インドのオンライン消費者をめぐる競争に勝つには

A garland made of Indian currency notes is pictured in a shop at a market in Jammu, India, November 13, 2016. REUTERS/Mukesh Gupta - S1BEUMPEDEAA
Online shopping is still in its infancy in India, but this is set to change in the next few years.Image: REUTERS/Mukesh Gupta
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デジタルイノベーションは世界中の買い物を変革し、今や電子商取引は消費財を購入するための世界で最も急成長しているチャネルとなっています。この新たな消費環境が進化するなか、バリューチェーンの各段階にいるさまざまな企業が、買い物客との最も密接な関係を築こうと競い合っています。

先進国市場では歴史的に、消費財メーカーと買い物客の間に強い結びつきがありました。店頭の棚は、最終消費者に直接販売促進されるブランド商品が占めてきました。しかし、プライベートブランドや低価格を売りにするディスカウント店の拡大に伴い、この重要な関係は小売業者側へと傾きました。この傾向はデジタル化の進展でさらに加速しています。今では、資金力のある新興テクノロジー企業やオンライン小売業者が、買い物客が価格、仕様、顧客レビューを比較できる便利なデジタルチャネルを提供しています。その結果、メーカーよりも小売業者の影響力が大幅に強まる可能性があります。

しかし、組織化された小売業の基盤がはるかに弱いインドのような新興市場では、状況が大きく異なります。インドのメーカーはこれまで、小売業者が消費者と築くデジタル上の関係にそれほど左右されてきませんでした。しかし、同国で消費支出とデジタル商取引の両方が急速に拡大し、この力関係は急速に変化しています。世界のCEOは、進化するインドの小売市場から何を学べるでしょうか。

デジタル化が世界のFMCG業界を揺るがす

デジタル技術が世界市場における消費者需要と競争力学の双方を形作っていることが分かっています。大規模で強力なテクノロジー企業は、Amazon Fresh、Google Shopping Express、FreshDirect、Instacartのような、既存の枠組みを揺るがすデジタル食料品事業を構築しています。こうした先行企業は、後から覆すのが難しい地位を確立する可能性があります。

日用消費財(FMCG)企業は、新興市場から得られる知見を活用し、今すぐ行動する必要があります。経営トップからデジタル化に取り組み、新たな能力を築かなければなりません。そのためには、難しい選択や投資の優先順位付けが必要になるでしょう。

インドの消費者市場:最終消費者をめぐる戦場

世界第7位の経済大国であるインドでは、消費支出もデジタル化も急速に拡大しています。これはメーカーにとって、最終消費者との関係を築く一生に一度の機会となる可能性があります。

消費者市場の急成長とともに、データが急増し、国内ではモバイル利用が飛躍的に拡大しています。この好機に、組織化された小売業の浸透率が低いことも加わり、デジタル能力を迅速に高めて消費者需要を直接取り込める消費財企業には大きな影響がもたらされる可能性があります。メーカーが迅速に行動しなければ、急成長するデジタルチャネルで、利益率、市場シェア、ブランド価値を管理できなくなるおそれがあります。

幸い、FMCGや食料品の買い物におけるデジタル化の急拡大に備えて、どの企業でも実行できる低リスクの施策もあります。

  • 自社がデジタル分野にどこまで事業を広げるべきかを判断し、統合戦略を策定する。

  • デジタルでの存在感を確立するため、投資の配分を見直す。

  • デジタル時代に対応する社内能力を構築する。

  • チャネルパートナーとともにデジタル化の進展を形作る。

インドにおけるデジタルの機会

インド市場は変化の節目を迎えています。現在、FMCGの購買の90%超は地域の小規模食料品店を通じて行われ、販売の66%はノーブランド商品です。しかし、デジタルをめぐる勢力図はまもなく変わろうとしています。2020年までに、インドのインターネット利用者は約6億5,000万人に達し、毎週平均2時間をオンラインで過ごす見込みです。また、FMCG支出の約3分の1がデジタルの影響を受けると予想されています。

インドの電子商取引はまだ初期段階にあり、AmazonやFlipkartなどのオンライン小売業者を通じて、ファッション、電子機器、白物家電といった限られた商品分野で展開されています。今後、大きな成長機会が広がっています。2020年までに1億5,000万~1億9,000万人の消費者がデジタルの影響を受け、購入前、購入時、購入後の活動にインターネットを利用する可能性があると予想されています。広大な距離と悪名高い道路の穴がある国では、「玄関先までの配達」は非常に望ましい利便性です。労働賃金が低いため、配達の提供コストも高くありません。

しかし、広大で複雑かつ変化の激しいこの市場で、消費財企業が顧客との関係を維持するには、顧客ごとのニーズや行動の違いを把握する必要があります。

世界のFMCG企業が学ぶべきこと

従来、FMCG企業の販売先は小売業者まででした。しかし、モバイルとデータの進歩により、顧客に直接リーチする機会はかつてないほど広がっています。CEOはこの機会を認識し、最大限に活用すべきです。デジタル時代の競争に勝つため、インド市場から学べる教訓を3つ紹介します。

顧客との関係を再構築する

消費財企業は顧客を細分化した小規模セグメントに分け、充実した個別最適化オンラインコンテンツを通じてアプローチし、デジタルの影響力を高める必要があります。組織化された小売チャネルがないなか、インドの一部のFMCG企業は、自社ウェブサイトやソーシャルメディアのコンテンツを通じて、ブランドに特化した充実したオンライン展開を実現してきました。これにより、オンラインのトラフィックを分析して消費者の行動を細かなレベルで理解し、より効果的にアプローチできるほか、細分化された自社のデジタル消費者のニーズに合わせて提供内容を調整できます。世界のFMCG企業もこの方法を取り入れ、消費者との直接的な結びつきを築けるでしょう。

購買経路に沿ってデジタルチャネルを整備すれば、世界のFMCG企業は顧客との深い関係を構築できます。インドではすでに、行動ターゲティング向けのパーソナライズされたコンテンツを取り入れた、高度なデジタル展開への投資が進んでいます。成熟度がさらに高い企業は、広告枠を購入するのではなく、特定のデジタルオーディエンスを引きつけることを目指すべきです。同様の能力を築こうとする世界の消費財企業は、オンライン小売業者と連携し、購買経路全体にわたって充実したデジタル展開を実現することもできます。

高度な分析も、顧客理解を深めるうえで大いに役立ちます。インドでは、顧客行動を把握する方法が、単に市場調査を委託する段階から、位置情報やウェブトラフィックなどの取引データや暗黙的データ、さらにソーシャルメディア上の会話やコールセンターでのやり取りなどの非構造化データを分析する段階へと進化しています。成熟したインド企業は、デジタルチャネルから得られる豊富なデータを活用し、顧客行動への理解を深めています。先進国の企業は、販売商品の位置を非常に細かな精度で把握する高度な地理空間データを活用し、この機会をさらに生かせるはずです。

収益性の高い電子商取引事業の計画を立てる

世界の企業は自社に最適な電子商取引の形態を選び、投資水準を定めるべきです。インド市場でどの経路を選ぶか(たとえばブランド独自のサイトか、オンライン小売か)を検討するFMCG企業は、先進国における組織化された小売の電子商取引の経験から学べます。そこでは、組織化された小売チャネル全体を共同で構築する機会があります。先進地域では電子商取引チャネルが比較的確立されていますが、オンライン専業企業の成長がこの分野を変革しており、企業は市場投入の経済性を再評価する必要があります。

また、インドで用いられている差別化された品ぞろえの手法が、先進地域でも有効かどうかを評価すべきです。たとえば、ある大手美容ブランドがYouTubeの美容ブロガーと協力してオンライン専売商品に投資したところ、その商品は大きな売上を記録しました。

デジタル時代に向けて従来の能力を再構築する

商品を販売するうえでは、視認性と陳列位置が重要です。世界の企業はデジタル上のブランドストアに投資し、商品を上位に表示させるべきです。サイト内の移動については、関連性を保てるようカテゴリーを横断して商品掲載情報を管理し、順位向上につながる顧客レビューを取り入れ、検索しやすくするタグを活用する必要があります。「手に取って確かめる」感覚を高める仮想体験に投資し、単なる技術情報や機能情報にとどまらず、ブランドとのつながりを生む豊かなマルチメディア体験を提供する必要があります。これは実店舗と同様に、デジタル市場でも重要です。先進国市場の小売業者は陳列、サイト内の移動、商品に関する能力を向上させており、FMCG企業は交渉を通じて表示順位に影響を与えることができます。

企業は、オムニチャネル小売業者に対応できるよう、サプライチェーン管理のプロセスも慎重に見直す必要があります。新規参入企業は、SKU(在庫管理単位)ごとに在庫を分け、動きの遅い商品は中央倉庫に、動きの速い商品は電子商取引パートナーのもとに配置する必要があります。

人材の育成とデジタル対応も重要です。インドのFMCG企業の大半は、市場の変化に対応するために部分的な変更を重ねてきたため、時間の経過とともに業務の進め方が複雑になっています。企業はデジタル成長に向けて、賢明で簡潔なアプローチを採用し、新たな能力を築くとともに既存の組織構造を簡素化する必要があります。世界各地で、デジタル能力を持つ人材プールを活用し、その恩恵を得ることも検討できます。

検討すべき点は多いものの、インドのFMCG企業は他の地域のデジタル先駆者から学べるという利点があります。この市場は広大で複雑、かつ進化を続けており、課題と機会の両方がありますが、得られる可能性のある成果は大きいものです。

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