結核(TB)は現在、HIVとマラリアを合わせたよりも多くの人々の命を奪っている。
2015年には、推定で世界で結核の新規患者が1,040万人、結核による死者が180万人に上ったと、世界保健機関は報告している。そしてインドは、この世界的な感染拡大の震源地にあり、結核による年間死者数は50万人に上る。インドはまた、多剤耐性結核の推定新規患者48万人のうち16%を占める。
インドは状況を好転させ、この感染拡大を抑えられるだろうか。
答えは、条件付きで「はい」だ。インド政府はすでに、対策として過去数年間にいくつもの措置を講じてきた。これには、結核を届出義務のある疾病に指定したこと、「インド結核診療基準」を策定したこと、毎日の服薬レジメンを導入したこと、分子検査や薬剤感受性検査を普及させたことが含まれる。
しかし、より多くのことを、より良い形で実行する機会があり、インドが世界をリードする役割を担う機会もある。
インドは野心を予算で裏付けなければならない
今年初め、インド改訂版国家結核対策プログラムは、新たな「結核撲滅国家戦略計画(NSP)2017~2025年」の草案を公表した。NSPに十分な資金が配分され、適切に実施されれば、インドの結核対策を大きく変える可能性がある。
この計画は、公的医療制度の下にいる150万人の患者へのサービスと治療成果を改善し、新たな診断法や医薬品へのアクセスを拡大することを目指す。また、民間医療提供者に働きかけ、民間部門で治療を受ける何百万人もの患者を支援するための大胆なロードマップも示している。
有望な試験的取り組みの成果を踏まえ、NSPは、診断と治療に関する標準的な手順の順守や、症例の政府への届出に対して、医療提供者にインセンティブを支給することを提案している。政府に紹介された患者には、治療に伴う直接的・間接的な費用を補い、治療を完了する動機付けとするため、現金給付が行われる。
新たなNSPの実施費用は、最初の3年間で25億米ドルと見積もられており、現在の予算を大幅に上回る。これまで、費用対効果が非常に高いプログラムであり、資金を活用する能力も高いにもかかわらず、RNTCPは十分な資金を得ることに苦慮してきた。その額は、インドの感染拡大の規模に見合うものではなかった。
この状況を続けることはできない。インドは、野心をルピーで裏付け始めなければならない。したがって、保健省の大胆な計画が実行できるかどうかを測る真の試金石は、居住地にかかわらず、すべての結核患者を発見し、治療し、質の高いケアを提供するために十分な資源を動員できるかどうかだ。
保健支出の拡大は喫緊の課題
結核はインドの人々を苦しめる多くの疾病の一つにすぎない。188カ国の健康関連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成状況を扱った最近の報告書が示すように、インドは主要な保健指標のいくつかで明らかに遅れをとっている。この分析は、「世界疾病負担研究2016」に基づくもので、1990年から2016年までの健康関連指標37項目を測定した。
この分析でインドは非常に低い成績となり、188カ国中127位だった。実際、他のBRICS諸国(ブラジル、ロシア、中国、南アフリカ)はすべてインドを上回った。
この分析は、インドの経済的進歩が国民の健康に反映されていないことを明確に示している。今年承認されたインドの国家保健政策は、政府の保健支出を現在のGDP比1.15%から、2025年までに2.5%へ引き上げることを提案している。
この増額を確実に実現することは、インドにとって喫緊の優先課題であり、国民皆保険に向けて前進するために不可欠な条件でもある。
卓越した伝統
インドが結核対策に活用できる強みはあるだろうか。
インドは世界の保健分野に目覚ましい貢献をしてきた。インドでは5年以上にわたりポリオが発生しておらず、この成功が世界のポリオ撲滅に向けた取り組みを後押ししてきた。インドのバイオテクノロジー企業と製薬メーカーは、結核とHIVの治療薬の生産を主導し、世界市場の80%超を占めている。
最近、ロタウイルスワクチンがインドで生産され、発売されたことは、小児予防接種における同国の主導的な役割を裏付けた。インドには、活用できるIT・ソフトウェア分野の大きな強みもある。また、結核研究で長年にわたり卓越した実績を積み重ねており、その象徴がインド結核研究コンソーシアムの設立だ。
結核に関する強力な研究力に加え、技術力と製薬能力を備えるインドには、この疾病への対策で大きく前進する可能性がある。
不可欠なのは、結核の感染拡大を終わらせるためのナレンドラ・モディ首相による強力な財政的・政治的な関与と、保健分野への投資全体の拡大だ。インドが保健を優先課題とすれば、結核は自然に減少し、現在、健康関連SDGsでインドの順位を大きく下げている他の多くの疾病も減っていくだろう。


