EUは企業に持続可能性を求める。だが、それを実現できるよう企業を後押ししなければならない

An IKEA farming facility using recycled organic waste from the company's restaurants.
An IKEA farming facility using recycled organic waste from the company's restaurants.Image: Reuters/Wolfgang Rattay
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  • 欧州議会の新たな報告書は、持続可能なコーポレートガバナンスに関する提言を示している。

  • サステナビリティに関する現行の自主的なデューデリジェンス制度は不十分だ。

  • 義務的な制度であっても、企業がサステナビリティへの独自の道筋を描く余地を残さなければならない。

EUは発足以来、統一され平和な戦後欧州を築く計画をどう進めるかをめぐり、数多くの危機や議論に直面してきた。要するに、政治統合という究極の目標を掲げた不完全な経済連合として始まったEUは、気候変動、環境、人権保護から対外関係と安全保障、司法、移民に至るまで、幅広い政策分野を担う組織へと段階的に進化し、変貌を遂げてきた。

近年の最も重要な動向の一つは、企業を持続可能な形でどう指導・統制できるかという議題を推進するための展望や政策の選択肢をめぐる、現在の議論である。これはいわゆる持続可能なコーポレートガバナンスを指す。

2008年の世界金融危機の発端となった企業の相次ぐ経営破綻や不祥事により、企業の事業運営のあり方に対する社会の関心が再び高まった。企業と社会の他の構成員を暗黙のうちに結び付ける社会契約は、より厳しく問われるようになった。その後、持続可能なコーポレートガバナンスの枠組みが必要だという議論は、EUの新型コロナ後の復興計画を受けて新たな勢いを得た。この計画は、環境に配慮し、デジタル化され、ショックに強い欧州経済の構築を柱としている。

こうした理由から、EUは企業が短期的な財務実績よりも長期的な発展に重点を置くよう促す政策措置を策定し、この目標への企業の貢献を後押ししようとしている。これらの措置はEU会社法の枠組みの中核に関わるため、「より環境に配慮し、より良い形で復興する」という圧力の下で、政策がどこまで踏み込めるのかという重大な問いを投げかける。

欧州委員会は2021年末までに持続可能なコーポレートガバナンスに関する法案を採択すると見込まれており、COP26も近づくなか、ある論点がますます重要になっている。企業のサステナビリティ戦略を形づくるために、民間部門の自律性に課す制約はどこまで及び得るのか。

欠陥のある自主的制度

欧州委員会が今後発表する提案を見据え、欧州議会は、持続可能なコーポレートガバナンスの枠組みのあり方について提言をまとめた、法的拘束力のない報告書を採択した。同報告書は、大企業に環境保護、社会的責任、人権、汚職防止、取締役会の多様性に関する方針の開示を義務づける非財務情報開示指令(NFRD)の下で運用されている現行の自主的な企業デューデリジェンス制度について、「遵守または説明」の原則を採用しているため、実効性が損なわれていると指摘している。

例えば、NFRDの対象となる大企業は、年齢、性別、学歴、職歴などに基づく取締役会の多様性を含め、さまざまな情報を開示しなければならない。しかし、そうした方針を設けていない企業に対し、NFRDは方針の導入を義務づけず、その理由の説明だけを求める。現在の状況では、企業が自主的に多様性方針を導入することも十分考えられる。だが例えば、代表性の低い女性やLGBTIの幹部にとっては、現行枠組みの事後対応型の考え方や弱い説明責任措置よりも、執行可能な義務的デューデリジェンス制度の方が大きな利益となる。

このため欧州議会の報告書は、EU域内で事業を行うすべての大企業、上場企業、高リスクの中小企業を対象とし、執行の仕組みを伴う、人権および環境に関する義務的デューデリジェンス制度の導入を提案している。簡潔に言えば、企業は法律により、人権、健康、環境への影響(気候変動に関するものを含む)を防止、軽減し、その説明責任を果たすための適切なプロセスを、自社の事業活動とサプライチェーンの双方で確立し、実施することを義務づけられる。

企業の自律性を守る

しかし、義務的なデューデリジェンス制度への移行は慎重に検討すべきだ。企業の立場から見ると、事後に法的制裁を科すよりも、環境と人権に関するデューデリジェンスをリスク管理プロセス(リスクの特定、測定・評価、低減措置)に組み込み、先を見越して予防に重点を置くアプローチの方が目的にかなう。これにより企業は、持続可能性により合致した責任ある事業運営を確保するため、EU法ですでに求められている水準を超えて取り組むこともできる。

義務的なデューデリジェンスを過度に課せば、改革の実社会における効果を損なう、企業を締め付けるような持続可能なコーポレートガバナンスの枠組みにつながりかねない。必要なのは、現行の規制枠組みの問題を的確に診断し、企業が事業戦略にサステナビリティを深く組み込めるよう後押しすることで、欠陥を是正するための慎重な次の一歩を踏み出すことだ。企業は、自らの行動(あるいは場合によっては不作為)がもたらす有害な社会的・環境的影響に向き合い、考え直し、軽減していかなければならない。

進展への道筋を探るなかで、政策立案者は、過度に硬直的な法的義務に頼るのではなく、リスク管理プロセスやコーポレートガバナンスの課題にサステナビリティをうまく組み込む方法について、企業や取締役会に裁量を与え、必要とされる一定の柔軟性を保つよう努めるべきだ。

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