世界の平和度は2008年以降2.5%低下している。
平和の後退による経済的影響は14.5兆ドルに上る。
パンデミックは今後の社会不安の波を引き起こす可能性がある。
世界では、最も平和な国と最も平和でない国の差が広がっている。これは、世界平和度指数(GPI)2020によるものである。同指数は2008年から暴力と社会不安を測定している。
経済平和研究所が作成したこの指数は、測定項目を大きく3つの分野に分けている。すなわち、社会の安全・安心、継続中の国内および国際紛争、そして軍事化である。暴力の有無、暴力への恐怖、そして社会不安を測定する。
今年は、COVID-19コロナウイルスのパンデミックが世界の平和度に与えた影響の可能性についても検討している。
主な調査結果
世界平和度指数が初めて発表されて以来、世界の平和度は2.5%低下している。指数の作成に使用された23の指標のうち、15の指標では2020年の成績が2008年よりも悪化している。平和度が高まった国と低下した国はほぼ同数であるが、低下の幅は改善の幅よりも大きい。
この10年間で社会不安が増大したことが、同指数で明らかになった。2019年には96を超える国々で少なくとも1件の暴力的なデモが発生した。同様に、暴動は282%、ゼネストは821%増加した。
同指数では、5年ぶりに軍事費の増加が確認されたものの、軍事化の測定項目では全体的な改善が認められた。全体の半数以上の国が(人口比で)軍事力の規模を縮小しており、核兵器の保有量も減少している。
世界で最も平和な20か国のうち13か国はヨーロッパにあり、同指数では、ヨーロッパは一貫して世界で最も平和な地域とされている。
北欧5か国(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)はすべてトップ20入りしており、アイスランドは、世界平和度指数の初回発表以来維持してきた首位の座を守っている。
ヨーロッパ全体の状況は良好に見えるものの、同地域は依然として課題に直面している。2011年から2018年の間に、抗議活動、暴動、ストライキは他のどの地域よりも多く、その数は約1,600件に上る。ただし、その約3分の2は非暴力的なものであった。
一方、アフガニスタンは世界で最も平和でない国である。また、過去6年間で最も平和でない地域は中東・北アフリカ(MENA)である。同地域は、世界平和度指数の23の指標のうち19の指標で世界平均よりも平和度が低いが、一部の分野では改善の兆しを見せている。
同地域では国内紛争による死者数が減少を続けており、武器の輸出入も減少している。平和度の低下の大部分は少数の国によるものである。シリア、イエメン、リビアは依然として紛争に深く苦しめられている。
平和の後退による経済的影響
世界の平和度の低下によって生じる負傷、不正義、人命の損失に加え、経済的な損失も発生している。
世界平和度指数は、2019年における平和の後退による経済的影響を購買力平価(PPP)ベースで14.5兆ドルと評価している。これは世界の国内総生産(GDP)のおよそ10.6%に相当する。紛争が絶えず、内戦によって引き裂かれたシリアは、昨年、暴力によってGDPの60%に相当する額を失った。
全体として、暴力による世界経済への影響は2018年から2019年にかけてわずかに改善した。テロリズムと武力紛争による経済的影響は、それぞれ48%と29%減少した。世界平和度指数によると、2019年の武力紛争による経済的損失は5,210億ドルと判断された。同報告書によると、これは自殺による経済的影響の7,570億ドルを下回っている。
COVID-19:社会不安の波が到来するのか?
コロナウイルスのパンデミックは世界平和度指数の測定項目の一部に影響を与えており、特に多くの社会不安の表面化が抑制された点が顕著である。数十億人が都市封鎖下で暮らしていた3月と4月には、記録されたデモの件数が90%減少した。
しかし、これは一時的な落ち込みであったと判明する可能性もある。同指数のもう一つの主要な重点分野は、「積極的平和」の研究と呼ばれるものである。これは、平和な社会の中核をなし、所得の増加、福祉の向上、より良い経済成果に寄与する態度や構造に着目するものである。
パンデミックは、積極的平和の指標を支える多くの制度に大きな負担を強いている。これには、医療制度、教育、雇用が含まれる。
世界平和度指数は、こうした動向によって暴力や紛争が発生する可能性が高まる恐れがあると警告している。
「景気後退が迫る中、ヨーロッパでは社会不安が増大する見通しである」と報告書は述べている。「アフリカの多くの国では飢饉の状況に直面し、脆弱な国々にさらなる負担がかかることになる」。
