フランスは世界で最も力のある国だ。少なくとも、ある種の力に関してはそう言える。
エマニュエル・マクロン大統領の当選により、フランスはソフトパワーのランキングの首位に躍り出た。マクロン氏と中道派の政権は、英国、米国、ドイツ、カナダを一気に追い抜き、各国のソフトパワーを毎年順位付けするランキングで1位を獲得した。
結果が発表されて以来、マクロン大統領独自の外交術が注目を集め、同氏は生きた馬を中国の習近平国家主席に贈り、バイユーのタペストリーを英国に貸し出した。いずれも史上初のことだ。

ソフトパワーとは?
国の力と聞けば、おそらく軍事力や経済力を思い浮かべるだろう。
しかし、ソフトパワーは銃口を突きつけて行使されるものでも、株主の成功を背景に得られるものでもない。世界に対する影響力を測る、目立たない指標だ。「ソフト」という言葉に惑わされてはいけない。影響力を及ぼすうえで非常に効果的な手段になり得る。
指数を作成した英国拠点の広報会社ポートランド・コミュニケーションズによると、ソフトパワーとは基本的に、協力を促し、ネットワークや関係を築く力を指す。
上位5か国
フランスの広範な外交ネットワークと豊かな文化、そして言うまでもなく、協力や統合に関するマクロン氏の政策が、今年の「ソフトパワー30」指数で同国が首位に立つ要因となった。
一方、米国はこの1年で1位から3位に転落した。ドナルド・トランプ大統領の「米国第一」政策が一因かもしれない。この方針は「海外での評判が芳しくなく、同盟国を遠ざけ、世界各国とのつながりを損なっている」と報告書は述べている。

指数における米国の順位低下は、事実ではなく、人々の認識の変化に基づいている。報告書によると、高等教育、文化創造、技術革新において、米国はいまなお他国の追随を許さない。米国の大学は世界の大学ランキングで引き続き上位を占めている。
2位の英国は不安定な立場にある。2位を維持したものの、全30か国を順位付けした今年の分析で得点を下げたのは、同国を含めてわずか4か国だった。ポートランドによると、その主な原因はブレグジットをめぐる国民投票だ。「2016年6月22日時点と同じ水準の影響力を、欧州(そしてそれ以外の地域)で保てるとは考えにくい」としている。
それでも英国には、世界で最も信頼されているニュースソースであるBBCワールドサービスに加え、活況を呈する文化、テクノロジー、教育の各分野がある。
分析が初めて発表された2年前から、ソフトパワー上位5か国の顔ぶれは変わっていないが、順位は入れ替わった。テロ攻撃や移民の波などの重大な問題に対処してきたドイツは、総合得点が上昇し、広くアンゲラ・メルケル首相への信頼が高まったにもかかわらず、今年の指数では1つ順位を下げた。

カナダは「世界で最も高く評価されている国の一つであり続けている」ものの、イノベーションと企業活動を強化する必要があると報告書は指摘する。
下位の国々
ランキング最下位の3か国は、ハンガリー、ブラジル、トルコだ。
文化と歴史に恵まれた国としてのハンガリーの魅力は、ナショナリズムを強める政策によってかすんでいる。報告書によると、その政策は観光客だけでなく各国の指導者にも敬遠される原因となっている。
トルコは、何百万人もの難民を受け入れる姿勢を示しているにもかかわらず、国際社会からの評価が低かった。クーデター未遂、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の権限拡大を問う国民投票、そしてメディア、市民社会、学術界に対する全国的な制限も、評価を押し下げた。
リオ五輪が成功を収めたにもかかわらず、ブラジルは昨年から5つ順位を下げた。前大統領ジルマ・ルセフ氏の弾劾、政治的混乱、不安定な経済が順位に影響した。
順位を上げた国、下げた国
報告書は、欧州のソフトパワーが回復する一方、北米の影響力は低下していると結論づけている。その間、アジアの影響力は静かに拡大している。
それが特に顕著なのは中国だ。内向きになった米国が生み出した世界のリーダーシップの空白を埋めようとしているように見え、2015年以降、得点を10ポイント、順位を5つ上げた。
報告書の世論調査データでも中国の評価は上昇しており、世界の舞台における中国の役割がより好意的に見られていることを示唆している。

人々に力を
報告書によると、政府などの従来型の機関から、都市、多国籍企業、さらには個人へと、力の所在が移りつつある。
「これは主にデジタル革命によるものだ。デジタル革命は国境を弱め、課題と機会を同時に生み出した。また、市民が新たな方法で結集し、地理的な隔たりを越えて橋を架けることも可能にした」と報告書は説明している。
ソフトパワーはなぜ重要なのか?
各国の指導者は、他国に対する認識に基づいて外交政策を決めるため、ソフトパワーは重要だ。例えば、米国がパリ協定から離脱した後に中国が環境問題で主導的な立場に立った経緯が挙げられる。
ポートランドは、25か国での世論調査と客観的なデジタルデータを組み合わせ、各国の影響力を測定している。世論調査では、各国に対する好感度を調べる。対象には、政府、文化、料理(ミシュランの星付きレストランの数を含む)、外交政策、街頭での暴力、スポーツの実力、デジタル分野での関与、経済革新を生み出す能力への認識、観光客と留学生双方にとっての魅力などが含まれる。

