーコスト、温室効果ガスの排出、暑さに関連する疾病や死亡を増加させるほか、水質の悪化にもつながる可能性があります。
しかし、樹木やその他の植物は地表や大気の温度を下げ、こうした影響を抑えることができます。日陰をつくるほか、蒸発散と呼ばれるプロセスを通じて水分が大気中へ移動するのを助けます。蒸発散とは、地面や植物の葉から水が蒸発することを合わせたものです。
EPAによると、樹木やその他の植生は、「建物の周囲の戦略的な場所」に植えたときに、最も効果的に気温を下げます。また、舗装道路、駐車場、街路に日陰をつくるために活用することもできます。
都市ヒートアイランドへの対策に加え、樹木の救助は、森林伐採や劣化が進んだ土地2,100万ヘクタールを回復するというインドの公約にも貢献します。また、森林や樹木被覆を増やすことで、CO2換算で25億~30億トンを吸収する目標にも寄与します。
スーパーサイクロン被害の復旧における樹木救急サービスの役割
こうした目標は、2030年までに1兆本の樹木を保全、回復、育成する1t.orgのミッションによっても支援されています。これは、国連生態系回復の10年を支援するため、自然を活用した解決策を加速させる世界経済フォーラムの取り組みの一環です。
樹木救急サービスが始まったベンガルでは、スーパーサイクロンで根こそぎ倒された木の一部を植え直します。これらのサイクロンは2020年と2021年に州内で甚大な被害をもたらしました。サービスでは、応急処置や種子バンクの提供、樹木調査、枯れ木の撤去も行います。
昨年9月、UpLinkと1t.orgは「インド1兆本の樹木チャレンジ」を開始しました。この取り組みでは、13のイノベーターと連携し、この分野での影響を拡大します。
一方、生態系の緊急サービスはインド各地に急速に広がり、ブンデルカンドやプドゥチェリーでもサービスが始まっています。いずれ世界中に支部ができるかもしれません。
世界経済フォーラムは自然環境のためにどのような取り組みを行っていますか?
自然・気候センターは、気候、自然、経済発展の相互関係をリーダーたちが理解できるよう支援します。地球の限界の範囲内でレジリエンスと繁栄を支える道筋を探るためのプラットフォームを提供しています。
分野や地域を越えた協力を可能にすることで、同センターはパートナーが共通の理解を実践的な気候・自然ソリューションへとつなげる支援をしています。



