インフラ整備の一連のプロセスには、多くの複雑な段階が含まれます。詳細な計画策定、プロジェクトの特定、資金調達に向けた準備、資金調達、建設、そして施設そのものの運営・維持管理に至るまでです。成功を確実にするには、各段階で慎重な検討と効果的な実行能力が求められます。
アフリカではインフラ不足が深刻で、その解消が急務であることから、インフラ整備に際して、すべてがうまくいくという楽観的なアプローチを取ることがよくあります。アフリカのインフラ事業は失敗が許されないほど重要だという前提に立つ考え方です。そのため関係者は、複雑な課題について大枠で合意を求める一方、実施期限が近づくと意見の相違に直面します。
関係者がより現実に即したアプローチを採用し、各段階で起こり得る問題をすべて特定したうえで、それぞれの課題に対して強靱なリスク軽減策を講じれば、アフリカのインフラ整備はより円滑に進むでしょう。そのためには、プロジェクトの開始前に、事業上の要因や信用面、必要となる政治・規制上の決定、そしてプロジェクトに影響を及ぼし得るマクロ経済その他の要因について、すべての関係者の合意を得る必要があります。こうした合意の形成には時間がかかり、率直で難しい議論が必要となることは承知されています。それでも、実施中に生じる意見の相違を理由にプロジェクトを完了できなくなるより、まずこれらの課題について合意しておくほうが望ましいのです。
インフラ整備に現実に即したアプローチを採用するには、インフラ事業の各段階で生じる複雑な課題を管理する能力が、すべての関係者に備わっていることが前提となります。アフリカの各国政府は、インフラ事業を効率的かつ効果的に実施するため、バリューチェーン全体を通じてプロジェクト管理を担う中央組織に、必要な技能を確保することが有益です。

アフリカでは、インフラ整備に現実に即したアプローチを採用し始めています。たとえば、南アフリカの再生可能エネルギー独立発電事業者調達プログラム(REIPPP)は、必要なエネルギーインフラを整備するため、公共部門と民間部門のさまざまな関係者を調整の取れた効率的な形で結集した好例です。
エネルギー省(DOE)と南部アフリカ開発銀行(DBSA)は、独立系発電事業者からエネルギーを調達できる環境を整えるため、構想段階から協力し、実現を可能にする強靱な枠組みを構築しました。その結果、4年足らずで、承認済みの79件のプロジェクトから、すでに合計4,322MW分を調達しました。これらのプロジェクトは、すべての再生可能エネルギー入札枠を通じて合計5,243MWを供給する予定です。これは南アフリカの経済インフラへの1,680億ランドの大規模な投資に相当し、経済成長、雇用創出、電力供給の安定に寄与しています。
インフラ整備の必要性と費用が非常に大きい状況では、持続可能なインフラ整備を成功させるうえで、民間部門の関与が不可欠です。その点で、双方に利益をもたらす官民パートナーシップ(PPP)は重要な役割を果たします。好例がジンバブエのプムントリー―ムタレ道路です。この道路は、特別目的事業体のInfralink Ptyが運営しています。同社は建設会社Group 5とジンバブエ道路庁が共同所有し、債務返済に充てる料金収入を他の資金と分離して確保する仕組みを基に、南アフリカの輸出信用保険機関が支援しています。この道路は、交通網の接続と貿易を促進し、ジンバブエの人々の暮らしに大きな変化をもたらしました。
最後に、ザンビア政府は道路開発庁(RDA)と国家道路基金庁(NRFA)を通じて、優先順位を定めた地方道路インフラの改修を加速させています。この道路改修プログラムは、既存の経済活動地域への国内アクセスを改善し、ザンビアを南部アフリカ開発共同体(SADC)の開発回廊に接続することを目指しています。これにより、地域市場が開拓される見込みです。
資金調達対象として提案する優先道路を決めるにあたり、ザンビア政府はRDAを通じて経験豊富なコンサルタントを起用し、道路の経済的収益率を確かめる実現可能性調査を実施しました。この調査は政府、アフリカ経済開発アラブ銀行、デンマーク政府が共同で資金を拠出しました。調査によると、3本の道路は、ケープタウンからコンゴ民主共和国(DRC)のカタンガ州を経てキンシャサへ向かう大陸横断道路(TAH)計画のルートの一部を構成していました。これらの道路は、ザンビアの西部回廊の一部として連結し、新たな西部カッパーベルト地域をDRC、ナミビア、アンゴラ、ボツワナと結びます。そのため、西部回廊の改修は、SADC地域のより広範な回廊ネットワーク計画に組み込まれ、国際的な資金提供パートナー間の幅広い協力にもつながります。
ザンビア政府はこのプロジェクトにおいて、国家プロジェクトを選定する基盤として、地域統合を適切に重視しました。さらに、民間部門の専門知識を活用し、必要なプロジェクト準備の手順と原則に従いました。その結果、改修に必要な資金を国際的な融資機関から得やすくなりました。
これらの事例はいずれも、インフラ整備に現実に即したアプローチを取っています。したがって、アフリカのインフラ不足の解消に取り組む他のアフリカ諸国政府や関係者にとって、優れた教訓となります。
報告書「アフリカ戦略的インフラ・イニシアチブ」は、 こちらから入手できます。
世界経済フォーラム・アフリカ2015 は、6月3日から5日まで南アフリカのケープタウンで開催されます。
著者:Moe Shaik、南部アフリカ開発銀行 国際部門CEO、南アフリカ
画像:2012年5月18日、アビジャンのココディ・ゴルフ地区にあるアビジャン第3橋の建設現場で作業する労働者。ロイター/Thierry Gouegnon


